装備改善! 長さもサイズもまちまちで、形も自由!? 【装備】【鎖分銅】
薬は奥が深い。長くなりすぎるので、いったん先へ。
前話で書かれていないアイテムも作成できます。たとえばファンタジー効果のある毒消丸とか。
「薬術はだいたいオーケーだ。素材に薬草を使えば、効果の高い回復アイテムが作れる」
これで、継戦能力はクリアしたな。
【回避】などで被弾を避け、【瞑想】で休み、【薬術】で癒す。
あとは装備だ。
「次は装備品を改良していくぞ! 鎖分銅からだ!」
ぶんどうではなくてふんどう。
分銅鎖と呼ぶ場合もある。
両端に錘がついていて、振り回して武器にする。
錘を手に持って打撃してもいい。
鎖で敵を拘束したり、敵の武器や腕を絡めとったりもする。
投げて巻き付けることもできる。
鎖分銅は忍者だけでなく侍も使うことがあったらしい。
帯刀できない場合に使ったそうだ。
持ち運びしやすく、それでいて強力。
一般的な、現実的な武器なのかもな。
現実に鎖分銅を使う流派もたくさんある。
流派によって使う形が違ってくる。
鎖の長さはまちまち。
30センチから1メートルほどが多い。
長ければ2メートルほどあったりもする。
分銅の重さもまちまち。
丸いもの、鈴形、四角柱、細長いものなど。
両側に同じ錘がついている場合もあるし、片側が棒状になっていたりもする。
錘が片側の場合もある。多彩である。
まちまちで、まちまちだ。
つまり、鎖分銅のスタイルは自由ってことだ。
漫画やゲームの忍者はよくコレを懐に忍ばせている。
これを遠くの木や、崖のでっぱりに巻き付ける。
そしてぶら下がってスイングしたり、体を引き寄せて上に登ったりする。
――ということは、かなりの長さがあるはずだ。
2メートルか、それ以上。
描写によってはもっと長い。
「でも……そんな長い鎖をどうやって懐にしまってるんだ?」
長い鎖はかさばるはずだ。
それなのに音も立たない。
チャラチャラと音を立てるはずだ。
……不思議だ。
忍者の懐の深さが知れるな。
うん、忍者の懐の深さは無限大だ!
その無限大の懐ってさ……アイテムボックスなんじゃないかなあ!?
だから、忍者は収納スキル使えてもいいよね!?
いいはずだ!
アイテムボックスはよ! はよ来い!
スキルリストを眺めても、やはり現れない。
……まだだめか?
シャイなのかな。隠れてないで出ておいで!
かたくなに使えるようにならない収納スキル……。
せつない片思いだ。
……なかなか実らないなあ。
一応、素材として鎖を買ってある。
細めで、強度が高そうなものを選んだ。
しかし今回、鎖は使わない。
使うのはワイヤーだ。
つまり、作るのは鎖分銅ならぬ、ワイヤー分銅ってことになるな。
俺の懐は狭いので、無限に収納できない。
重さも、サイズも限界がある。
それに、鎖の音も隠密の邪魔をする。【消音】で消し切れる音にも限度がある。
そこで、ワイヤーなのだ。
忍者の時代には存在しなかった軽くて強度のある素材。
そして、静かだ。音もあまり立てない。
俺の求める条件を満たしている。
用意したのはステンレス製のワイヤーロープだ。
サビにくく、耐久性もいい。
ワイヤーの太さによって、強度が変わってくる。
三種類の太さを用意した。1ミリ、2ミリ、3ミリだ。
これらは7×7構造になっていて、強靭さも増している。
細いワイヤーを7本より合わせ、さらに7本より合わせている。
使うのは直径3ミリのワイヤーだ。
スマホの充電ケーブルより太いくらいだな。
しなやかで、曲げることもできる。
鎖に比べると、ずいぶんコンパクトだ。
細いので頼りなく思えるが、なんと「切断荷重」が700キロほどもある。
切断荷重あるいは破断荷重は、この重さをかけると切れてしまう基準だ。
これ以下の重さなら耐えられるというワケ。
「といっても、そんなに重みがかかることはないハズだ」
俺がぶら下がっても、装備込みで100キロを下回る。
たとえば巨漢の相撲取りでも200キロもない。
切れる心配は小さい。
現実には「安全荷重」という基準があって、こちらは切断荷重を6で割ったもの。
つまり、116キロ。
とはいえ、安全のためにかなりのマージンをとっている数字だ。
劣化や摩耗も考慮されている。
工事などで荷物を吊るときなどにプッツリいったら危ないからね。
俺がダンジョンで使う場合は、切れなきゃいいのである。
命綱として使うわけでもないしね。
もっと太いワイヤーもあるが、重さや取り回しを考慮して3ミリとする!
こんな太さで大丈夫か?
大丈夫だ、問題ない。
安全ヨシ! まあまあでヨシッ!
続いて、両端につける分銅部分だ。
俺が用意した分銅は、およそ百グラム。
釣り用の26号のオモリだ。
ちなみに号とは昔の単位の匁と同じで、3.75グラムだ。
26匁は97.5グラムになる。
このオモリは数百円で買える。安い。
色々試したいので、複数個購入してある。
形は細長い円柱状のもの。
これをそのまま取りつければ、万力鎖に近いものになる。
――形は丸みがあると威力が弱まる気がする。
このあたりはスキルで調整する。
【忍具作成】君は頼まれたら断れないタイプ。
イメージすれば、聞いてくれるからね。
イメージは六角形柱で、外側に厚みがある形。
ぶつけたときにカドが当たる。
手に持つにも滑りにくい。
ワイヤーと錘を一体化させて作ることもできるが、取り外し可能にしておく。
ワイヤーと分銅をクリップ金具とかナスカンのような金具でつなぐのだ。
ウォレットチェーンの財布側につけるパーツみたいな感じだ。
こうしておくことで、分銅の形や重さを変えることができる。
気分や状況に応じてチェンジできる。
分銅以外も取りつけることができる。
「うーむ。今度は、この金具の強度が心配になってくるな――」
――しかし、強度に関しては【忍具作成】君に丸投げしてしまおう。
たのむぜ【忍具作成】君!
せっかくスキルレベル3にしたんだ。できるとも!
【忍具作成】君にできないはずがない。だよな? な?
パワハラではないぞ。
彼とは友達だ。心の友だ。
俺ら、マブダチだよな? な?
「では、作成だ。頼むぜブラザー!」
理想の鎖分銅をイメージする。
それを、スキルに伝える。
この工程も慣れてきて、スムーズに行えるようになってきた。
ワイヤーの長さは3メートル。太さは3ミリ。
しなやかに曲がるイメージ。
分銅は100グラム。
六角柱で、外側が厚い形。細長く、長さは8センチ。
ワイヤーと分銅は取り外し可能なパーツで連結する。
すべてのパーツは艶消しの黒。
素材と魔石が輝きを増す。
光が収まると――俺の手の中にワイヤー分銅が完成していた!
「さすがだぜ心の友よ! 完璧な出来栄えだ!」
さあ、さっそくぶん回そう!
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