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国防海軍空母ふそう  作者: 高田 昇
7/7

第7話 対潜作戦

 第5海防隊群への中国海軍潜水艦の接近を最初に探知したのは、第5海防隊所属の『やまぎり』だった。録られた音源から忽ちに音紋が照合され、それが『長征8号』と割り出された。


 『ふそう』艦内の情報中枢を担う戦闘指揮所のディスプレイには、艦隊を模した輝点の集まりと色の違う輝点が映っている。


 「中国海軍は何処にあっても問題を起こしてくるな」


 久松少将は呆れながら呟いた。平時下において国防海軍の軍艦に仮想敵国の潜水艦が敢えて接近して情報収集する手段は珍しくない。


 中国海軍は、諸外国海軍に対して故意的に問題を起こしては挑発を繰り返す。日本の領域内での潜水艦の進入や環太平洋諸国海軍共同訓練に参加した際、情報収集艦をもって各国海軍の交信や周波数を傍受していた。


 「司令、各艦に対潜警戒に当たらせ哨戒ヘリを出して追い立てましょう」


 と、進言したのは隊群首席幕僚の信太通しのだとおる大佐だった。領海侵犯を犯さない限りは、国防省の管轄で事態の対処を行う。


 久松は暫く考えてから命令を下した。


 海防隊から各海防艦に指示が渡り、艦隊は陣形を組み換えて搭載する哨戒ヘリが甲板から飛翔する。


 これと同時にUH-60J救難ヘリも後から発艦した。そして、別の作業班が待機する二機のF-35BJに集まり機体翼下に灰色の筒を取り付け始めた。


 一番機の柳瀬博也やなせひろや大尉がコクピットに潜り、発進の準備を行う。艦橋後部の航空管制塔からの発艦許可は緊急発進のために手早く進んだ。


 轟音を吐きながら飛行甲板のスキージャンプ台から飛び上がる二機のF-35BJは、旋回しながら一定の高度まで上昇した。コックピットから下の景色を覗くと第5海防隊群は、『ふそう』を中心として七隻の海防艦が周囲に展開し輪形陣を組んで航行する。


 空母は、艦体の構造上の理由から艦自体の対潜能力は他の海防艦に比べて貧弱だ。


 国防海軍の一般的な汎用海防艦やミサイル海防艦には艦首バウ・ソナーや曳航ソナーが装備されている。しかし、『ふそう』はスキージャンプ台が艦の前方に設置されているため船体の重量のバランスの都合上、バウ・ソナーが省かれていれている。これは、同じ軽空母であるイタリアの『カヴール』、スペインの『ファン・カルロス1世』にも同じ事が言えた。


 四機のSH-60K哨戒ヘリが『やまぎり』が捕捉した地点の周辺に集まる。機体からソノブイが広範囲に渡り投下され、潜水艦をソナーで探知するための包囲網を形成している。


 「見つかるかな?」


 柳瀬らの戦闘機隊は上空を旋回しながら哨戒ヘリ隊の動向を見守っていた。しかし、潜水艦の位置の特定は長い時間は掛からなかった。


 中国潜水艦は第5海防隊群の同行を探るために、わざと浅い深度を航行していた。海上に投下された幾つかのソノブイが潜水艦を四方から探知し、その情報がSH-60Kに送信される。


 更に正確な位置を掴むために哨戒ヘリに装備されているMADと呼ばれる磁気異常探知機―一般的に言うところの金属探知機―が機体から吊り下ろされた。潜水艦への攻撃時などに用いられ、捉えた情報はデータリンクによって哨戒機部隊や艦隊に瞬時に共有された。


 「降下開始!」


 『ふそう』の航空管制から上空待機の柳瀬たちに、いよいよ出番の時を伝えた。この合図に二機のF-35BJは高度を下げ、海中に隠れている潜水艦の真上に向かう。

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