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【四周年】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
三章 冷蔵庫は無理ゲーで!

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乗るしかない! この大波に!

 諦めの色が強くなっていたトウコに、やる気が戻った。

 このダンジョンに長く潜っていると、正気が保てないんだろう。


 俺もちょっと味わっただけで、もう帰りたい感じだ。

 出口はないので出られないわけだが……。

 出られたとしても、一人で帰るつもりはない。

 ちゃんとトウコを連れていく。


 今回は趣味でダンジョンに潜っているんじゃない。

 助け出すことが目的だ!


 自分のダンジョンの時はあまり怖さは感じない。

 慎重になったり、ケガをしないようにとは思う。

 最近だとクモが少し怖かったか。

 コウモリも顔がコワかった。

 もうゴブリンとか、かわいいと思えてくる。


 ここは俺のダンジョンとはコワさの種類が違う。


「……この洋館は雰囲気がヤバすぎるな!」

正気度(SAN値)がガリガリ削られていく感じっスね! 死ぬ感覚はまたヤバイっスよ!」

「死なずに脱出したいもんだ。生き返れるとしても、味わいたくないわ!」

「そうっスね」


 敵と戦っていないときでも、じわじわとした恐怖を感じる。

 薄暗く、場所によってはかなり闇が濃い。

 なにもない場所にも、なにかが潜んでいるような不安感。

 通り過ぎた場所にも敵がわく。安心できる場所がない。


「さっきの不運の件もある。トウコの気づきに救われたからな。ここからはもっと話し合っていこう。時間は食っちまうけどな」


 攻略スピードは遅くなる。だが、やはり意識合わせは必要だ。

 そのおかげで、命を拾ったところだしな。


「いいっスよ! 時間かけると敵が強くなるんスけど、これも知っといたほうがイイっスよね?」

「まじで!? 時間が経つと敵が強くなる? なにそれ!?」

「ゲームでいうウェーブ()とかラウンド()制って感じっスかね? 段階的に敵が強く、数も増えるっス。最初は鈍いゾンビなんスけど、さっきのデブとか出るっスね」


 波状攻撃(ウェーブ)か。第一波、第二波みたいに、だんだんと強くなっていく。


 このウェーブ数が、俺のダンジョンの階層に相当するんだろう。


 だとすれば、俺は七ウェーブまでは耐えられる、のか?

 難易度の違いと初挑戦であることを思えば五ウェーブくらいで厳しいかもしれない。

 ……時間はあまりない。


 だが、それを知らずに進むより、こうして聞いておいたほうが有利だ。

 ウェーブ制度だということも知らなかったからな。


 二階になったから敵が強くなったわけじゃないのか。

 場所が重要ではなく、時間経過で敵が強くなる。

 それなら、限られた時間で準備をしないといけない。


「ちなみに今は、何ウェーブ目なんだ?」

「三ウェーブっスね。ここからデブがでるっス」

「もう三ウェーブなのか! 思ったより早い周期で進むんだな!」

「あたしが最初にこの洋館に来たときは、もっとゆっくりだったっス! 手に負えなくなってきたのはこのせいもあるんスよ!」

「ウェーブの周期が早まっている? ……なんだ、それは!」

「わかんないっス! サイアクっス!」


 最初とルールが変わっている。

 だんだんと、ダンジョンが凶悪になっているのか?


 これも、俺のダンジョンにはないルールだ。

 難易度の急上昇……。

 そんなもの、クリアできる気がしない。

 ダンジョンが、俺達を殺そうとしているとしか思えない。


 俺のダンジョンも、たまに急に牙をむいてくることがある。

 強すぎるボス。危険な罠。

 だけど、基本的には公平だと言える。

 階層に沿った強さではあるだろう。急激に難易度が上がるわけではない。


 この洋館ダンジョンは異常だ。

 最初っから、持ち主を殺そうとしている。

 実際に、何度もトウコは死んでいる。

 しかも、死んでも終わらない。生き返るが連れ戻される。

 ダンジョンから逃れることができないのだ。


 この違いはなんだ?

 ただ運悪く、ハズレのダンジョンを引いたのか?

 あるかもしれない。

 オトナシさん(リン)のダンジョンは、トウコや俺のダンジョンよりヌルいと感じる。


 ダンジョンごとに難易度、傾向が大きく違う。

 このダンジョンは……容赦がない。


「とりあえず……ウェーブについてはわかった。三ウェーブからはデブゾンビが出ると。さっきの太った、爆発するやつだな? ……俺はボマーって呼んでる。歩くのはウォーカー。走るのはランナー。あと、他の種類もいるのか?」

「へえ、店長の呼び方いいっスね。あたしはゾンビ、素早いヤツ、デブって呼んでるっス。他のだと四ウェーブからタフなゾンビが出るんスけど、普通のとは見分けがつかないっス!」


 ゾンビの呼び方はゲームとか映画によっても違う。

 混乱するといけないから呼び方は統一したい。


「攻略する上で呼び方は統一した方が良いかもな」

「じゃ、店長の呼び方でいいっス。あたしのは適当なんで!」


 トウコは呼び方にこだわりがないようだな。


「よし。それで、四ウェーブで出るのはタフなやつか。見分けがつかないって、ウォーカー風なのか?」

「デブ……ボマー以外の奴はタフになる場合があるっス。頭をつぶさないと死ななくて厄介っス!」

「それは面倒だな……!」


 難易度上昇がハンパない。


「五ウェーブになると全部がタフになるっス!」

「うわあ……インフレが激しい!」


 四ウェーブはタフなゾンビが混ざる。

 五ウェーブは全部がタフになる。


「六ウェーブはわかんないっス。それ以上生き延びたことないんで」


 五ウェーブの難易度が高いんだな。

 俺のダンジョンでも、区切りの階層だった。


「……そうか。俺のダンジョンだと五階層でデカいコウモリのボスが出たんだ。ちなみに、ボスは出たのか?」

「五ウェーブでボスが出るわけじゃないっスけど……それらしいのはいるっス。一階の食堂、厨房にいるっス。こいつ、めちゃくちゃ強いんで勝てたことないっス!」


 五ウェーブはタフゾンビの群れ。

 それとは別にボスが固定配置されている?


「ウェーブに関わりなくそこにいるってことか? もしかして、そいつを倒したらクリア?」

「わかんないっスねえ……倒せるイメージがわかないっス。手持ちの弾丸を全部撃ち込んでも倒せなくて詰んだっス……」


 ウェーブ制度のゲームは、キリのいいところで撤退できる場合がある。

 次のセット、六ウェーブ以上へ進まない、という選択ができる。


 そうであれば、このダンジョンのクリア条件……脱出条件かもしれない。

 そうであってほしい。


 そうでなければ、他の方法を考えなきゃいけない。

 どこかにある出口を探す……。例えば洋館からの脱出。

 なんらかのアイテムを入手するとか、破壊するとか。


 それは今、ヒントがなさすぎる。

 トウコもそれに関連した情報を持っていないようだ。


「じゃ、今後の目的は次の二つだ。五ウェーブを乗り切るか、強力なボスを倒すか。できそうなほうを狙う!」

「リョーカイっス! 一人じゃムリっスけど、店長とならイケるかもしれないっスね!」


 それで、この悪夢から脱出できることに期待しよう。

 できなかったら……。

 永遠にこの悪夢の世界にとらわれるのかもしれない。

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