第4話 森の危機と異血の魔薬
朝の光が森を照らすころ、アルミナはルード、ロザリア、ティアとともに薬草を採取していた。
「この草、かなり効くはずだ。昨日の毒蛇騒ぎで役立つかもしれない」
ティアが手際よく草を摘む。アルミナは感心しながらも、自分の異血の力を慎重に確認する。
その時、森の奥から悲鳴が聞こえた。
「助けて!助けてください!」
三人とアルミナは声のする方へ走る。倒れているのは、森で木材を集めていた村人たち。足元には、毒を持つ赤い蔓植物が絡みついている。
「これは……危険な毒草だ!」
ロザリアが慌てて薬袋を開く。
「アルミナさん、早く調合して!」
アルミナは深呼吸し、母から伝わる異血の感覚を頼りに、慎重に薬草を組み合わせる。
魔薬が完成し、村人に投与すると、苦しんでいた表情が次第に和らぐ。
「助かった……!」
「これが……アルミナさんの魔薬……」
ティアも驚きの声を漏らす。異血の力が、薬の効果を確実に高めているのがわかったのだ。
森から戻った後、村の広場で村人たちが集まり、アルミナたちを称える。
「追放令嬢だからと侮っていたが……君の力は本物だ!」
アルミナは笑いながらも、心の奥で考える。
「私はただ癒すためにここにいる……でも、この力を知られれば王国に戻った時、どうなるのだろう……」
その夜、月明かりの下、ルードがアルミナに言った。
「君は一人じゃない。僕たちがいる」
「……ありがとう」
アルミナは胸に温かさを感じる。仲間と力を合わせることが、何よりも大切だと実感する瞬間だった。
翌朝、森のさらに奥で、アルミナは新たな草を見つけた。赤紫色に輝くその草は、これまでの魔薬よりも強力な治癒力を秘めているように感じられた。
「……この草なら、もっと多くの人を救える」
同時に、アルミナは気づく。異血の力を完全に制御できなければ、逆に危険もある。
「慎重に……でも、挑戦しないと意味がない……」
こうして、アルミナの草薬師としての能力は、仲間との絆とともに一歩ずつ確実に広がっていった。
そして、村での日々は、平穏のようでいて、少しずつ王国の陰謀や差別、魔法制度の影と結びついていく――。




