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【進め!異世界!!戦車人間(タンクマン)!!】~元ドイツ陸軍戦車兵の転生先はひよっ子ビーストテイマーの使役獣?~  作者: 稲村某(@inamurabow)
第三章・ハンスと仲間達

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⑱空対陸



 合流する為、エド達がやって来るのを今か今かと待っていたハンスだが、その異変は彼以外にも直ぐ判る程であった。無論、それは潜在的な能力に乏しいエレナも例外ではない。


 「ハンスさん……鳥が沢山飛んできますっ!!」


 森の向こう側が騒がしい、と思った刹那。一番最初に逃げ出して来たのは鳥達だった。群れを作るもの、単独で狩りをするもの、そんな分け隔ては無用とばかり様々な鳥が羽ばたきながらハンス達が待機していた草原を抜け、一目散に逃げていく。


 「……始まったか?」


 座っていたハンスが立ち上がり、イワノフもモシン・ナガンの弾倉を抜いて弾丸を確認し、バシャリと銃倉に差し込む。


 「ああ、そうみたいだな! チェモリ!! 例の風船を浮かべてくれ!」

 「はぁ~い! ……それじゃ、いきますわよっ!」


 請われてチェモリが手近な皮袋に小さな掌を当て、小さな声で念じながら皮袋に詰まった鉄粉と木炭粉に軽みの領域を与えていく。すると皮袋はパンパンに膨らみ、いびつな形の風船のようになった。


 「……よし、これで……浮きなさい!」


 続けてチェモリは靴の爪先で景気付けとばかりに大きく膨らんだ皮袋を蹴ると、フワンと浮かびロープを付けたままスルスルと上昇していった。


 「よし、良い感じだ……残りも頼む!」

 「は~い!」


 ハンスと言葉を交わしながらチェモリが次の皮袋に近付く間も、森の中から獣達が我先に草原を駆け抜けていく。そして熊や鹿まで彼等を無視し一目散に走り抜けていった後、ようやく森の中からエド達が息を切らしながらハンス達の元へとやって来た。


 「はぁ、はぁ、はぁ……直ぐ、来るぞ!」


 到着したエドが息を整えながら報せると、一頭のサラマンダーが森の中から飛び出し、待ち構えていたハンスの姿を見つけ、


 「ゴアアアアァーーッ!!」


 と、威嚇の叫びを上げながら翼を広げ、空に向かって羽ばたこうとしたのだが……草原に何本も吊り上げられた皮袋とロープが邪魔なのか、駆け出そうと踏み締めた一歩から先が続かない。だがその隙は、待ち構えていたイワノフに余裕で狙いを定めるだけの千載一遇の時を与えてくれた。


 はっ、と息を止め、立射の体勢でサラマンダーの眉間に照準を合わせながら、引き金を絞り込む。


 タアアァーーンッ、と鼓膜を揺さぶる音が草原に響き渡り、右往左往していたサラマンダーの眉間を弾丸が捉える。間を空けず目の間を撃ち抜かれたサラマンダーの後頭部から血飛沫がビュッと吹き出し、脳を破壊された巨大な飛竜はその翼で大気を捉えられないまま、大きく仰け反って倒れ伏した。


 「ま、軽いもんだな! こりゃ楽勝じゃねぇか?」


 ガチャッ、と次の弾丸を弾倉に送り込みながらイワノフが言った瞬間、森の木々を押し倒しながらワイバーンが次々と躍り出て来る。


 「……ウソだろ!? いっぺんに出て来るんじゃねぇ~っ!!」


 あっという間に圧倒的な数の差を付けられたハンス達だったが、イワノフの叫びを掻き消すワイバーンの咆哮より更に大きな声が草原に響き渡った。


 「クソトカゲ共がああぁっ!! 調子に乗んなああああぁーーーっ!!!」


 アーヴィンが雄叫びと共に跳躍し、先頭に立つワイバーンの顔面を真横から戦護手バトルガントレットで殴り付ける。長く鋭いスパイクの付いた重厚な護手が頭のあった空間を通り抜けると、ワイバーンの頭部が派手に真横へと飛び、目と鼻から血を流しながらそのまま動かなくなる。


 「エドっ!! 混戦に持ち込めば飛ばれもしねぇしブレスも出せねぇぞ!!」

 「ああ! 心得たっ!!」


 続けてエドもアーヴィンに追従して剣を抜き、両手持ちの構えでワイバーンの側面から腿の付け根目掛けて振り下ろす。硬い鱗で覆われ強靭な筋肉に包まれた脚が、鮮やかな断面を見せながら骨ごと斜めに切り離される。苦悶の声と共に両手を着いて悪あがきでエドに顎を開き、ワイバーンが首を伸ばして彼の身体に噛み付こうとした瞬間、


 【 修正射無し! 破砕榴弾用意っ!! 】


 神速のスピードでズボンを脱いだハンスが【鋼の虎】を構え、その砲身をワイバーン目掛けて向けながら素早く弾種を選択する。


 【 トカゲ共を原始時代に押し戻せっ!! 発射(フォイヤー)っ!! 】


 発射と同時にハンスの身体がざりっと後退し、剣を振り上げて応戦しようと構えたエドの後方から飛翔する破砕榴弾がワイバーンの口内で炸裂する。硬い筈の頭蓋骨を内側から火薬の破裂力で粉砕し、更に榴弾自体の破片が外部に飛び散って漏斗じょうご状に広がりながら後方のワイバーンを捉える。その破片を全身に浴びた一頭は四肢を衝いて唸り、戦闘不能に陥ったが他のワイバーンは無傷だった。


 「クラウツっ!! 撃ちゃいいってもんじゃねぇっての! エドに当たったら木っ端微塵になっちまうだろ!?」

 「済まん、だが何もしないのは……」


 イワノフがキャロン達にワイバーンが殺到しないよう牽制射撃をしながら叫び、砲火を封じられたハンスはズボンを穿きながら答えようとしたが、その声は途中で掻き消された。森の中から群れを牛耳る雌のワイバーンが現れて咆哮を上げた瞬間、それまで無秩序に襲撃をしていた群れが統制を取り戻し、三頭のワイバーンが一斉にハンス目掛けて飛び掛かったのだ。


 「遠距離攻撃する敵を選んだのかっ!?」

 「くそっ、ハンスっ!!」


 アーヴィンとエドが彼の元に向かおうとするが、他のワイバーンに行く手を遮られ辿り着けられない。そのまま二人の目の前で三頭のワイバーンがハンスを取り囲みながら顎を開き、その身体に長く鋭い牙を立てた。




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