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【四周年】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
二章 ストーカーは隣人で!

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大惨事! 大掃除!? 大同棲!?

「ふう……とりあえず自律分身を回収できました。これが、ダンジョンに戻る用事でした」

「びっくりしましたが、大丈夫みたいでよかったです」


 またオトナシさんに心配かけてしまった……。でも、自律分身が回収できてよかった。

 これで、クールダウン時間が過ぎればまた使えるはずだ。

 しかし……自律分身を消すとき、消えるタイミングは注意しなければいけない。

 今回のことは教訓だな。身に染みた。


 意識のフィードバックは便利だが、危険だ。

 強い感情を感じているときは気を付けないといけない。

 ケガや死亡……大きなダメージを受けて倒された時なんかはヤバそうだ。特に気を付けなければ!


 これまで自律分身は大ケガをしていない。

 検証を優先して途中でやられないようにしていたおかげだ。

 前線で戦わせる方針にしていたら、意識のフィードバックで連鎖的に俺もやられていた可能性がある。

 結果オーライになるが、方針は間違ってなかった!


「オトナシさん。なんか心配ばかりかけてしまってすみません……。あ、俺のダンジョンの案内もしたいけど先に掃除しなきゃですね」

「あ! そうですね! あれ、誰かに見られたら大変ですよね!」


 オトナシさんは俺の拠点の壁――展示ラックを名残惜しそうに見ている。

 だけど案内は後回し。

 先に掃除しないと、外が殺人現場のままになってしまう。

 異臭騒ぎとかでニュースになりたくない。

 掃除最優先!


 ダンジョンを出て、俺の部屋へ戻る。


「そういえば、クロウさんのお洋服も血だらけですよ!」

「お! そうでしたね」

「なんだか痛そうです……。お着替えした方がいいですよ。私、先に戻ってます」

「ありがとうございます。でも、掃除で汚れそうだから、そのあと着替えますね」



 穴からオトナシさんの部屋へ移動する。


「うわあ……殺人現場だな、これ」

「……血がいっぱいで、掃除しがいがありそうですね」


 部屋は大変なことになっている。

 事故物件だ。


 壁には大穴が開き、破片が散らばっている。

 机はなぎ倒され、割れたガラス片が散らばっている。


 床には血だまり。

 這ったような跡。引きずられたような跡が、トイレの中まで続いている。


 これは、倒れた俺を引きずった跡だ。

 オトナシさんが必死に俺を助けようと、ダンジョンへ運んだ痕跡だ。



 部屋の様子で、さっきの大惨事を思い出したんだろう。

 オトナシさんが心配そうに俺のほうを見ている。

 ポーションのおかげで傷はもう治っている。


「もう、傷は治ったので大丈夫です」

「そうだけど……心配です。もう、ケガしないでくださいねっ」

「はい……心配かけてすみません」



 俺が見ても引くくらいに、床には血が流れている。

 これは掃除が大変そうだ。

 よく生きてたもんだ。


 俺が生きているのは、シモダさんとオトナシさんのおかげだ。

 隣人ガチャ、大当たりだったわ。

 ハズレとか言ってごめん、シモダさん。

 あとでさりげなく様子見に行ってみるか。


 なるべく音を立てないように、二人で部屋を掃除する。

 二人の初めての共同作業は……ぜんぜんロマンチックじゃない。


 あんまり騒ぐとシモダさんがまた怒鳴り込んでくる。


 今度は禁則事項には触れないけど、俺たちが法律に触れてしまいそうだ。

 たぶん、器物破損あたりに。


 そんなもので捕まったら、結局ダンジョンのこともバレてしまいそうだ。


「俺たちが居ないときに、このダンジョンが見つかったらどうなると思います?」

「えっ? 居ないときに勝手にトイレに入る人はいないと思いますが……どうなっちゃうのかな」


 今気になったのは、俺たちが関与せずに、誰かがダンジョンを知ってしまうケースだ。

 オトナシさんのトイレでも、俺のクローゼットでも。

 持ち主でなくても中に入ることができることは、もうわかっている。


 下着泥棒――たぶんストーカーが部屋に侵入したことがある。

 そのとき、ストーカーはトイレには入らなかった。

 だから、彼女がダンジョンを持っていることを彼は知らなかった。


 もし、ストーカーが気まぐれにトイレを開けていたらどうなったんだろう。

 ストーカーで下着泥棒な彼が、さらに高度な性癖を持っていたとしても……。


 いや、考えるのはよそう!

 俺はストーカーの気持ちなんてぜんぜん理解できない。

 ちっとも思い至らなかった!



 片づけを続けながら、思いついた疑問をぶつけてみる。


「他人がトイレのドアを開けてダンジョンに入ってしまったら……オトナシさんが消されてしまうんでしょうか?」

「私がダンジョンを隠せなかったってことになっちゃう……のかな」


 意図せず知られた場合にも禁則事項に触れるのか。

 ストーカーの場合は自らの発言と実際のスキルを使う場面を見られた。それがトリガーになった。


 ダンジョンの入り口を見られた場合は、その時点で持ち主が有罪になるんだろうか。

 誰のせいでもないとして、許されるんだろうか。


 そうだとすれば、ダンジョンと持ち主がひもづけられて管理されていることになる。

 俺のクローゼットに現れたダンジョンは、俺のダンジョンだと思っているが、別に専用ではないはず。



「これも、試すわけにはいきませんね。ダンジョンのことは知られないようにしないと!」

「そうですね。ということは私達……ずっとこのアパートで暮らさないといけませんねっ!」


 なぜか、オトナシさんは嬉しそうだ。


「たしかに……。引っ越しとかする時どうなるんだコレ……」


 ダンジョンを知った人は、部屋の持ち主を知らないことになる。

 ダンジョンと持ち主を結び付けて考えないから……。


 オトナシさんが口をとがらせながら言い直す。


「……これでずっと、隣に住めますね!」

「あっ、そうですね」


 それで嬉しそうにしてたのか。

 ずっと隣に、か。そっちの方向には考えていなかった。

 また俺は、ダンジョンとか犯罪とか現実的なことを考えてしまったな。


 俺がずれてる……んだろうか。

 血まみれの事故物件を掃除しながら考えることとしては……。


 ちょっと恥ずかしそうな笑みを浮かべているオトナシさん。

 手には血まみれの雑巾。ぽたぽたと赤黒い血が垂れている。


 ……なんだろう。この感じ。

 なにか、ちょっと怖い。


 いやいや、変な意味じゃなくってね?

 状況的にね?


 いや、ずっと隣に居てほしいんだけど。

 そう言ったし、そう思っているんだけど。


 ちょっと状況的にスプラッターな雰囲気が漂っちゃうわけで。

 ティーピーオー?

 時と場所と場合によるっていうか……。


「……あれ? どうしました?」

「いえ、なんでも。ずっと隣に居られるようにしましょう!」

「はい!」



 せっせと掃除を続ける。終わりが見えてきたな。


「あとはこの穴か……どうやってふさげばいいんだ? というか、大家さんにバレたらヤバいよなあ……」

「……えっ! 塞いじゃうんですか!? な、なんで?」


 衝撃を受けたような表情で固まるオトナシさん。


 あれ……俺、変なこと言ったか?

 ひとつ屋根の下で暮らすみたいになっちゃうし。

 薄い壁はもともと音もれが激しかったけど、素通しとなると色々と見えてしまう。

 俺の理性とかがヤバい。


「え? プライバシーというか、デリカシー的にどうかと思いましたが……」

「私は大丈夫です! むしろ、このままのほうが……その、同棲みたいでいいじゃないです……か?」


「同棲……?」

「同棲です!」


 なるほど!?

 言われてみれば、俺達は告白が成立してお付き合いしている状態だ。

 彼女は成人女性だし、法的にも心情的にも問題ない。

 何の問題もないっぽいね!?


「おお……アリだなあ」

「アリですよ! 毎日一緒にご飯食べられますし! ダンジョンにも来てもらえるようになったから、私の畑の野菜も食べ放題ですよ!」


「そうか……そうだなあ。すごくいい気がする!」

「では、壁はそのままでお願いしますね!」

「そうしましょう。穴は後でもうちょっと通りやすいように形を整えましょう!」


 そういうわけで、二人の新しい生活が始まることになった!

スキがあればいちゃつくスタイル……。

オトナシさんは恋愛・グルメ要素なのでどうしてもそうなります。

カップル成立はゴールじゃなくてスタートなのです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 漫画の音無さんが管理人をしているアパート状態になってきましたね。
[良い点] 大家さん「いや、穴は直してよ……」
[一言] ようやく付き合いました! おめでとう、そして爆発しろ。
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