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いつのまにか女子扱いになっていったボクの中学時代  作者: 栄啓あい
第二章 女の子にされていく日々
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第二十四話 宿題がない…!

 それからというものの、そのことばっかり気にしていて、何も考えられなかった。


 「それでは、あいさつしましょう」


 いつの間にかさようならをするまでになっていた。


 机には配布物やらいろいろあった。


 相当ぼーっとしていたんだな。


 「さよなら」


 すぐさままたリュックの中身を漁った。


 数分すると、教室からは係の人だけしかいなくなってしまった。


 晴海が来た。


 「一緒に国語のやつやろうぜ」

 「あ、うん」


 そして、一回忘れて、ワークとかをもう一度整えて、リュックをもって、職員室に行った。


 「どうしたんだ、あき、浮かない顔して」

 「え?ああ、英語のワークが見つかんなくて…」

 「ああ、そういうことか。もう一回後で落ち着いて探してみ」

 「うん…」

 「泣くなって。あき。それくらいすぐ解決するって!」

 「うん。ありがと」


 職員室に着いた。


 「失礼します。一年二組の藤本です。国語科の佐藤先生いらっしゃいますか?」

 「はーい」


 そして、先生が来た。


 うちの学校には、佐藤先生は理科にもいるので、ややこしい。


 「はいはい。これね。三つじゃあ受け取りました。ありがとね~」


 佐藤先生の優しい笑顔に私は少し癒された。


 「あき、この辺でもう一回探してみ」


 私は廊下の机でリュックをごそごそ漁った。


 「こっちのポッケとかは?」

 「う~ん。ないなあ」

 「じゃあ、こっちは?」

 「こっちもない…」

 「ちょっと見してもらっていい?」

 「いいよ」


 リュックを差し出す。


 「あ、こっちにもポケットあんのか…多いな。これ。あれ、これこうやって分かれてるのか…」

 「大丈夫?」

 「うん…こっち見てみるか…あ!」

 「え!どうしたの?」

 「じゃじゃ~ん」

 「え!あった!」

 「ほらな、落ち着いて探せば見つかるっしょ。焦んなって」

 「ありがとう!」


 今回ばかりは晴海にお世話になった。


 そして、英語の教材が山積みになっている理科室に置いてきた。


 「帰ろ!」

 「おう!」


 そして久しぶりに二人並んで帰った。


 「そういえば、あき、この前はうまく言えなかったんだけど…」

 「この前って?」

 「ほら、年末にスーパーであったじゃん」

 「ああ、あんときね。びっくりしちゃったよ。晴海があんなこと言っちゃって」

 「ああ。ちょっとお互いよそよそしかったけどな」

 「幼馴染なのにね」

 「それで、改めて言うと、あきってもうすっかり女の子してるじゃん」

 「そう…なのかな…わかんないけど」

 「いや絶対そうでしょ!」

 「えへへー」

 「それでその変わりように俺たちもちょっと戸惑ってたりはしてたんだけど…。その辺自分ではどう思ってんの?」

 「いや、別に?もう、慣れちゃったし」

 「慣れたって…」

 「正直私はどんな生活だって楽しいし、楽しければ、それでいいと思う」

 「そうか…」

 「今の私は、すっごく楽しいから。晴海が心配することでもないよっ!」

 「あ、それはありがと」

 「最初は私だってびっくりした。でも、これが、私に与えられた本当の店名なんだとも思っているもん」

 「すごいね。あきって」

 「なにが?」

 「なんか…何事にも前向きって感じで」

 「でもさっきは晴海に助けてもらっちゃったもん。ありがとう」

 「そらあ、そうだが…」


 ヒューっと冷たい風が吹く。


 話は続く。


 「そういえば、突然で悪いんだけど、作実のことってどう思ってる?」

 「え?作実?」

 「そう。佐藤作実」


-------------------------------------------------------------------------------


 「―晴海、ちょっといい」

 「お?作実?どうした?」

 「藤本さんにさ、僕のことどう思っているか、きいてくれない?」

 「え?ああ、わかった」

 「自然な感じでね。よろしくね」

 「ほーい」


 こんな適当に流してたけど、今になって思い出した。


 自然な感じできけてるかな?


-------------------------------------------------------------------------------


 「え?いや、いい人だなあって思ってるよ」

 「どういう感じで?」

 「いや、詳しくはわからないけど、すごく優しくて、ちょっとおもしろくて、話してて楽しい人だよ」

 「そうか…ありがとね」

 「うん。そんな感じでいいの?」

 「おう。全然大丈夫」


 そして二人はさらに歩き、分かれ道までついた。


 「じゃあ、また明日ね」

 「ばいば~い」


 今日の学校はこれで終わった。



 家に帰ると、お母さんがドライカレーを作ってくれていた。


 一仕事(?)の後のご飯はおいしかった。

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