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~涙するにもほどがある!45~

 結人は、弓で近接戦闘は無理だと判断し、弓を形成させているオルクスを霧散させ代わりにいつも愛用している真っ黒い刀を具現化させた。


「これは、面白いものを見させてもらった。ここまで濃い濃度のオルクスを操れるものに出会ったことはないな。それに貴様が、人間というのもまた面白い」


 まさか黒騎士からそのような言葉が出てくるとは思っていなかったので少し拍子抜けする。


「お褒めいただきどうも。あのさ、戦う前にラプソディア達の拘束を解いてもらえないかな? 彼らには何があっても手を出さないように厳命しとくからさ」

「いいだろう」


 黒騎士に敵対の意思が無いと感じ取れての提案だったのだが、まさか本当に解いてもらえるとは思っていなかった。黒騎士がパチンと指を鳴らすとラプソディア達を拘束しているものが解かれる。勢いをつけたままだったラプソディアは思いっきり空を殴りつけバランスを崩しそうになっている。


 そして、いつも冷静なラプソディアだが、珍しく焦った様子で結人のもとへ馳せ参じる。そのスピードがいつも以上に速いことや彼らしからぬ言動からもラプソディアの焦りは明らかだ。


「話は聞いていましたが、結人様にもし万が一のことがあれば、私が貴様の首を必ず掻き切ってあげますので覚悟していてください」


 横にいる結人でもとりはだが立って止まない程ラプソディアは本気の闘気を放っているというのに、黒騎士は平然と鼻で笑ってみせたうえに「できるものならな」などとさらりと言い返している。


 二人とも常人離れしすぎているが、その自覚はあるのだろうかとふと疑問に思った。だが、そのうちの片方に実力を見させてもらいたいと言われた結人も常人離れしてきているということなのだろうか?

いや、自分は常人だと信じておきたいところだ。


「まあ彼も実力を知りたいって言ってるだけだから、命までは取られないと思うし」


 それを聞いたラプソディアが少し眉根を寄せる。


「結人様がそうおっしゃるのなら私は何も言いませんが……」

「大丈夫だよ。彼から敵意は感じ取れないし、何より彼ほどの腕を持つ騎士が約束を簡単に破るとは思えない。だから俺は彼の言葉を信じてみるよ」


 ラプソディアは一瞬口を開きかけたようだったが、魔王である結人が決めたことだと思いなおしたのか結人の眼を真っすぐに見つめ返し一言だけ返した。


「ご武運を」


 その言葉に、真っすぐな瞳に、本当に心配してくれているんだという想いが伝わってくる。悪魔だとか人間だとか種族に左右されることのない誰もが笑って暮らせる平和な世界の実現。相手を思いやり接するその気持ちが大事なんだと改めて気が付かされる。


 結人はラプソディアに手を振り一言「じゃあ、行ってくる」とだけ言い黒騎士に向き直り、オルクスを具現化させた刀を突きつける。


「おまたせ。じゃあ、始めようか」

「構わない。それよりも始まりの合図と監督役をそこの者に頼みたいのだが」


 黒騎士が指さした先に目を向けると少し離れたところで様子を伺っていたラビアがいた。指名されるとは微塵も思っていなかったらしく口を大きく開けて固まってしまっている。


 漫画やアニメなどでしか見たことがない顔に思わず笑ってしまいそうになるのを必死にこらえた結人であった。


「ひええええええええええ? 私がそのような!? いやいや、ラプソディア様やティス様だっているのに、なんで私なんですか?」

 

 黒騎士がなぜ彼女を指名したのか、結人にはなんとなく分かった気がした。ラプソディアもティスも結人が危うくなると冷静ではいられなくなる可能性があるからだろう。むろん、ラビアもそうだろうが、二人ほどのことはないとの判断だ。


 それにラビアは、今でこそいつものラビアに戻っているが、戦いのときなど一番冷静にその時自分にできる最善を尽くして状況判断が出来ていたように思う。


「ラビア、俺からもお願いできないかな?」


 それまであたふたしていたラビアだったが、結人がお願いしたとたん恥ずかしそうにもじもじしながら「結人様の頼みなら……」とか何とか言っているのが結人の耳に届く。


「結人様、やるからには全力で勝ってくださいね!」

「うん、ありがとう。全力でいってくるよ」


 黒騎士は、イフリートを仕留めた剣とはまた別の、もう一本の剣を鞘から引き抜いた。引き抜く際に、とても澄んだ綺麗な音色を響かせながら、薄青く光る剣が姿を現す。漂う雰囲気が、ティスの持っているカレンデュラに似ていることからも、ただの金属でできている剣ではないことは一目瞭然だ。


 ラビアが足元に転がっている小石を拾い上げ、簡単なルール説明をする。


「お互いに大けがをさせたり、致命傷を負わせたりすることは禁止でお願いします! この石が地面に着いた瞬間に試合開始で」

 

 そう言ってラビアは、空高く小石を放り投げたのだった。



~おもちろトーク~

ラプソディア「はぁ、ラビアのあの慌てぶりはもう少しどうにかしたいところですね」

結人    「まあ気持ちは分からなくはないけどね」

ラビア   「へくちっ‼ 誰かが噂してます~」



いつもお読みいただきありがとうございます。

頭の中ではこの後の展開など考えてはいるのですが、なかなか思うようには進まないですね(笑)しばらく出てきていないリアも、また再び登場させたいところです。


実は私、大のアニメ付きでして合間を見てはアニメを見たりしているのですが、今日「ノーゲームノーライフ ゼロ」を初めて視聴し涙が止まらなくなっていました(笑)(/ω\)

やはりアニメは面白い上に、創作活動の気力にもなっているので好きですね♪



いつもいいねや評価、ブックマークやご感想などありがとうございます。

執筆していく上での励みとなっており、心強い限りです。また、小説以外での質問なども受け付けておりますので、気軽に感想覧へご記入いただければ、お応えできる範囲でお応えいたします。


今後とも「いせたべ」をよろしくお願いいたします。

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