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ただ、追試が終わってひとり教室に残ったまま、力つきたように放心状態でいたわたしにとって、その時のちゆちゃんの席は追試を受けていた時よりも妙な引力を持っていた。
それが、好ましくないといえば好ましくなかった。
最近のわたしはちゆちゃんに対して積極的に振る舞っていた。
たとえば、それまでちゆちゃんがひとりになったわたしを見つけて話しかけてきてくれたところを、逆にわたしから機会を見つけて声をかけてみたり、月曜日の秘密も、ただ見せてもらうだけじゃなくわたしがちゆちゃんのスカートを捲ってみたり、あるいは抱き合う時、イスに座ったちゆちゃんの上にわたしが馬乗りになって首に手を回してみたりと、些細なことから大胆なことまで、恥ずかしさなんてどこかに置き去って、わたしはできるだけちゆちゃんに働きかけていた。
それはひとえに、わたしを感じて欲しかったから。
ちゆちゃんの中にわたしを溶け込ませたかったから。
もちろん、そこには時間に対しての焦燥感もあった。




