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【四周年】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
二章 ストーカーは隣人で!

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己を知り、己を知れば、己のことが分かるんですよ! 【スキル検証】【自律分身】【意識共有】

回想終わり。

時系列は、買い物帰りにオトナシさんが絡まれていたのを助けて帰宅した後

 俺はダンジョンの拠点部屋にいる。


 六階層を偵察したときのことを思い出した。

 ――ゴブリンの探知能力の謎を解かねばならない。



 だが――敵を知る前に、知るべきことがある。

 己を知る――自分のスキルを検証するのだ。


「よーし。六階層の攻略をする前に、まずは自律分身を把握しよう!」


 ひとつずつ、じっくり行こう。



 自律分身については、わかっていないことが多い。


 とりあえず調べたいのは――再使用可能(クールダウン)時間、魔力消費(コスト)、耐久力だ。


 まず、クールダウン時間の長さ。

 これは、最低でも2時間。


 六階層の攻略中にも、帰り道にも発動しなかった。


 もう一晩経っている。

 今は、買い物に行って帰ってきたところだ。


 おおむね12時間。

 さすがに、もう使えるはずだ。試してみるとしよう。



 ――しかし、ちょっと、自律分身を使うのはためらわれるな。


「だが、迷ってないで行動だ! ――自律分身の術!」

「――っと。――よう、俺」


 ――発動した。


 もう一人の俺が、俺の前に現れる。

 気まずげな表情を浮かべて片手をあげている。


「よう、俺!」


 俺も同じ表情で、同じ挨拶を返す。


 相手はつい数秒前の俺から分岐した()だ。

 だから、さっきまでの俺の心情をよくわかっている。


 自律分身に対する迷いや、懸念(けねん)を。


 なので、ここでお互いに無駄口はきかない。


 だって、さっきから俺がそう思っていたからね。

 ――無駄口叩いてもしょうがないってね。


 俺がそう思っているってことは、()もそう思っている。


「――なんかさ、普通に考えても環境大臣構文みたいにならないか?」と、分身。

「ああ、なるな! そしてやっぱり、無駄口叩くことになったな」


 環境大臣構文とは――

 環境大臣の迷言風の言葉遣いのことだ。


 ――独特な言い方で、かわった言い方をすることなんですね。

 ――同じことを何度も言うってことは、同じことしか言ってないってことです。


 俺が、分身のことを考える場合、これに近い表現になってしまう。

 ちゃんと意味があるんだが……。


「おい、表情でわかるけど――お前くだらないこと考えてるだろ。……俺もだぞ」

「まあ、おかげで迷いは吹っ切れたよ。俺もお前も俺なんだ。どっちだっていいや!」


 俺は本体と分身を分けて考えることをやめる。

 どっちも俺だ。


 そう考えれば少し、すっきりする。

 その俺を見て、分身が肩をすくめる。


「ちなみにお前は本体で、俺が分身だけどな。俺のほうは自覚がある分、ちょっと気持ちはフラットじゃなくなるね」


 そういう分身は、真顔だ。

 顔はフラットにしなくていいだろ!


「ま、あとで混ざれば俺ってことで、な」


 一応、言ってみる。

 もちろん、同じじゃないことはわかっている。


「あのな、だまされるわけないだろ。【意識共有】の効果――もうわかってるだろ?」

「ああ……わかってるさ。お前と同じだけね」


 分身が言っているのは【意識共有】の共有率――還元される率のことだ。


 分身が消えるとき、意識は還元される。

 だが、完全ではない。


 情報の大部分は消えてしまうんだ。

 要約されて、無駄が省かれる。

 どうでもいい感想や、些細な出来事は削られる。


 たとえば、今考えているようなことや、雑談みたいなもの。

 過程や方法。迷いや途中式だ。

 電卓ではじいたみたいに、答えだけが残る。

 強い感情や印象だけが残る。


 それ以外のことは――薄く、ぼやける。色を失う。

 ああ、そんなこともあったような――くらいの記憶になってしまう。


 それは最初の分身が消えたときに、わかっていることだ。



「だから、俺はお前の気持ちが完全にわかる! 同情は要らないぞ!」


 と、分身が言う。

 こいつはさっきまで俺だったんだから、もちろん俺のことがわかる。

 隠し事はできない。


 分身から俺への記憶は、要点しか残らない。

 俺から分身へは、完全な記憶が引き継がれる。


 ここが問題なんだ。

 完全なコピー。

 つまり……コピー、イコール、俺。


 【自律分身の術】が発動して生まれた自律分身は、俺と等しい。

 つまり俺の意識は、かならず自律分身として生み出される。

 生まれると同時に「俺は自律分身だ」という自覚が植えつけられる。


 術者である本体は、もちろん俺だ。連続して続く俺の意識だ。

 枝分かれして、二本になる。その両方が俺。


 分身になるほうの俺、かわいそうとか考えていた俺が次の瞬間には分身として生まれている。

 ――どっちが分身、という分け方はできない。


 何度くり返して考えても、すっきりしない。

 だが、そうなのだ。


 そして、その新しい俺は必ず消える。

 そのとき、いくらかの情報を失う。


 トータルで考えると一度は増えた情報が、すこし失われながらも戻ってくる。


 足し算で考えれば、増えている。

 でもそこに、俺は割り切れないものを感じる。


「でもよ……」

「いや、本体のお前が俺より悲壮感出すなよ! やる前から納得してたろ? 俺は大丈夫。お前もしゃんとしろ!」


 分身が、俺の背中を手のひらで叩く。

 ダンジョンに、パァンと、小気味いい音が鳴り響く。

 ――気合入ったわ!


「おう! 俺は大丈夫だ。クヨクヨ終了!」


「んじゃ、検証続けようぜ! とりあえず、クールダウン時間は12時間以下だな。次は6時間くらいで試してみるか」

「あと、持続時間も計るぞ。前回は1時間前後だったと思う。――忍具作成!」


 ――手の中に光が集まる。


 【忍具作成】(にんぐさくせい)で作るのは――


 ――砂時計だ。


 忍者だって時計くらい使う。

 つまりこれは忍具。

 特に問題なく、砂時計が手の中に現れる。


「お、名案だな。ダンジョン内じゃ時計がなくて不便だったからな!」


 出来上がった砂時計を分身に渡す。


 どんどん、サイズ違いの砂時計を作っていく。

 砂時計は、砂の量や質で計れる時間が変わる。


 違う尺度の砂時計を作ることで、何度もひっくり返さなくてすむ。


 とりあえず、30分、1時間、6時間の時計を作る。

 足りなければまた作ればいいだろう。



「後はコストと――」と分身。

「あ、コストはわかったぞ。結構重いんだ。ずしっと来るわ!」


 さっき発動した段階でもうわかっている。

 かなり重いが、発動できない心配はない。


「お? そうなのか。俺はコストを払った記憶がないから――生成と同時に本体側が支払ってんだな……なるほど」


 分身側は、発動の瞬間、コストを支払うより前の俺としてコピーされているんだな。

 へえ、すこし時差があるのか。

 まあ、些細な違いで、影響はないだろう。


魔力の消費(コスト)は、これまでに使ったスキルの中でナンバーワンだな!」

「頭痛は? 魔力酔いは?」


「ない。二連続で使えばたぶん、酔うかな。ま、クールダウン時間があるからできないけどね」


 魔力酔いとは、俺が勝手に呼んでいるものだ。

 ……いや、リヒトさんに聞いたんだっけ?


 魔力を短期間にたくさん使うと頭が痛くなる。めまいがする。

 そういう症状だ。時間をおけば治る。


 瞑想などで魔力を回復すれば治りも早くなる。


「スキルって、スキルレベルを上げたらコストも増えるよな?」

「自律分身のスキルレベルを上げたら、一発で魔力をドカ食いするかもしれん」


「分身側は、そのコストを感じないのがうまみかもな」


 ()は薄く笑っている。


「そうだな。うらやましいかもな!」


 俺も笑った。

慎重系主人公!

六階層、オトナシさん……進めたい話があるのになかなか先へ進んでくれない!

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― 新着の感想 ―
[一言] こ、これは、ボッチ対策?←違う
[良い点] 楽しく読ませてもらっています。 [気になる点] 分身の話が微妙でした。 [一言] 進展が遅く感じます。 もう少し削れる気がします。
[一言] こうぃずみ構文
感想一覧
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