表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

第1話 追放令嬢と山間の村

アルミナ・フェルヴァトは、夕暮れの王都の空を見上げながら、静かに涙をこぼしていた。

「女だから、魔法学院には入れない……?」

噂も、嫉妬も、誤解も、すべてが重なった果てに、ついに家を追放されたのだ。


重い荷物を背負い、馬車で王都を後にする。目指すのは、母方の故郷に近い、ひっそりとした山間の村。そこには、幼いころに母から聞いた古い魔薬の伝承があった。


村に着くと、空気は澄み、木々は緑に輝いていた。だが、歓迎してくれる人は誰もいない。

「やっと来たのか……」

出迎えたのは、村の老人で草薬師のランデル。彼の手には、色とりどりの薬草が握られていた。


「君がアルミナか。噂は聞いた。王都の追放令嬢だそうだな」

「……はい。これからどうしたらいいかもわかりません」

アルミナの声はか細い。しかし、瞳の奥にはわずかに決意の光が宿っていた。


ランデルはにっこり笑う。

「大丈夫だ、ここでは君の性別や家柄は関係ない。薬草と魔薬を学び、村人を癒せばいい」

そして、アルミナの手に最初の薬草を握らせた。


その夜、星空を見上げながら、アルミナは思う。

「追放されたけれど、私はまだ何かできる……母の異血の力を、私なりに生かすことが」


翌日から、アルミナは薬草の採取と魔薬の調合を学ぶ日々を送った。

最初は小さな怪我や熱に効く薬から始め、やがて魔法病に苦しむ村人のための特殊な調合に挑戦する。


ある日、村の青年ルードが鍛冶場から駆けつける。

「アルミナさん、大変です!村長の息子が魔法病で苦しんでます!」

アルミナは薬袋を抱え、ルードとともに村の家へ走る。

そして、異血の知識と薬草の力で、初めての人命救助に成功する。


薬を差し出すアルミナに、村人は涙を浮かべながら感謝する。

「ありがとう……本当に、ありがとう」

アルミナは心の中で小さくつぶやく。

「これから、私はこの力で、もっと多くの人を癒してみせる……」


こうして、追放令嬢アルミナの、草薬師としての第一歩が始まった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ