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【進め!異世界!!戦車人間(タンクマン)!!】~元ドイツ陸軍戦車兵の転生先はひよっ子ビーストテイマーの使役獣?~  作者: 稲村某(@inamurabow)
第二章・イワノフ

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①魔物討伐



 中央都市には、幾つかの中継地区が存在する。商人達が立ち寄り、小さな市場が成り立ち、補給地点として機能している(ひな)びた宿場町。そのうちの一つ、ケーズは中央都市が周辺の国家から独立を遂げる前から、大陸中央に位置する盆地、【星降る荒野】を抜ける旅人が立ち寄ってきた。


 だが、過去に栄えた町が急激に衰退し、見る影もなく色褪せる事もある。ケーズの町も例外ではなく、付近で新たな鉱山が見つかり、採掘が始まると共に地下水脈が枯れ始めた。その結果、水を求めて訪れる旅人に高値で水を売るようになり……足を遠退かせてしまったのだ。




 「……はあぁ、暇だなぁ……」


 そんなケーズの町の宿屋の窓辺の椅子の上に、ハンスは居た。無論、エレナとイワノフもだ。


 「暇は大切ですよ? 自らを省みて明日の糧に出来ますから……」


 エレナはそう言いながら、手に持った針と糸で布地を縫う。


 「……いちいち言う事が説教臭いんだよ……」


 二人からやや離れた所でイワノフはぼやきながら、ライフルを分解して清掃している。


 三人が何故、こんな町に来ているのか。理由は【銀獅子】である。いや、正確には二人が持つ銀獅子の印のせいだった。




 「判っているとは思うけど……依頼は選べないからね」


 アルベルナはそう言うと、一枚しか無い依頼書を三人に差し出しながら説明する。


 銀獅子の紋章を持つ者は、登録を済ませた街の為に尽力する義務が生じる。但し、その内容は決して容易くはない。力を有する者として認められたからこその、銀獅子なのだから。


 「つまり……ケーズの町に出没する化け物を退治すればいいの?」

 「そう言う事だね。まあ、化け物とは言っても、人の形を成しているし、二本足で歩くらしいけどね」


 エレナは依頼書を捲って確認しながら尋ねると、アルベルナは既に熟読していたようで、細かい所を補足しながら更に話を進める。


 「人と変わらぬ背丈だけど、日が暮れると共に町の端々に現れては、民家や商店に侵入して害を為すそうだよ」 

 「……なら、騎士達が相手すれば良いじゃないか? たったの三人で走り回るより、余程効率的に戦えると思うが……」


 ハンスはそうぼやくが、わざわざ獣従士(ビースト・テイマー)と指定してまで依頼する理由が有る筈、それなりの理由が有っての事だろう。


 「騎士が相手するのが人間なら、それも容易いだろうけど……勝手が違うみたいだね」

 「だろうな……で、その化け物って奴はどんな奴なんだ?」

 「町の住人に化けて入り込み、一家皆殺しにするそうだ。おまけに正体を現すまで誰がそうなのか判らないらしい」


 ハンスはアルベルナの説明を聞いて、ビースト・テイマーが呼ばれる理由が、一筋縄ではいかない事ばかりなのだと知り、溜め息を吐いた。


 (……やれやれ、平和な仕事ばかりじゃないとは思っていたが……物騒な事ばかりだ)





 夕方になり、ハンスを先頭に一行は町の中心に有る、噴水の周りで待機する事になった。まだ町の灯りは有るものの、決して見通しは良くない。況してや相手は闇に溶け込む姿をしているそうで、楽観は出来ないだろう。


 「結局、事が起こるまで待つしかないのか? なぁ、クラウツよ! 歩き回って探す訳にはいかねぇのか?」


 噴水の脇に腰掛けながら、ライフルを抱えてイワノフがぼやくが、彼も本気で言っている訳ではない。相手が出没した場所から離れていれば、駆け付けるだけでも一苦労だろう。


 「明るいうちに相手が出てくる場所を見つければ、それも出来るだろうがね。今は動きが有るまで待つしかないな」


 しかし、ハンスも犠牲者が出るまで待つのは嫌だったが、少人数で対応するなら方法は他に無いと(わきま)えていた。問題は、相手がどれだけの頭数なのか判らない上に、果たしてハンスやイワノフが化け物を相手にどれだけ戦えるのか、である。


 「……じゃ、俺とあんたは高い所で待ってた方がいいな。クラウツは待ち伏せするんだろ?」


 イワノフはそう言うと、ライフル銃(モシン・ナガン)からカモフラージュ用の布を取り、弾倉を嵌め込んだ。ガチッ、と固く噛み合う音が夕闇に響き、エレナはハンスに向けて小さく頷くと、


 「……どんな相手か判りませんので、油断しないでくださいね」


 そう告げてから、イワノフと共に噴水を見下ろす火の見櫓のような鐘楼へと歩いていった。


 

 「……さて、何か動きが有るまで待つか……」


 ハンスは噴水の脇に座ると、行き交う人が次第に疎らになる様子を眺めながら、新たに手に入れた大金槌(かなづち)をを取り出した。


 「……これ、使う事になるんだろうか?」


 と、呟く。幾ら強力無比とは云え、毎回恥ずかしい思いをしながら【鋼の虎】を出す気にはならない上、今回のように街中で大砲を撃つ訳にはいかない。ならば武器を持つべきだと彼は考え、その答えが鈍器だった。剣は確かに武器としては優秀だが、刃零れすれば(たちま)ち劣化する。ならば、研ぐ手間を省け力任せに振り回すだけでも充分な威力を発揮する……筈なのだが。


 問題は、相手が素早く動く場合は、どのように対処すれば良いのか皆目判らない。しかし、とにかく今は無駄に動くより、機微を逃さず確実に戦うのみ。そう決めたハンスは、



 ……とにかく今は、ただ座して待とうと覚悟を決めた。




 

 

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