表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【四周年】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1502/1575

地底湖を駆けろ! テスト航海はジェット水流航法で!

 試行錯誤の末、ついに船が完成した。

 予定より大幅に遅れ、半日もかかってしまった。


 木材を組み合わせ、それらしい船を作るだけならすぐだった。

 しかし、いざ水に浮かべて乗ってみると、問題が山積みだったのだ。

 バランスが悪くてすぐに転覆しそうになるし、水漏れもする。

 安定性もなく、まっすぐ進まない。


 その調整に、予想以上に手間取らされた。


 船というのは、浮力、重心、流体力学(りゅうたいりきがく)など、高度な技術の結晶なのだと思い知らされた。

 ただの木の箱を水に浮かべるのとはわけが違う。


 事前にネット動画でボートの作り方や構造は調べてはいた。

 しかし、付け焼き刃のにわか知識では、実戦に耐えうる船は作れなかったのだ。


 具体的なイメージを諦めた俺は、最終的に【忍具作成】君に丸投げすることにした。


 水蜘蛛は忍具!

 船も忍具!

 よしなに頼むぜ、と。


 俺の頭の中にある曖昧な完成イメージと、ネットで仕入れた知識を流し込み、あとはスキルに最適化してもらう。

 いわば、AIに「いい感じの船を作ってくれ」と頼むようなものだ。


 その分、コストは多めにかかった気がする。

 接着や防水、強度の補強のために消費した魔石の量はかなりのものだ。

 まあ、低階層ゴブリンなどの魔石だから懐は痛まないが。


 完成したのは、三人乗りの船だ。

 かなり小型に仕上げることができた。

 一人で乗る分にはいいが、三人だと窮屈かもしれない。


 とはいえ、【忍具収納】での持ち運びを考えれば、これ以上大きくはできない。

 三枠を使って収納できるギリギリのサイズだ。


「さて、テストだ。

 いざ進水式といこう!」


 俺は分身で船を押して水に浮かべる。

 乗り込むと船はぐらりと揺れたが、転覆する気配はない。


 さすが忍具作成君!

 安定性は抜群だ。


「まずは【操水】で平常運転を……」


 意識を集中し、船の周囲の水に干渉する。

 船底の水を後方へと押し流し、擬似的な水流を作る。

 それに乗って、船は滑るように水面を進み始めた。

 ぐんぐんと加速していく。


「うん、悪くない。

 これなら静かに移動したい時にも使えるな」


 エンジン音もなく、オールが水を叩く音もしない。

 静かにスイスイと進んでいく。


 だが、今回の目的はそれだけじゃない。

 あの広い地底湖を、敵に囲まれる前に一気に突破するためのスピードが必要だ。


「よしと。

 次は高速機動……ジェット水流航法のテストだ!」


 俺は船の縁から両手を出し、水面へ向ける。


 イメージするのはロケットの噴射ノズル。

 手のひらから高圧の水を噴き出し、その反動で推進力を得る!


「水忍法――水噴射!」


 両手から凄まじい勢いで水が噴き出す。

 腕に強い反動が走り、船体に力が伝わる。

 一気に急加速した!


「おお……っ!

 は、速いっ!」


 景色が後方へすっ飛んでいく。

 船首が持ち上がり、水面をバウンドするように叩いて突っ走る。

 まるでモーターボートだ!


 だが、その代償として制御が乱れる。

 船が暴れる!


 俺は舌を噛みそうになりながら独り言ちる。


「バランスが……難しいぞ!」


 左右の手からほとばしる水流のバランスが少しでも崩れると、船は即座に横を向こうとする。

 水噴射はパワーはあるが、大味すぎて繊細な操作には向かない術だ。

 俺は必死に体幹でバランスを取りつつ、【操水】を併用して舵を取る。


 右へ左へと蛇行しながらも、なんとか直進させる。

 ふう、持ち直したぞ!


 調子に乗って加速していると、いつの間にか対岸が迫っていた。


「しまった……!

 もう対岸かよ、速すぎる!」


 このままでは激突して木っ端みじんだ。


「減速だ……減速っ!」


 慌てて水噴射を止め、【操水】で速度を殺しにかかる。

 しかし、慣性が乗った船はすぐには止まらない!

 ぐんぐんと岸壁が迫る!


「うおおっ!

 間に合わん、曲がれっ!」


 俺は咄嗟に手の向きを変え、片側を逆噴射させる。

 これにより船は無理やりコースを変える。


 水上のドリフトだ!


 派手な水しぶきが高く舞い上がり、岸壁まで飛ぶ。

 遠心力で船が大きく傾き、水面が目の前に迫る。


「おっとっと!」


 転覆しかける船体を、体重移動と【操水】で強引にねじ伏せ、なんとか水平に戻す。

 船は波に揺られながら、岸の数メートル手前で停止した。


 セーフ!


 危ない危ない。

 ちょっとスピードを出しすぎたな!


 俺が胸をなでおろしていると、頭上から聞き慣れた羽音が降ってきた。


「キィキィ!」


 騒ぎを聞きつけ、コウモリたちが集まってきていた。

 俺の頭上を旋回し、今にも攻撃してきそうだ。


「おっと、またモンスターか!」


 さすがに対岸のエリアまでは間引きできていない。

 揺れる船上で、バランスを取りながら戦うのは面倒だ。


「今はお前らの相手をしている暇はないんだ。

 さらばだ、コウモリ君っ!」


 俺は再び【操水】を発動させ、船を旋回させて発進させる。

 コウモリたちが急降下してくるよりも速く、船は水面を滑ってその場を離脱した。


 この機動力があれば、戦闘を回避して進むことも容易だろう。


 そのまま、しばらく安全な水域で操縦訓練を続けた。

 急旋回や急加速を繰り返したが、船の強度にも問題はなさそうだ。

 魔石をケチらずに使った甲斐があったな。


 ただ、一つ問題点も見つかった。


 スピードを出すと、盛大に巻き上げた水しぶきが船内に降りかかってくるのだ。

 ここなら冷たい水で濡れるだけで済むが、二十四階層では熱湯になる。

 熱々のしぶきを浴びればヤケドしてしまうだろう。


 これにはポンチョでも着て対策しよう。


 テストはこれで十分だろう。

 船を陸に上げ、【忍具収納】に収める。

 俺は満足してうなずく。


 よし。

 これで二十四階層の湖を突っ切れるぞ!

ご意見ご感想お気軽に! 「リアクション」も励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
忍具作成君「ふぅ〜、クライアントの無茶な要求は骨が折れるぜ!、、、忍具ってなんだっけ?」
木の箱を水に浮かべる… 川舟を巨大化しても、海を航行できるような安定性が得られるわけではありませんから。 日本を侵略するために蒙○軍を唆して計画から船の作成まで“やらかした”○鮮の大王が頭おかしいだけ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ