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第4話 森の中の戦い(4)

 敵はコンクリートブロックに阻まれないよに、ギジロウ達の真上から垂直に落ちてくるように矢を放ち、ギジロウ達には矢の雨が降り注ぐ。

「弓は攻撃魔法と違って曲射できるから厄介ね。」

「ルース様! こちらで1人が腕に矢を受けました!」

 一緒に魔法を撃っていた男性がうずくまりその側で女性が矢を受け場所を手当てする。

「戦えそうにはないわね。2人で一緒に馬車まで行けるかしら? まだ、そんなに遠くへ行っていないはずよ。走れる?」

「だ、大丈夫です!」

「あ、ありがとうございます。」

「逃げるのを援護するーー」

「弓兵が馬で突っ込んできます。」

 ルッチが叫ぶ。

「少し目を離した隙にこんなに近くに、間に合わない!」

 兵士は矢筒から矢を取り出す。そして、弦に矢を引っ掛け引こうとする直前にシノが馬の足元に向かい爆弾を投げ、爆発に驚いた暴れる。上に乗っていた兵は落馬して苦しそうにもがく。

 その後ろの敵を倒すべく攻撃魔法を撃つが、ルースの目の前で馬が暴れており、攻撃がさえぎられてしまう。

「今のうちだ、馬で陰になっている間に、1つ後ろのブロックヘみんなでさがろう。」

 ギジロウは1ブロック撤退をみんなに指示する。

 その場にいた全員が攻撃をやめ持ち場を離れる。逃げ出した直後に再び矢の雨が降り注ぐ。

「少しでも逃げるのが遅かったら危なかったな。」

 ギジロウ達の攻撃が止まったことに気付いた敵は、ルース達の攻撃が再開される前に一気に距離をつめる。

 最後尾で逃げていたシノは近づく敵に爆弾を投げようと爆弾と燃える炭を手に取る。

「もう1回、時間稼ぎをしないと。」

 その時、敵の攻撃魔法が手に取った爆弾の導火線部分に当たり導火線に火がつく。

「火が、火が着いちゃった!」

「シノ、すぐに遠くに投げろ。」

 すぐ横でその様子を見ていたギジロウはすぐに手放すようにシノに伝える。


 シノは大きくジャンプしながら空中で身をひねりながら敵側に爆弾を投げる。そのまま空中で一回転して地面に着地しする。

 持っていた炭は空中でどこかえへ飛んで行ってしまい、空になった容器を捨てて全力でコンクリートブロックまで走る。

「こっちだ!」

 シノはブロックの後ろで待ち構えるギジロウ達を信頼してブロックの後ろへ飛び込む。

 ギジロウ達はブロックを飛び越えてきたシノをキャッチして、ブロックの内側に引きずり込む。

 みんなで陰に隠れられた直後、爆発が発生する。

「あ、危なかった。」

 危険なアクションをこなしても淡々としていたシノが珍しく、焦りを顔に出す。

「まさか、攻撃魔法で火薬に点火できるとは。」


 爆発後、コンクリートブロックからギジロウは顔を出し様子を確認する。

「はあ、はあ、少しは引き離せたか。」

「いやダメですね。」


 事前に何の打ち合わせもなく、訓練もしていないギジロウ達では、当然で連携することはできず、敵を引き離すことはできなかった。それどころか敵はルース達が置いたブロックまでたどり着いており、今度はコンクリートブロックがルース達の攻撃魔法を阻む。

「これ以上、近づけさせないようにするわ!」

 10数メートルの距離でお互いにコンクリートブロックを挟んで攻撃魔法を撃ち合う。


「魔法使いの数が向こうの方が多いです。お互いに遮蔽物があるので、先ほどまでと変わり、倒せないです。」

 敵の攻撃がおさまらない状況をルッチはギジロウに説明する。

「正面からの魔法攻撃だけではなく、横から矢や攻撃魔法が飛んで来ています。」

 夜の森という環境に少しづつなれてきた敵は、森の中にも入り込みながらの攻撃を増やしてくる。

「森の中に入る兵士の数が増えている。このままだと囲まれる。」

 森の中に入った来た兵士を対処していたシノが限界を感じて戻ってくる。

「仕方ない、前進基地へと一気に戻るぞ。」


 前進基地までたどり着いたギジロウ達の側を攻撃魔法が過ぎ去る。

 前進基地には簡易的なテントがあるものの、安心して隠れられるものはなかった。

「こう、開けた場所だと囲まれるだけだな。ここで戦闘するくらいなら森の方がましか。」

「立ち木のほうが隠れるなら安心ですね。どこに隠れましょうか?」

「森の奥に誘い込みましょう。馬車が進んだほうに一直線に進まれるほうが問題よ。幸い、馬車が進んだ道は夜では見つけづらいわ。」

 ルースの案で道とは違う方向の森のなかに隠れる。すぐに敵兵は前進基地までやってきてルース達を探し始める。1人の兵士がテントの中を確認するため布を手で避ける。

「今よ!」

 ルースの声を合図に、攻撃魔法前進基地へと撃ち込む。

 しかし、敵を減らすことはできず、攻撃が返される。

「あっちの方向だ。」

「攻撃魔法が使えるやつは魔法を撃ち込め。」

 敵側からはルース達の攻撃の倍以上の攻撃が返ってくる。

「相手の数が多すぎます。」

「だめか、さらに下がるぞ。」

 ギジロウ達は少しでも攻撃を分散させるために森の奥へと少しづつ入っては攻撃魔法を撃つことをくりかえす。

 森の中に光が瞬き、轟音が轟見た目は派手だが敵の勢いが落ちる様子はない。

「ギジロウさん、森の中に入ってしまっては攻撃魔法が相手にしっかりと届きません。」

 真っ直ぐにしか飛ばない攻撃魔法では途中の立ち木に阻まれるのはもちろん、射線上に枝が垂れ下がっているだけで威力が減衰してしまう。

「これでは数を減らすのは無理か。ルース、もっと引き付けてから攻撃するようにしよう。」

「引き付けると言ったって、どうするのかしら?」

「待ち伏せだ。待ち伏せて敵に攻撃を加えたらすぐにさがろう。一旦、攻撃を止めてくれ。攻撃魔法の光はこちらの居場所を知らせるだけだ!」

「わ、わかったわ。」

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