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~涙するにもほどがある!52~

 結人、ティス、スズネ、シエルを前にラプソディアが作戦の指揮をとる。


「今回の目標は、結人様のご友人であるリア様の救出です。シエルさんにはここに残って魔法陣の制御をお願いします。我々はそこにある魔法陣から城下町に転移し行動を開始します。ここは王城なので、誰かに魔法陣を壊されることはないとは思いますが、万が一に備えてそちらも警戒しておいてください。この部屋の前には警備の者を一名配置しておきます」


 シエルはこくりと頷き、わかったとだけ答える。魔法使いにとって魔法の行使中に近接攻撃を受けることは致命打になるからだ。シエルは、さっきまでのふざけた態度とは一変し、真剣な面持ちで一度頭を下げる。その姿は、偉大な魔法使いの子孫と自分で名乗っただけの風格がそこにはあった。


 その意見を聞き狐人族(ルナール)であるスズネが少し申し訳なさそうにラプソディアに尋ねる。


「あの、どうせならお城の中に直接転移は出来ないのでしょうか?」


 その質問に対しスズネの意見もわかるのだが、聖光教会の最高司祭である聖女リア誘拐だけではなく、今までにも何回か出てきた()()()()という単語。この二つの要素だけでも今の王都ゲネシスがまともだとは思えない。


 情報が少なすぎる上に、誰が敵かもわからない中いきなり突っ込んでいくのはあまりにも無謀と言うものだろう。結人が予想したこととほぼほぼ同じことをラプソディアがスズネ含めた一同に説明してくれた。


「ですので、城下の秘密の隠れ家に転移します。裏路地にある普段は使われていない喫茶なのですが、さすがに魔族が頻繁に出入りするにはリスクがありすぎるのであまり使用していません。ですが、今回は闇夜に乗じてということもあり、まあ大丈夫でしょう」


 ラプソディアにしては珍しく少し曖昧な言い回しだなと感じたが、相手が人族の地だということを(かんが)みるとそう言わざるを得ないのかもしれない。ラプソディアはそこからの説明をさらに続けだす。


「そこからは裏路地を伝い城の城壁まで一気に駆け上がります。途中妨害される可能性も考え、その際はティスか私、もしくはその両方が敵を引きつけるようにします。結人様とスズネさんはそのまま王城内へ侵入してください」


確かに闇夜に乗じて動くとはいえ、どうなっているのかも分からない土地で敵が出てこないなんて保証はどこにもないだろう。それは今までの襲撃を考えても一目瞭然だった。


 そしてラプソディアは懐から三つのひし形のペンダントを取り出し、一つを結人に、もう一つをシエルに、最後の一つを自分の首にかける。


「今、渡したのは、遠く離れた場所でも念話が出来るペンダントです。ここに残るシエルは通信役として、万が一敵の妨害を受けて別行動となった時のことを考えて、私と結人様が一つずつです」


 ティスは騎士団長をやっていたころの癖か、一瞬胸に拳を当てる敬礼をしそうになって慌てて腕を下げているのを結人は見て少しほほえましくなった。


「ラプソディア殿、リアを助け出せたときの合図はこのペンダントでとればいいのか?」

「そうですね。ただ、何らかの理由で連絡が取れなくなった場合、リア様救出を完遂させ、城下町に設置されている魔法陣へ急ぎ戻ってください。その場合ためらわず魔法陣へ飛び込みこちら側へ戻るようにお願いします」


 そうなのだ。今回リア救出に失敗すれば、次はない可能性が高いだろう。今現在リアがどういう状況下にあるのか分からない。結人は胸の中で無事でいてくれと切に願った。


 話を聞き終わった結人は、一歩踏み出し自分の意見を皆にしっかりと伝えておくことにした。


「みんな聞いてほしい。俺がいつも言っていることだけど、決して無茶だけはしないでくれ! 誰かを犠牲に誰かを救うってのは俺は望んでいないから。ここにいるメンバー全員で無事に戻って来よう」


 結人の掛け声にティス、スズネ、シエル、最後にラプソディアがしっかりと頷く。


「他に質問や意見はありませんか? それでは、リア様救出作戦開始です」





 シエルが魔法陣の前に立ち「キクロス」と呪文を唱えると、薄く光っていた魔法陣の光が強まり、魔法陣の外枠をくるくると更に強い光が回り始めた。


「さあ、つながったわよ!」

「では私が先に潜り、この先がつながっている場所が安全かどうか確認してきます。私が消えてから五秒後に次の方が来るようにしてください」


 五秒後とラプソディアが言ったのは、それだけの時間があれば敵がいようとも安全の確保が可能だと安易に言っているようなものだ。彼がほんとに敵じゃなくてよかった。


 ラプソディアが魔法陣に飛び込み姿が見えなくなってから五秒後にティスが飛び込んだ。きっとリア救出に向かうのにいてもたってもいられなかったのだろう。


 そしてスズネが結人の顔を伺い、先に入ってもいいか? と尋ねるため口を開きかけたのを結人は察して軽くうなずく。アイコンタクトによる意思疎通が図れたため、スズネが魔法陣に飛び込んだ。


 結人もスズネに続こうと魔法陣に近づいたところで、シエルが結人に声を掛ける。

 

「結人。ぜったい帰ってきなさいよ! あなたはこの土地の王であり、私にとっても大切な存在なんだから」


 シエルの意外な言葉にどう返したものか一瞬迷ってしまった結人だったが、「必ず戻るよ」と答えて

魔法陣へと足を踏み入れたのだった。


 

~おもちろトーク~

シエル「結人、無事に戻ってきなさいよ」

結人 「無事に戻ってくるよ」

シエル「あんたは貴重な財源……未来の旦那様候補なんだからね(冗)」



皆様、あけましておめでとうございます!(´艸`*)

今年もよろしくお願いいたします♪


いつもお読みいただきありがとうございます。

前回はお休みをいただきありがとうございました。体調はいいような悪いようなそんな状況が続いております。


さて、いよいよリア救出に動き出しましたね! 結人達は無事に救出し戻ってくることが出来るのか!? 今後ともぜひお読みいただければと思います!


皆様新年ですね! 今年の豊富などはありますか? 私は転職を頑張りたいという感じでしょうか(笑)

そのためにもまずは体調を整えないといけませんね。


いつもいいねや評価、ブックマークやご感想などありがとうございます。

ここまで執筆してこられたのも、皆様の応援があってこそです。本当にありがとうございます!


執筆していく上での励みとなっており、心強い限りです。また、小説以外での質問なども受け付けておりますので、気軽に感想覧へご記入いただければ、お応えできる範囲でお応えいたします。


今後とも「いせたべ」をよろしくお願いいたします。

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