尻尾グレネードと、見えないステータス!?
十分な準備をして二十四階層へ向かう。
リンが俺のバックパックを見る。
「今日はずいぶん荷物が多いんですねー?」
「収納はほとんど船で埋まっているからな。
あとは、熱水をかぶらないためのポンチョとかも入っている。
さらにポーションや投げ物も多めに持ってきた。
ボスがどんな相手かわからないからな」
船を運び終わったら、収納にポーション手拭いを入れるつもりだ。
そのためにポーションを余分に持っている。
瓶のポーションは手がふさがっていると使えないことがある。
以前それで死にかけたから、ポーション手拭いがないと不安になるのだ。
「あたしも弾薬はバッチリっス!」
トウコがうれしそうにタクティカルベルトを叩く。
グレネードポーチはパンパンだ。
「店長のおかげでグレもたくさん!
投げ放題っス!」
「ボス戦に備えて沢山作っておいたからな」
採掘したおかげで材料はたくさんある。
熱水晶だけでなく、他にも爆発物を作れる材料が見つかったからだ。
その素材は、前に引き換えた『火トカゲの尻尾』である。
放置していたことを思い出し、忍具作成で何か作れないか試したのだ。
結果、熱水晶と同等のグレネードが作成できた。
生物由来の尻尾が、鉱物である熱水晶と同じ原理とは……?
これはかなり不思議な結果だ。
まあ、使い道があるのはいいことだな。
クラフトする前に、肉部分はリンに調理してもらったほうがいいかとも思った。
だが古くなってる気がして、そのままクラフト素材にしてしまったんだよね。
いずれにしろ素材がどうあれ、グレネードの出来に違いはない。
「安全装置付きだとはいえ、気をつけて扱うんだぞ、トウコ」
赤ゴブリンの武器と違って、暴発しにくくなっている。
とはいえ、雑に扱えば危険である。
トウコが親指を立てる。
「わかってるっスよ!
ちゃんとリン姉のお尻に隠れておくっス!」
「トウコちゃん、お尻じゃなくて後ろに隠れるんだよー?」
リンが訂正する。
でも言い間違えじゃなくてわざとだろう。
まあ、安全な位置に隠れてくれればいい。
変な下心で動きが鈍るようじゃダメだけどな。
もちろん俺は下心でミスったりしない!
転移モノリスはまだ使えないので、二十四階層までは歩いて踏破するしかない。
地図を頼りに最短距離を進んでいく。
出会った敵モンスターは正面から打ち破っていく。
もはや対策がわかっているので、苦戦はしない。
リンが思い出したように言う。
「あっ!
そういえば、シズカちゃんのレベル上げはどうでした?」
「うまくいったみたいだぞ。
いくつになったのかは答えてくれないからわからないんだけどな」
「そうなんですねー。
人のステータスは見れませんから……」
「今、あたしのステータスを出してみたっス。
見えないっスよね?」
トウコが自分の前を指差す。
そこにステータスウィンドウが浮かんでいるのだろう。
「もちろん、見えていないぞ」
当然、触ることもできない。
「となると、人間用の鑑定がないと正確な数字やステータスはわからないな。
おっと、赤ゴブリンが来たぞ!」
トウコが素早く銃を向け、引き金を引く。
相手はまだ武器を構えてもいない。
「サイレンスショット!
もいっちょピアスショットっス!」
悲鳴を上げる間もなく、赤ゴブリンが塵に変わる。
こちらに気付いて別のゴブリンが動き出す。
「ていっ!」
俺はナタを投擲し、ゴブリンの頭をかち割る。
リンが残った敵に火球を放つ。
「ファイアボールっ!」
「アギャー!」
最後の赤ゴブリンが炎上する。
手にしていた武器が熱され、赤々と光を放ち始める。
誘爆だ。
だが俺は焦らない。
もう、それを見越して術を用意してあるからだ。
「水忍法――操水。
――水盾の術!」
展開された水の膜が熱を遮る。
こちらは無傷だ。
トウコが親指を立てる。
「ナイスカットっス、店長!」
「ありがとうございまーす!」
「敵はもういないようだな」
「はい、大丈夫でーす」
「戦闘終了っ!
楽勝っスね!」
さくさく進もう!
俺たちは順調に二十四階層へ向かっていく!




