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~涙するにもほどがある!44~

 剣を突き刺されたままのイフリートは、起き上がろうと必死にもがき、突き刺さった剣に手をかけようとするが力を吸い取られているのか思うように動けないようだ。突如として現れた黒騎士の足を燃え盛る手で押さえるも、黒騎士は少し煩わしそうにしただけで、特にダメージはないようで、冷静に剣を突き立てたまま動こうとしない。


 結人達が呆気に取られている間に、イフリートの炎の勢いはどんどんと弱まり、最後には剣に吸収されるかのように跡形もなく消えてしまった。


 断末魔なのかは分からなかったが、消える瞬間、耳障りな音を残して消えた。その音が耳の奥にこだまして何とも言えない不快感が続いた。そして黒騎士は、突き刺していた剣を結人に向け口を開く。


「お前が結人か。その実力、どれほどのものか見極めさせてもらう! 武器を構えよ」


 それを聞いて黙っていられるラプソディアではなかった。結人が返事をするよりも先に結人と黒騎士の間に割って入り、黒騎士の視界に結人が入らないようにする。


「イフリートを消し去ってくれたことには感謝しますが、得体のしれない者に結人様を近づかせるわけにはまいりませんので、お引き取り願えますか?」


 だが、その問いに黒騎士は答えない。答えない代わりに、こちらへと歩いてくる。見た目や音からしても、鎧はかなりの重量があるように思えるのだが、まるで衣服を着ているかのように軽々とした足取りで、鎧の音などもあまり聞こえない。


 ラプソディアとの距離が数メートルとなった時、ラプソディアが最後の警告を促す。


「それ以上こちらに踏み込むならば、敵とみなし排除します」

 

 だが黒騎士の歩みは止まらない。それならば仕方ないとラプソディアが瞬時動いた。実際、結人の眼をもってしても、ラプソディアが遅いとは思えなかったし、敵の側面からあと皮一枚で敵が吹き飛んだであろうというところだった。


 しかしそこで黒騎士が「カウティベリオ」と唱えると、ラプソディアの時が止まったかのようにぴたりと動かなくなる。ラプソディアだけではない。ラビアも身動きがとれなくなっているようだった。


「おい、ラプソディア達に何をした!」


 何が起こったのか頭が付いていかず、結人は仲間に何かされたという現実に恐怖よりも憤りが勝っていた。黒騎士は、そのまま結人に近づき五メートルほどのところで歩みを止め、イフリートを消し去った剣を鞘に納める。


 そこで初めて気が付いたのだが、黒騎士が腰の鞘に剣を納めるときにもう一本別の剣があることが分かった。物理攻撃が効かないイフリートを、葬り去ったのにはどうやら今の剣に何かしらの特殊能力があるとみて間違いなさそうだ。そのことから考えるに、腰に帯剣しているもう一本も普通の剣と思わない方が賢明だ。


 黒騎士は顔まですっぽりと鎧で隠している為、どんな表情をしているのか分からないが、こちらの考えなど読まれているようなそんな気がしてならない。


「案ずるな、少し動きを止めさせてもらっただけだ。それより、先にも述べたがお前の実力を知りたい。その弓は、オルクスを練り上げ具現化させたか……なかなかに面白い武器を使う。お前が得意な武器は弓なのか?」


 敵が剣を鞘に納めたことと、動きを止めただけという言葉に心なしかほっとする。だが決して気を抜いているわけではない。あのラプソディアの一撃をくらうことなく、動きを封じることが出来たこいつの実力は相当なものだろう。


 頭で色々と考察を繰り返しながら、敵の本当の目的を知るためにも会話を出来るだけ引き延ばしたいところだ。結人は、肩をすくめながら相手の質問に素直に答えることにした。


「弓は幼いころに習っていた。ここ最近は刀を扱うことが多いけど」

「刀……?」

 

 刀というものが分からないのか、黒騎士は言葉が詰まる。


「ならば、その刀とやらを具現化し、かかってくるがいい。」

「それよりも、お前が誰なのかを知りたい。お前は、見方だと思っていいのか?」


 回りくどいことは嫌いなので、率直に思っていることを聞いてみることにした。本来であれば、もっとうまく誘導し色々と聞く方法があるのかもしれないが、そんな話術ができるほど器用な人間ではない自分が少し嫌になる。


「そうだな。お前が、私に勝つことが出来たのなら教えてやろう」

「やっぱりそう簡単には教えてもらえないか。いいよ、その勝負受けて立つ! その代わり、俺が勝ったらきっちり質問に答えてもらうからな」


 いかにも重たそうな甲冑をかぶっているせいでどんな表情をしているのかはまるで分らない。だが、黒騎士がどこか楽しんでいるような雰囲気が伝わってくる。


「いいだろう。私が勝った暁にはいったい何がもらえるのだ?」

「その時は、俺のできる範囲でお前が望むことを叶えてやる」

~おもちろトーク~

結人    「どうして俺の名前を知っている?」

ラプソディア「もしや、結人様に気がある!?」

黒騎士   「……」

結人    「いや、否定してくれ」



いつもお読みいただきありがとうございます。

イフリートに有無を言わさず葬り去ってしまった黒騎士の正体とは、いったい何者なのでしょうか? 皆さんは敵か味方かどちらだと思いますか?



ついに、待ちに待った車が納車されました(*´▽`*)

思っていたよりも、少し収納スペースがなく困っていますが、車内の広さや乗り心地、運転のすやすさなど文句なしでとてもいい買い物が出来ました(^^♪



いつもいいねや評価、ブックマークやご感想などありがとうございます。

執筆していく上での励みとなっており、心強い限りです。また、小説以外での質問なども受け付けておりますので、気軽に感想覧へご記入いただければ、お応えできる範囲でお応えいたします。


今後とも「いせたべ」をよろしくお願いいたします。

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