易しいとか普通とか……。基準は曖昧だよね! 【装備】【スキル取得】
通販で食料品やクラフト素材になりそうなものを注文しておく。
朝起きて夜寝る生活に戻すべく、今は2時間ほど仮眠を取るだけにしよう。
ダンジョンの中だとステータスで疲労感が軽減されるから、リズム狂うんだよな。
1日が24時間じゃ足りないな。
30時間くらい起きていられそうだ。
ステータスが外でも使えたら、いくらでも働けるのにな。
って、働いてどうするよ。
……結局俺は仕事が趣味だったんだろうな。
嫌だ嫌だと思っていたけど、やりがいはあったんだ。
まあ、済んだ話だ。
今はダンジョンがある。
ダンジョンのほうが仕事よりやりがいもあるし自由にやれる。
俺の性に合っているんだ。
「まあ、お金にはならないんだけど……」
貯金が尽きてきたら、何か金策考えるかな。
まだ仕事辞めて一週間だし、無駄遣いもしていないから生活の心配は先のことだ。
金策か……例えば。
ステータスを生かして内職とか、できそうだな。
敏捷のおかげで器用に素早く動ける。
体力のおかげで疲れにくくなる。
長時間、大量生産ができるわけだ。
外から持ち込んだ素材をスキルを使わずに作れば、持ち出すことができる。
オークションとか個人売買アプリで売りまくるとか……。
俺に芸術的センスはないから、絵とか彫刻とかは作れそうもない。
そのあたりの知識やセンスが身につくスキルがあれば、あるいは……。
しかし、大金をつかめそうな気がしないなコレ。
金儲けについて考えてもあんまりワクワクしないんだよな。
「ま、それはいいや。とりあえず仮眠!」
目を覚ました俺はダンジョンへ移動する。
「よし、今度こそ鉢金を作るぞ!」
前回の鉢金は素材がよくなかった。
それにスキルレベルも足りていなかった。
フライパン鉢金のような失敗はもうしない。
今回はゲットした鉄鉱石を使う!
ファンタジーな素材であるこいつなら、想像通りのモノが作れるはず。
さらに、スキルレベルを上げておこう!
【忍具作成】が有用なのは間違いない。ポイントで上げてしまう。
さらに、足場の悪い四階層を想定して【跳躍】と【軽業】も取っておく。
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【忍具作成】2(1より増加)
【跳躍】1(NEW)
【軽業】1(NEW)
(残ポイント:5→1)
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※必要箇所以外は省略
【忍具作成】を上げるには2ポイントかかった。
まだ熟練度は足りてなかったようだ。
端数が消えずに持ち越されることを期待しておく。
ステータスウィンドウで確認してみる。
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【忍具作成】
レベル1:簡易な道具を作成
レベル2:普通の道具を作成
レベル3:複雑な道具を作成
レベル3への必要ポイント:4
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レベル2になったので「普通の道具」が作れるようになった。
これまでは「簡易な道具」の範囲内で無理やり難しいものを作ろうとしていた。
そりゃ無理が出るってもんだ。
すまんね【忍具作成】君。無茶振りだったよ!
簡易な道具というのは、パーツが一つ二つで出来上がる品物だ。
忍者マフラーや手裏剣は作れたな。目つぶしはカラと中身の2パーツだ。
普通の道具というのは、パーツが三つか四つくらいまでなら大丈夫かな。
鎖分銅とか、鉤縄とかが作れるようになるはずだ。
レベル3の複雑な道具まで行けば、武器とか防具などの複雑な物も作れるんだろう。
「鉢金は防具だし、複雑な気がしなくもない。いや、気のせいだ! パーツも少ないし、普通だ。できる。できるぞ!」
前に考えたような複雑な鉢金を作ろうとしなければいいんだ。
シンプルに、額を守る薄くて丈夫な鉄の面。
コウモリの黒い皮で金属を挟み込む感じ。
金属が外に出ているとメタリックな輝きがカッコいいのだが、俺の目指す方向性ではない。
あくまで地味に。
あくまで闇に潜んで目立たない黒を推す!
鉄鉱石と皮と魔石を用意して、完成品を強くイメージする!
「忍具作成! ……どうだ! やったか!?」
クラフトスキルが発動して、素材が光り輝く。
光が収まるとそこには――
――想像通りの鉢金が完成していた。
「よしっ! さすが忍具作成君! やればできる!」
さっそく装着してみる。
金属は頭の形に沿って湾曲している。フィット感もいい。
重さも丁度いい。ズレることもない。
ハチマキのように後ろで結べば、しっかりと固定される。
金属は外に露出していないので、光の反射などでバレる心配もない。
素材にした鉄鉱石は全部使い切ったようだ。
魔石の消費は10個。さほど高くないな。
鉄鉱石が素材だったのがよかったのかも。
「これでやっとまともな防具ができたな。ほかにも作りたいものはあるが……素材が必要だ」
現代で手に入る素材は発注済。明日には届くはずだ。
拠点も整備したい。机すらないからな。
誰に見せるわけじゃないけど、地べたに素材並べてクラフトするのって、どうよ。
ちょっと悲しいじゃない。
忍者の秘密基地みたいな感じにできたら楽しいぞ。
ズラッと並んだ忍者道具や武器を見てニヤニヤしたい。
大の大人がやる事かとも思うけど、こういうのは、いつやったっていい。
趣味なんてやったもん勝ち。
自分が楽しけりゃいいんだ。
「当面、ここに誰かが来ることもないしな」
俺はダンジョンのことを人に言う気はない。
目立ちたくないし、こんなファンタジーな存在を個人で持ち続けることは許されないだろう。
危険だとか貴重だとか、理由をつけて奪われてしまう。
前に考えたみたいに、薬草や治癒薬を狙われることも考えられる。
たぶんリヒトさんも、そういう考えで架空のゲームとしてリアダンを公開しているのだろう。
多数の人に知らせるつもりはない。
だけど、ダンジョンを持つ人には情報を流したい。
わかる人にだけわかる内容で発信する。
ただの親切なのか、何か目的があるのかはわからない。
今のところ、俺には悪いことは起きていない。
話した感じも、嫌な感じはない。
疑って有益な情報を無視するのは愚かだ。
何も考えずに信じるのもダメだ。
自分の頭を使って、書かれていることを取捨選択していく。
「あ、そうだ。外から持ち込んだ品物も消える可能性があるんだったな。在庫をチェックしておこう!」
収納箱の中には魔石が20個ほど。
使わない装備品。鎌、フライパン鉢金。寝袋。安全靴。
予備の装備品。クギ各種。投げモノ各種。
そのほか、アパートの部屋で使わないがらくた類。
これは単に部屋を広くするためにしまっているだけだ。
クローゼットがダンジョンになっているから、収納スペースがなくなったため。
ちゃんと「認識」していれば消えないなら、ダンジョン全体が倉庫みたいなものだ。
倉庫業でもやったら儲かるかな?
……他人の物は「認識」できないから消えるのかな?
いや、他人の物を預かるのは違うな。やめておこう。
とりあえず箱を動かしたりしてみる。
認識する、というのは曖昧だからな。
気休めだけど、消えてしまう理由が長時間放置することだとしたら、触ったり見ることで阻止することができると思う。
「よし、装備はOK! 四階層の攻略へ行くか!」




