登場人物とこれまでのおさらい
話が長くなってきたので、整理するために登場人物とおさらいをのせることにしました。
登場人物
バイロン:
本作もう一人の主人公。レイドル侯爵のもとから逃げた後、コルレオーネ一座に身を置いて女優としての日々を過ごしていたが、ダリスの最高権力者、一ノ妃のメイドとして仕えた後、執事長選挙で大きな役割を果たし、現在は異例の出世を遂げている。ベアーとは初等学校でのクラスメイト。
リンジー:
宮中で唯一、バイロンが気を許せる同僚。かわいいとは言い難いが性格があかるく、笑うと人の良さが出る。以前の事件ではバイロンとともに九死に一生と呼べる状況を切り抜け、バイロンとの親交をさらに深めている。現在はバイロンとともに第四宮で若輩のみでありながら大出世をとげ宮長としてのポジションに抜擢されている。(特技:マシンガントーク)
マイラ:
第四宮の宮長(別名:メイド長)、生真面目で業務に対する姿勢は思慮深い。だがその一方で『女の園』ともよべる第四宮を統べるだけの知己はなく、謀略、策略といったことに対応する術は皆無である。以前の執事長選挙で右往左往したもののバイロンとリンジーの活躍のおかげで執事長選挙に勝利するという僥倖に見舞われる。
レイドル侯爵:
バイロンとその母を経済的に支援してきた人物。その顔には幾重にも包帯が巻かれ素顔を覗くことはできないが、貴族の間では『ダリスの銀狼』として恐れられている。
マーベリック:
レイドル侯爵の執事、バイロンとレイドル侯爵のパイプ役を担っている。一見するとイケメンだが、時折見せる目つきの中には殺意が垣間見える。以前の一件でバイロンに対して特別な感情を抱き始めている。一流の執事であるが、その実態は暗殺を厭わぬ実行部隊の指示役でもある。
ゴンザレス:
マーベリックの配下。白髪を短髪にした職人風の男で市井に潜んで様々な情報を集めている。経験豊富な猛者で人物眼は確かである。
レイ:
マーベリックの朋輩。毒を用いて人を殺めることに躊躇のない姿勢は非道ともいえる。状況を俯瞰する能力はマーベリックにはないもので利に聡いだけではなく、全体を見渡して行動する人物である。
一ノ妃:
ダリスの最高権力者。深い思慮と未来を見通す眼力を持つ。高齢だがいまだその睨みは衰えず、高級貴族たちも一目を置かざるを得ない存在。お茶会では自身の見解を述べることはなく、ただ総覧するという立場になる。
二ノ妃:
隣国、トネリアから嫁いできた皇女。娘が病死したことで権力の座からは追われている。現在は観劇にうつつを抜かしているが……その腹は読めない。
ミネア:
二ノ妃の専属メイドの1人。二ノ妃の娘が亡くなってからそのそばにずっと仕えている存在。現在ははやり病で入院している。
三公爵:
帝位につく資格を持つ高級貴族。ボルト家(政治、経済を担う)、ローズ家(軍事、安全保障を担う)、レナード家(文化、教育を担う)がある。
レナード公爵:
帝位筆頭の高級貴族、現在のダリスでは彼の右に出る者はいない。トネリアの富豪とも親交があり、人脈も広い。帝位につくために着々と布石を打っている。
ルーザ:
レナード公の懐刀とも呼べる占い師。その履歴ははっきりせず、その存在自体が謎に包まれている。一体彼女は何者なのだろうか……
キャンベル卿:
レナード公に取り入り、貴族の世界で出世を目論む野心家。キャンベル海運という海運会社を営んでいる。利に聡く、立ち回りのうまい男。現在はレナード卿からパストールに乗り換えようとしている
パストール:
トネリア(二ノ妃の出身地)の豪商。ダリスでの商売を成功させるため二ノ妃に取り入っている。金融面、特に保険関連の利権を手に入れたいと考えている。現在はキャンベルやレナード公とも親交を気づいている。
パストールの娘:
パストールの秘書を行う十代後半の女子。その表情は能面のようで感情を表すことはめったにない。事務能力が高いだけでなく人物眼も長けており一筋縄ではいかない人物、街の裏路地でマーベリックに対して魔導の力を行使している。
ライラ:
バイロンの同輩、コルレオーネ一座の看板女優だったがバイロンにお株を奪われた経歴を持つ。現在は引き抜かれ都にある国立歌劇団の研究生として日々を送っている。ただあまりうまくいってはいないようで……役はもらえず下っ端として劇場を掃除している。
アルフレッド:
魔導兵団の長。ゴルダではベアーとともに人体錬成の闇を暴いて事件を解決に至らしめている。魔導器に精通している筋骨たくましい老人で、事件がないときはポルカ近郊にある炭焼き小屋で過ごしている。
パトリック:
士官候補生となった美しい学徒。前科がついたパトリックはブーツキャンプで収監されたがその能力を買われ現在は軍人の卵となっている。バイロンとはマスカレードで出会い、互いを利用する形で危険を回避している。ベアーに対しては並々ならぬ思いを持っている。
これまでのおさらい
国立歌劇団の演劇を鑑賞する二ノ妃がパックンチョ体質であることに気付いたバイロンは二ノ妃の狙いが橋梁工事の談合であると気付きます。そしてバイロンはその談合がキャンベル卿の催す仮面舞踏会で交わされると突き止めます。
*
その後、仮面舞踏会に二ノ妃の使用人として随行したバイロンは談合の証拠を見つけるべくスニークミッションを開始しますが……なんとそこで士官候補生パトリックと会い見まえます。互いに信用していなかった二人ですが、共通の友人であるベアーの存在が二人を結びつけ、協力することになります。
そしてパトリックと情報交換を終えたバイロンは仮面舞踏会の会場にパストールがいないことに気付きます。バイロンはとりあえず、怪しんでいたレナード卿の側女をつけますが……その時、不可思議な赤い靄が発生するという事態が生じ、奇々怪々な状況が生まれます。
機転を利かしたバイロンはリンジーと合流して二ノ妃を避難させるべく二階に向かいますが、赤い靄に侵食された貴族により襲われバルコニーに追い詰められます。
そんな時です、危機一髪のタイミングでマーベリックが現れバイロンたちを助けます。裏庭に退避したバイロンたちは危機的状況を回避します。ですが赤い靄を発生させたパストールの娘ソフィーは証拠を残すことなく会場からいなくなります。マーベリックはほぞをかみますが、その一方で燭台の台座から妙な結晶を見つけます。
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仮面舞踏会のあとバイロンとマーベリックは状況を確認しますが、朋輩であるレイの話によりパストールが高級貴族に付け届けをしていることがわかります。そしてパストールの狙いは橋梁工事ではなく、別の目的があるということを察知します。そしてその目的はお茶会で知らしめられるということを認識します。
お茶会という非公式の会合ではパストールの賄賂を貰った貴族たちが虎視眈々とダリスの未来を変えようとうごめいています。はたしてこのお茶会ではどのようなことが起こるのでしょうか。パストールの目的ははたされるのでしょうか……
次回から後半にはいります。(物語のラストまで決めているので『失踪』はありませんから、その点はご安心ください!)




