ツルハシはバクチ採掘で!?
「お、ここは掘りやすそうだな!」
洞窟の壁面、床に近いところに熱水晶が生えている。
ツルハシを振り下ろすのにちょうどいい高さだ。
近くに誘爆しそうな水晶もない。
見通しが良く、敵に不意打ちされる心配もない。
理想的だ。
「良さげな採掘ポイントっスね!」
「うまく水晶が採れるといいですね!」
出番だぞ、ツルハシ!
分身を出して『赤ゴブリンのツルハシ』を持たせる。
爆発するリスクがあるから、まずは分身に作業させるのだ。
俺たちは、少し距離を取る。
リンがフライパンとフタの調理器具盾を頼もしく構える。
「私の後ろに隠れていてくださいね!」
「リン姉のお尻に隠れるっス!」
トウコが妙に低い姿勢でリンの後ろにつく。
俺は立ったまま、盾の間から分身の手元を確認する。
狙うのは水晶そのものではなく、その周囲の岩だ。
周りを崩して、水晶を取り出す段取りである。
「んじゃ、叩くぞ。
爆発するかもしれないから、備えてくれ!」
俺はリンの後ろから分身を操作して、ツルハシを振り下ろす。
がきん、と金属が岩を打つ。
爆発はしなかった。
だが、水晶は壁からとれていない。
「……爆発しないっスね」
「もう一発いくぞ!」
「どうぞー!」
ツルハシが岩を砕く。
小石が飛び散り、壁面が少し削れる。
「お、ちゃんと壁を削れてるな。
この調子でくり返せば……」
トウコが笑顔でばっと両手を広げる。
「大爆発っスね!」
「おいっ!
爆発を期待するな!」
「そうだよトウコちゃん!
それじゃあ水晶が手に入らないよー」
トウコがへらりと笑う。
「へへ、ジョーダンっス!
さ、次っスよ、店長!」
分身を細かく操作しつつ、ツルハシを振り下ろすポイントを探る。
慣れているとはいえ、離れた位置から正確に分身の体を操るのは難しい。
「じゃ、もう一度やるぞ!
……む!?」
ツルハシが壁を打つ。
岩を砕くまではよかったが、壁に埋もれていた水晶にツルハシが接触してしまう。
水晶が光を帯びる。
これは……ダメそうか!
分身を後ろに下がらせる。
「爆発するっスよ!」
トウコが楽しげな声を上げて、立ち上がる。
俺はその頭を押さえ、姿勢を低くさせた。
熱風が俺たちを襲う。
盾を構えたリンが風にあおられてよろめく。
トウコの顔がリンの尻を受け止めた。
「きゃっ!?」
「わふっ!」
盾は燃え上がらず、しっかり熱を防いでくれた。
距離を取ったおかげで、火傷はせずにすんだ。
俺はリンの背を支えて押し戻す。
「サンキュー、リン。
うまく爆風を防いでくれたな」
リンが照れ笑いを浮かべる。
「えへへ。
少しよろけてしまいましたが、支えていただいたおかげで大丈夫でした!」
トウコが緩んだ顔で言う。
「うへへ……。
次もばっちり支えるっス」
「トウコ、背中を支えるんだぞ!」
尻は俺が……じゃなくて!
忍べ俺!
「しかし、採掘は失敗か。
もう少し慎重に掘らなきゃいけないな」
「何度でもチャレンジしていいっスよ!」
「よし、掘りやすいポイントを探すぞ!」
その後、何度か失敗が続いた。
あきらめずにチャレンジし続け、ついに成功!
壁から水晶が取れたのだ!
鉱夫ゴブリンに習ってツルハシで採掘したのは正解だった!
塵になることなく、手元に残せた。
爆発させないコツは力加減だ。
一気に叩くより、弱い力で何度も叩いたほうがうまくいく。
思い返せば、ゴブリンはコツコツ叩いていたよな。
最初からゴブリン先輩の教えを守ればよかったぜ!
ダンジョンを進みながら、水晶を掘り出していく。
コツを使って採掘しても、たまに爆発する。
どうやら、うまくやっても一定の失敗はあるようだ。
そのたびに分身は吹き飛ぶが、また出せばいいだけだ。
生身でやらなくてよかったな!
しかし、これは楽しいぞ!
入手が限られていた水晶がザクザク貯まっていく!
「浅い階層の輝水晶も同じように掘れるかもしれないな!」
「それはうれしいですねー!」
「お宝の山っスね!」
さらにいくつかの熱水晶をゲットしつつ、二十三階層へ到達した。
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■水晶採掘の推奨ポイント!




