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~涙するにもほどがある!43~

 地面に突き刺したカレンデュラから、魔力が溢れ出したかと思うと地面を凍らしながら、今まさに起き上がろうとしているイフリートを燃える身体ごと凍らしてしまう。さっき結人が水の矢を放った時とは比べ物にならない程に、急冷された身体が石と化していく。


 前に話を聞いた限りではティスにこれほどの魔力はないはずなので、おそらくラワーレの魔力をティスのカレンデュラに流して放った一撃だったのだろう。魔力を使い切るほどの一撃だったのか、ラワーレはその場で息をつきしゃがみ込む姿が確認できる。


「今度こそ粉砕してみせます」


 ラプソディアはさっき粉砕できなかったことが悔しかったのか、少し意地になっているようにも見える。普段感情が分からない部分が多いが、案外かわいいところがあるのかもしれない。


 ラプソディアは空高く跳躍し、自身の力に重力を乗せた重い一撃を放った。地面すら急速に冷やされて溶岩が固まってしまっている為、普通の土などよりははるかに硬度が増しているはずだ。それなのに、ラプソディアの渾身の一撃はその岩石すらも砕くほどのパワーが込められており、氷漬けとなっているイフリートごと地面をも粉砕してしまう。


 粉々になった破片が、勢いよく飛散し、結人の足元にまで転がってきたほどだった。


 これで、終わったのか? イフリートは氷漬けのまま、幾多もの破片となりそこら中に散乱している。結人は、足元に落ちている破片を拾い上げてみる。中には岩にならなかった炎がそのまま氷漬けになってとても神秘的だ。


 氷が分厚いため見えにくいが、よくよく観察してみると中で炎が揺らいでいる?


 対角線上にいるティスは、今なおしんどそうにしゃがみ込んでいるラワーレを支えるため離れた場所で介抱していたが、ラビアは嬉しそうにこちらへと駆けてこようとしていた。駆けてくる際、自分の身長ほどの氷の塊を少し不気味そうに遠回りで避けている。


 ラプソディアも珍しく嬉しそうな顔で微笑みながら、結人のもとへと歩いてきたので「お疲れ様」と労いながら、手に持っている氷の塊をラプソディアへと渡す。


「ラプソディア、これを見てくれ」


 ラプソディアは渡された氷の塊を受け取り、じっと中の炎に視線を注ぐ。


「これは……炎が氷の中で燃え続けている?」

「やっぱりそう見えるよね。これやばいんじゃ」


 嫌な緊張が結人とラプソディアの間に走った。その時、腰の辺りにラビアが飛びついてきたので、びくりとしたものの、ラビアにも「お疲れ様」を言い、頭を軽く撫でてやるとラビアは少し恥ずかしそうにしながらもかなり嬉しそうだ。


 だが、嫌な予感というものは大体当たるもので、今回も例外のそれではなかった。ラプソディアの手の中の氷が、目に見えて溶け始め、さっきラビアが避けていた一番大きい塊に引き寄せられるかのようにラプソディアの手から転げ落ちてしまう。


 それは、粉々に散らばった氷全てに言えることで、あちこちで水蒸気を上げながら一斉に大きな塊へと向かっていく。


「結人様、お下がりください」


 ラプソディアの緊迫した声とは裏腹に、結人はカエルをひき殺したような声が出てしまった。


「うげえ。復活ってどんだけ~」


 思わず人差し指を立ててしまいそうになりながらも、ふざけている状況ではないなと思い留まる。


「ラビア、少し離れていてくれ」


 普段であれば、素直に言うことを聞いてくれるラビアが頑なに首を横に振ったことに結人は少しだけ驚いた。


「いいえ。私も、結人様と戦います! 結人様の足は引っ張りませんから」


 どうするか逡巡したのち、ラプソディアの方をちらりと見ると、半分呆れたように、だがしかしこれがラビアだなというような複雑な顔をしていた。


「分かった。けど、なるべく無理はするなよ」


 そう言われてラビアは嬉しそうに頷く。だが、ほんとにどうすればいいのだろうか……。水や氷の攻撃が効くことは分かったが、すぐに元に戻ってしまうのであればあまり意味はない。それに、魔力やオルクスをかなり消耗することを考えると、時間がかかればかかるほど、こちらが不利になっていくことは明白だ。


 そうこうしている間にも散らばった氷は、一番大きな塊に引き寄せられるかのように蒸気を上げながら収束していき、あっという間に炎の巨体へと姿が戻る。


「ラプソディア、ラビアと協力してまた少し時間を稼いでくれないか? 試したことがないからできるのかどうかわからないけれど、こいつを空間事消滅させられないかやってみる」

「また凄いことを思いつきましたね。ラビア、結人様が集中できるよう全力でいきますよ」


 結人が少し離れた場所に移動し、ラプソディアとラビアが動き出そうとしたまさにその時だった。必死に起き上がろうとしているイフリートのすぐ横に魔法陣が描かれたかと思うと、上から下まで真っ黒な鎧に身を包んだ騎士がその魔法陣から出現しイフリートへと()()()()()()()のだった。


 


 


~おもちろトーク~

黒騎士  「……」

イフリート「……」

結人   「双方しゃべらないとシュールだなー」


いつもお読みいただきありがとうございます。

出来る限り面白い展開をと試行錯誤して執筆しているのですが、これがまたなかなかに難しいですね(笑)。ですが、ブックマーク数が110人になったというのは大変に喜ばしいことです! 皆様、本当にありがとうございます(^^♪


今週ついにハスラーがやってきます( *´艸`)

今まで車にお金をかけて来なかったのですが、お金が出来たら外装だけでも少しおしゃれにしてみたいなと思う今日この頃(笑)。納車が楽しみです!



いつもいいねや評価、ブックマークやご感想などありがとうございます。

執筆していく上での励みとなっており、心強い限りです。また、小説以外での質問なども受け付けておりますので、気軽に感想覧へご記入いただければ、お応えできる範囲でお応えいたします。


今後とも「いせたべ」をよろしくお願いいたします。

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