表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/89

~涙するにもほどがある!48~

 ティスやラワーレ、身を隠してもらっていた獣人や亜人の皆とも合流し、結人達は王城まで戻ってきた。新しい家が出来たばかりで申し訳なかったのだが、敵の襲来ということがあったばかりだったので、ラワーレ達にはまた住居を一時的に王城に戻すことにしてもらった。


 一つくらい反論が来るかと思ったが、誰一人として異を唱えてくる者がいなかったので、結人は感謝しつつそっと胸をなでおろす。王城に戻るなり、潜入に必要な人材を探しに行くと言ってラプソディアとは別れる形となった。


「みんなありがとう。せっかく家が出来てそこに住む予定だったのに、大変なことになって申し訳ない」


 ティスがおんぶしているラワーレは自力で歩けない感じではあったが、意識はあるようでひとまずは安心だ。ここに帰ってくるまでの間に、ティスやラワーレ達にはあの場所でどういったやり取りがなされていたのか包み隠さず全て説明し終えたところだった。


 さすがのティスも、リアの急な手がかりが現れたことに驚いているようだったが、次こそは何としても助け出すという強い想いが伝わってくる。その想いは結人とて同じだ。だが今はラプソディアが人員を引き連れて戻ってくることを待つほかない上に、ラワーレを医務室に連れていくのが最善だろう。






 ルナール()族のフラーメン達は、当てがわれた各々の部屋へと帰っていき、ラビアは皆の世話があると立ち去った。残された結人、ティス、ロザの三人はラワーレを医務室へと運ぶべく廊下のさらに奥へと進んでいく。


 扉がいくつも設けられた長い廊下の一番奥にある扉が医務室だ。結人は二回ほど扉をノックし、他に患者さんがいてはいけないのでそっと扉を開く。


 部屋の中は、真っ白いシーツでおおわれたベッドがいくつか並んでいて、薬品の独特なにおいが鼻をつく感じだ。その脇に置いてある机の椅子に腰をかけた魔族が目に入る。


 彼女は、美しい銀髪を腰のあたりまで伸ばし、額から一本の角を生やした魔族で、白衣を着ているところからするに、彼女がここの女医さんで間違いなさそうだ。見渡す感じ、今はほかの患者さんなどはいないようだ。


 ティスにおぶさるようにしているラワーレを見て、ベッドに寝かすように指示を出し、きびきびとした足取りで後ろの棚へと歩いていく。指示通り医務室のベッドにラワーレを横たわらせながら、ティスが心配そうに白衣を着た魔族に尋ねた。


「女医殿、ラワーレは大丈夫なのであろうか?」


 女医の魔族は、なぜか肩からずり落ちる白衣を鬱陶しそうにしながら後ろに置いてある棚から何やら紫色の小瓶を取り出した。


「その子なら多分大丈夫よ。エルフだから魔族と全く同じとは言えないけれど、その症状をみるに間違いなく魔力切れの兆候だと思うわ。今はオルクス回復のポーションしかないから気休め程度にしかならないと思うけれど」


 そう言いながら心配そうに見守る結人、ティス、ロザの反対側へ回り込み、紫色の小瓶をラワーレの口元にあてがいながら中の液体を少しずつ飲ませていく。


「それにしても不思議ね。通常エルフの魔力は底なしと呼ばれるくらい膨大なはずなのだけれど」


 そこに関しては結人も疑問に思っていたくらいだ。ゲームや小説などに登場するエルフのイメージと言えばやはり魔法に長けている種族といった感じだ。


 まあそれは実際、地球における架空の設定であったとしても、結人や人族であるリアなども魔法を数回使っただけでここまでひどい状態になったことはない。魔法適性が低いと言っていたティスも含めてだ。


 最初は、それほどまでに大きな魔力を要する魔法なのかとも思ったが、目の前の女医の言葉から察するにそういうことでもないらしい。


 そこまで考えて結人はふとあることを思い出した。自分も最初、オルクスの力が強大であった為、身体が付いていかず激痛に襲われたことがあった。ラワーレの今の状態もそういうことなのだろうか?


 結人は誰にも気が付かれないように、ラワーレの父親であるロザの様子を伺ったが、見た目二十代のエルフは口を堅く結んだままだ。


 ラワーレは皆に心配をかけまいと、まだしんどいだろう身体で無理に起き上がろうとしたのを結人とティスが同時に押しとどめる。


「まだ起き上がらない方がいい」

「結人殿の言う通りだ。具合が悪いときは無理をしない方がいい」



 ラワーレは素直に忠告を受け取るとゆっくりと横になり、天井を見つめたまま弱った声音で話し始めた。


「皆さん、心配かけてごめんなさい。エルフである私がどうしてこのような症状が起きているのか不思議に思っておられますよね。少し長い話になりますが、ちゃんと説明しますね」


 そうして、ラワーレはゆっくりと語り始めたのであった。

~おもちろトーク~

女医 「そこのベッドに寝かせてあげて」

ティス「分かった」

結人 「頭をこっちにした方が」

女医 (状況的に仕方ないけど、名乗り損ねたわ)



いつもお読みいただきありがとうございます。


ラワーレの隠された秘密っていったい何なんでしょうね? 

次回、

・閉ざされたラワーレの心

・おなかの空いた結人の決心

・ラプソディアの意外な一面

の三本でお送りします(笑)

はい、ごめんなさい。上段です(笑)


いやー、久しぶりにぎっくり腰になりました( ;∀;)

会社で古くなった冷蔵庫持ったのが悪かったのか、その日の夜お風呂上りにやっちゃいました(笑)

それが木曜で、日曜の今も不安が残る感じです((;´∀`))明日からの仕事に支障をきたしませんように。



いつもいいねや評価、ブックマークやご感想などありがとうございます。

執筆していく上での励みとなっており、心強い限りです。また、小説以外での質問なども受け付けておりますので、気軽に感想覧へご記入いただければ、お応えできる範囲でお応えいたします。


今後とも「いせたべ」をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ