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「……そんなのわかってた。普通じゃないって、気持ち悪いってそんなこと知ってた。でも好きだから。好きになっちゃったから。求めちゃって、欲しくなっちゃって、我慢できなくて……好きになったらいけないのかな、そういうこと想像したりしたら気持ち悪いのかなって。たしかに想像だけじゃなくてこっそりいろんなことしてたし、それに中学の時に同じこといわれたのを思い出しちゃって……そしたら私、泣いちゃって」
そこでまたぎゅうっとわたしを抱きしめて、ちゆちゃんは続けた。
「私いったの。親友だからって何? 私がのりちゃんを好きになっちゃいけないの? いやらしいこと想像したら気持ち悪いの? 私が女だから? 男だったよかったの? それとものりちゃんが? そんなの私じゃないし、のりちゃんじゃないって」
「ちゆちゃん……」
「泣きながらだったから、自分でもなんていってるかわかんなかったけど……でも冴木さん、すごく動揺してた」
だろうと思う。慌てる姿のさっちゃんを想像してちょっと笑いそうになりながらも、心ない言葉をかけたことに腹が立った。




