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視察

 『う~ん……太郎ちゃん、この辺が1番の繁華街なの?』


 ユキの少しだけ期待外れで、残念がってる声が車の中に響く。


 「そうだな、駅前のこの辺が繁華街になるな、まぁ向こうは、県庁所在地な訳だし、比べるのもな」


 現在俺は、2号店を出店させる予定になってる、県内第2の都市に来ている。ちょっとした下調べと、最近ユキと2人っきりで、どこかに行くなんて事も減ったので、ドライブデートってやつも兼ねて、ユキを誘い、やって来た。


 『この辺りのマンションに部屋を借りる予定?』


 「それなんだよなぁ……この辺りに借りるか、高速のインター付近に借りるか、悩んでるんだよ」


 『何で、高速のインター付近?』


 「あ~ホテル街ってやつがあって」


 俺のその言葉だけで、ユキには通じたようだ。

デリヘルと言う風俗。女の子を、自宅に居てもお届けします。

なんて感じにやってるが、実際は90%以上のお客さんが、ホテルに部屋を借りて女の子を呼んでいるのが実情だ。


 届ける先が多くなりそうな、ホテル街の近くに借りるって手も良いが、色々と問題も無い訳では無い。


 『近い方が便利じゃない?』


 近いと確かに便利なんだが、俺らの住む県のデリヘルルールと言うか、ローカルルールだと【交通費】を取るのが、一般的だ。うちの店では、この交通費を、実際に女の子を車に乗せ、運ぶ人間に50%払ってる。割りと良い小遣いになるんだが、近いと取れないんだよな。一律いくらに変えて、料金に上乗せしちゃうって手もあるのはあるんだが……


 『あっ太郎ちゃん、そこのコンビニ寄って』


 ユキに言われて、コンビニの駐車場に車を停めた。

車を降りてコンビニに向かおうとしているユキに声を掛ける。


 「ユキ」


 『コーラでしょ?』


 そう言って笑ってる。本当よく気の効く子だ事。俺には勿体ない。

5分ほど経ちコンビニから出てきたユキ。車に乗り込むと、俺にコーラと一緒に、1冊の雑誌を渡してきた。


 『こっちの方のお店しか載ってない雑誌があったよ、この雑誌なら、ルイちゃんも、顔出せるんじゃない?』


 そう言って、ユキが買ってきてくれたのは、こちら方面の風俗店が載っている情報誌だった。


 ユキにお礼を言って、コンビニの駐車場で、雑誌をペラペラと捲り眺めていた。


 「こっちの方が比較的、料金が2,000円~5,000円ぐらい高いんだな、交通費も更に取ってるのか……」


 『料金は、1号店と同じにするんだよね?』


 「なぁユキ……料金を1号店と同じ値段にして、交通費を取るのと、料金をこっちに合わせて高くして、交通費無料にするのと、やっぱ無料って書いてある方が、インパクト強いかな?」


 俺は雑誌を見ながら、思い付いた事をユキに聞いてみた。


 『太郎ちゃん! それいいじゃん! 料金は相場と同じだから、お客さん違和感無いだろうし、だけど交通費は無料にするの良いと思うよ』


 そっか、そうだな。一律2,000円程度上げて、市内交通費無料。なんて感じにするか。


 「ユキ、それ採用」


 その後、車の中で、少し話をした後、コンビニから出て、車を、駅前で見付けていた、大手の不動産屋に向かう。

交通費を無料にすると決めたんだから、事務所に使う部屋は、ホテル街付近の方が便利だ。その辺りに良い部屋が無いか、不動産屋で聞いてみようと思った。


 「それじゃ、今から不動産屋に行って、ホテル街付近の空き情報を聞いて、可能なら内見も済ませちゃおう」


 『2人で不動産屋に行ったら、新婚さんが部屋借りるのかと思われちゃうかもね』


 「かもな」


 そう言って、車の中でユキと笑いあった。まぁ、将来の事は誰にも分からないが、ユキとそんな風になってもいいな。と思えた。


 その後、不動産屋で話を聞いて、事務所兼寮として使える部屋と、出来たら同じ建物内にもう1部屋空室がある。と言う条件で、2軒ほど、見当を付けて貰った。

当分、こっちに居る事になる、俺。ユキ。ルイ。それに俺達よりも長くこっちで暮らす可能性の高い、近藤。4人が住む部屋も必要になるからだ。


 不動産屋の案内で、条件に合うマンションの部屋を見に行った。

部屋の間取りは4LDKを最初から希望として伝えてあったので、その通りの間取りだったのだが、1軒目は、3部屋が6畳で1部屋が8畳の間取りだった為、却下とした。

2軒目は、全ての部屋が8畳と広く、1つ上の階に同じ間取りで、空室もあるとの事で、ユキと話し合い、このマンションの2部屋を借りる事に決めた。


 その日のうちに契約を済ませ、来週からならいつでも入居可能と言う事だった。

 

 『太郎ちゃん、もう向こうに帰るの?』


 「いや、部屋決まったから、今から家電量販店と家具屋に行くから、来週頭に届けて下さいってな」


 『そっか、それより、購入資金とか大丈夫? 私立て替えておこうか?』


 ユキよ、お前……2部屋分の家具と家電の代金を、ポンと立て替えられるぐらい銀行に預けてあるのか? あるんだろうなぁ……さすが風俗嬢……ちょっと通帳見せてみろよ! いや……やっぱ止めよう、泣きそうになるかも知れない。


 「あ~今日、こっちに来る事は本社に言ってあるから、開店資金が、振り込まれてたから、金は大丈夫」


 その後、ユキと2人、家具屋と家電量販店を回り、取り合えず確実に、不動産屋で借りた部屋に住む事が決定している、4人分の物を購入した。


 

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【風俗嬢と呼ばれて……】堕ちたJDの末路
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