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第4話 森の中の戦い(2)

 ギジロウ達が宿屋の前から去った後、ファナスティアル王国の増援が宿屋の前にやってくる。到着した兵士は宿屋の中にすぐに突入し、まだ息のある兵士を手当する。

 少し遅れて部隊の隊長が本体を引き連れて到着する。隊長は直ぐに馬を降りて手綱をその場にいた兵士に引き渡し、部下に状況を尋ねる。

「対応していた警備隊の状況はどうだ。なにか情報はもらえたか?」

「警備隊のほうでは死者も出ており壊滅しております。当時の状況も聞き出せておりません。宿屋の内部の捜索を進めていますが、首謀者と思われる人物は見つかっておりません。」

「なるほどね。警備隊で対処できなくなって俺らに出動要請か出たのか? 首謀者については何かわかったか?」

「また、首謀者と思われる人物達が宿屋の前から逃げるのを先に到着した者が目撃しています。そちらについては現在、数名が追っています。」

 部下の言葉の後には、遠くから爆発音が響いてくる。

「うちの部隊が交戦しているのか? 今到着した者は首謀者の追跡に行け! また、司令部に中央地区から外へ出る道の封鎖を依頼しろ。門だけではなく農業地区、工業地区へ続く通りも封鎖だ。」

「わかりました。」

 隊長の指示に従い部下は直ぐに動き出す。隊長は宿屋の中に入り、宿屋内部を調査している部下に話を聞く。

「なにか、わかったか?」

「摩法攻撃を受けた傷がある者がいます。敵の中に攻撃摩法が使える人物がいるようです。」

「まぁ、それくらいだったら珍しくないな。相手側の強さがわからないから対摩法装備を用意するか。他には何か特筆すべきことは?」

「えっと、あまり想像しづらいのですが……。」

「どうした、言ってみろ。」

「戦闘では爆弾が使われたようです。」

「ほお。」

 部下は隊長を爆弾が爆発した形跡が残る部屋に連れていく。

「この臭いは俺らに最近使用が許された爆弾というやつだな。そこで倒れているのはうちの警備隊だな。まさか敵が使ったのか?」

「わかりません、警備隊が持ってきて取り扱いを間違えた可能性もあります。」

「警備隊は死んでいるのか?」

「いえ、気絶しているだけのようです。容態が不明なため医官の到着待ちで無理には起こしていません。」

「そうか。」

「隊長!すぐ来てください。」

 別の部下が大慌てでやってきて、ギジロウ達が寝ていた部屋に案内する。

「これは、うちの倉庫に保管されていた爆弾の殻じゃないか? やつらこれをいつの間にか盗んでいたのか?」

(爆発の跡は、これを使った時の形跡にしては被害が少な凄いな。まさかーー)

「そんなことが可能なのか?」

 遠くで爆発音が聞こえる。

「検分は後だ! 俺らも合流するぞ! 怪我人の手当てに必要な人材以外は俺についてこい。」



 ギジロウ達は増援部隊がやってくる方向から逃げるように少し大回りで未踏の森の方へ向かう。

「後ろから追いかけられている。」

 シノは一緒に乗っていたフローレンスに敵が追いかけてきていることを伝える。

「ギジロウ様! 敵が追ってきています。」

「やはり、見つかっていたか。」

「次の通りは総督の館前の大通りです。民家も密集していますし、人通りも多いので敵もうかつに攻撃できないはずです。」

「そうなのか、ベン! 総督の館の大通りを未踏の森の方向へ逃げられるか?」

「わかった。」


 ギジロウ達は角を曲がり大通りに出る。しかし、期待とは裏腹に深夜の通りは全くと言っていいほど人がいなかった。

(占領下だから、人も出歩いていないか。)

「ご、ごめんなさい。」

「ルッチ、謝らなくてよい。」

 直後、後方で爆発音が響く。


「シノ、爆弾を投げるのなら先に言ってください! びっくりしますわ!」

 最後尾におり爆風を浴びるフローレンスは焦りながらお願いする。

「あ、わかりました。投げます。」

「えっ、ちょっとーー直前過ぎませんかーー」

 シノは別の通りから出てきた敵兵に向かって爆弾を投げる。


 そんなやり取りを聞いて、ギジロウは思わず笑ってしまう。

「一緒に逃げている仲間は心強いな。ルッチ、みんなで協力すれば必ず逃げれる。お互いに支えあおう!」

「は、はい。」


 ベンの方が馬の扱いが上手なようでギジロウとベンの間に距離が開いてしまう。

「ベンの馬が速いです、私たちが遅れ気味なので少し速度を落としてもらいましょう。」

 ルッチが叫ぼうとすると、敵の騎兵が脇道から出てきてベンとギジロウ達の間に入り込む。距離が開いていたため後方にいたギジロウ達のことが見えていなかった敵は、全員でベン達に襲い掛かる。

「ルッチ、飛び道具はないか。」

「私たちは、攻撃魔法も使えないですし、弓もないです。」

「くそ、どうにか対処してくれ!」


 そんなギジロウとルッチの心配をよそにベンとサ―マリーは歩調を合わせて敵兵に対処していく。

 サーマリーがベンを掴みながら迫る騎兵に対して攻撃魔法を撃っていく。それでも、近づいてきた騎兵をベンが斬り付ける。

 しかし、今度は左右両方の後ろ側から騎兵が迫ってくる。

「ベン、両側から来るわ!」

「おっす、速度を落とすぞ。」

 ベンは一気に馬の速度を落とし敵兵に追い越させる。

「サ―マリー、左を狙え!」

「わかったわ!」

 サーマリーは左の騎兵に攻撃魔法を撃ち、ベンは右の騎兵に馬を寄せ剣で殴る。

「よし、これでとりあえず追いかけてきた敵兵は対処できたか?」


 総督の館の前を通り過ぎ、未踏の森へと続く最後の道を全力で駆ける。

「この先は軍の基地の前の通りのはず。敵も多いか?」

 ベンはサ―マリーに話しかける。

「既に準備を始めているようね。」

 サ―マリーは道路上に敵が障害物を設置しているのを見つける。

「よし、強行突破だ。サーマリー援護は頼んだぞ。」

 ベンは馬の速度を上げ、敵に突撃する。馬の進路上に向けてサ―マリーも攻撃魔法を撃つ。

「どけぇぇぇぇ! 当たると痛いぞぉぉぉぉ!」

 馬を跳躍させ作りかけの障害物を乗り越える。


 ベンに引き続き、ルッチ、フローレンスも馬で障害物を乗り越えていく。シノは置き土産のように集まっていた敵にむかって爆弾を投げる。


「このまま、ルース達の元まで帰るぞ。」


 ギジロウ達は強行突破してルース達の元を目指す。


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