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銀の槍は砕けない ~一章終盤で死亡する序盤無双キャラに転生したハードコアゲーマーは超効率プレイで生き延びる~  作者: 新人@コミカライズ連載中
第二章:真のトゥルーエンドを目指して

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第50話:三人目

 残響がその役割を終え、白い粒子となって虚空へと霧散していく。


 後に残されたのは静寂の聖所に在る三人の姿。


 シルバとネアンが息を呑んで見守る中、マイルスは剣を右手に握ったまま佇んでいる。


 彼はまるで自分の身体がそこにあるのを確認するように、左手を何度も開閉させた。


「はっ……はははっ……はっはっはっ!!」


 地下に高笑いが何度も木霊する。


「成功した! 成功した成功した成功した!! 成功したぞ!!!」


 拳を強く握りしめ、歓喜の雄叫びが上がる。


 一方、シルバは悔しさに歯を強く噛みしめる。


 この事態を想定出来る材料はいくつもあった。


 最初に出会ったネアンがそうだからと言って、全員がこの時代に生まれているわけじゃない。


 最低でもクリス=カーディナルの性別が変わっていた時点で、それより前の時代における他のプレイヤーの影響を考慮すべきだった。


「ん? おいおいおい……どういうことだ? なんで銀の槍とクソメンヘラ女がいるんだ?」


 振り返ったマイルス=ウェインの姿をした誰かが、シルバとネアンの姿を見て言う。


 その言葉で、既に元の人物の精神がそこには無いのだと二人は理解した。


 それでもまずは情報に探り合いになると、二人は沈黙を貫いたまま敵の姿を見据える。


 一体、『誰』がその肉体に入っていて、目的は何なのか。


「ああ、なるほど……同類ってわけか……くっくっく……」


 少し遅れて、その事実に気づいた男がまた笑い始めた。


「銀の槍に、不死のメンヘラなんて……随分とハズレを引いたな、お前ら」

「四十代の冴えない中年オヤジよりはイケてると思うけどな」

「その言葉遣い……()()()を思い出して苛立つな……」

「あいつ……?」


 どんな小さなものでもと、シルバは男の言葉の端々から情報を引き出そうとする。


「その予言書とやらを作ったのもお前か?」


 男が持っているはずの本を指してシルバが尋ねる。


「ああ、そうさ。苦労したぜ。なんせ、記憶だけを頼りに書いて……ちょうどこの時代に見つかって、想定通りに動いてもらわないといけなかったからな。そして、俺は賭けに勝った! ()()にも会えず……あの時代で朽ちていくだけだったはずの運命にこうして打ち勝った! 試練を乗り越えたんだ!」


 天を仰ぎ、三人目の男が世界へと勝利宣言する。


「そりゃおめでとう。念願が叶ったんならもういいだろ。さっさと浮遊大陸を止めて、この騒動を終わらせようぜ」


 シルバが構えを解いて話しかける。


 現代人の価値観を持っているなら、このくらいの話は通じるはず。


 正体が分からない相手とは、出来れば戦わないに越したことはないと。


 しかし、男から返ってきたのはあまりにも無情な返事だった。


「止める? なんで?」


 こいつは何を言ってるんだと、男は心底不思議そうに首を傾げる。


「と、止めないと人がいっぱい死んじゃうじゃないですか!」


 今度はネアンが男へと向かって声を荒げる。


 しかし、彼はその言葉にやれやれと呆れるように首を振った。


「どうでも良いNPCが何人死んだところで、どうだっていいだろ?」

「NPCって……! みんなこの世界で生きてるんですよ!」

「生きて……はっはっは! お前、まじで言ってんのかよ! この美味しい状況でそんな良い子ちゃんロールプレイとかとんでもない奇人だな! お前らもしかして、それを止めようとしてこいつを追いかけてきたのか!?」

「き、奇人……!?」


 大笑いする男に対して、ネアンは不快な視線を向ける。


「そりゃそうだろ。公式チート状態でやりたい放題やれるのにやらない馬鹿がどこにいる? ああ、ここに二人もいたか」


 男は嘲るように口角を吊り上げる。


「な、なんで笑うんですか! あなただってEoEの世界が好きで――」

「これ以上構うな。こいつは()()()()()()だ」


 ファン意識の欠片もない男に、ネアンが言い返そうとするのをシルバが制した。


 好きなゲームの世界に転生したのを、美味しい状況としか考えていない輩。


 説得の余地はないと判断した彼が真っ先に戦闘体勢を取った。


 続けて、ネアンも杖を構えて男と向かい合う。


「物騒な奴らだな……。まあいい。元から同類がいたら消えてもらうつもりだったしな。美味しい立場は独占してこそ価値がある。そっちもその気なら、手間が省けてありがたい」


 作中屈指の実力者を相手に、一対二の構図でありながら男は余裕を崩さない。


 地下聖所に緊迫した空気が満ちる中で、男が剣を鞘に納めて居合の構えを取った。


 その独特な構えに、シルバとネアンが息を呑む。


 男の正体に関して、二人が考えうる中で最悪の現実がそこにあった。


 それはEoEの過去編において、プレイヤーたちを絶望の淵に叩き込んだ男が用いる剣術。


 カイルの前世である英雄ネクス=アーベントの師であり、EoEの最強議論において禁じ手として挙げられる人類史上最強の男。


 背信者ユーダス=アステイトが三人目の転生者として、そして最悪の敵として二人の前に立ち塞がった。

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