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~涙するにもほどがある!29~

 あれから数日が経過し、リアはルシウスから現状など色々と教えてもらっていた。今はルシウスのおかげで不自由なことはほとんどない。ただ、捕らわれてここに連れて来られてから一歩も外に出ていないのが若干息苦しかったりもするがそこは我慢しなければいけないところだろう。


 リアがいる部屋のドアを二回静かにノックする音が聞こえ、ルシウスが静かに入ってくる。彼は、藍色の髪と瞳をしていて、体には重々しい鎧を身に着け、その鎧の胸のあたりには十字架をドラゴンが守るようにして絡みついている聖光教会の証であるエムブレムが輝いている。腰にはネア・セリニと呼ばれるこの国に今は一本となった魔法剣の所持者である。


 結人様やティスは今頃どうしているのかという考えが頭の中を一瞬過ぎったが、暗くなってはダメだとすぐに思考を切り替える。


「ルシウス、勇者である結人様の居場所は何かつかめましたか?」

「そのことなのですが、どうやら魔界大陸の北端にてオルクスと魔力の長時間にわたる行使が確認されております。すでに確認と保護のため先遣隊を送りましたが、この情報の出所がクシロス卿なのです。彼がこんなつまらない嘘をつく理由はないように思うのですが、この話が仮に事実だとすると、敵に先を越されている可能性も否定できません」


 魔力とオルクスの長時間行使などできる者となれば、結人の可能性は大いにあるだろう。少しだけ希望が見えた気がした。だが、気を緩めることが出来ない状況だ。クシロス卿がどこから情報を得たのかは知らないが、敵もまた結人様を探していたということになる。いったい何のために? 何か嫌な予感がする。


「クシロス卿、あなたも先遣隊に加わり、結人様を探し出してください。敵が見つけるより先にこちらが見つけ出す必要があります。敵は結人様を見つけ次第殺しにくる可能性が高い」

「御意。リア様のおおせのままに」


 そういって頭を下げ立ち去ろうとするルシウスにリアは呼び止めた。


「それと、もし彼に接触できたなら、私が無事だというこを……いえ、やはり伝えるのはやめておきます。結人様はお優しい方だから、きっとここへ来ようとしてしまうでしょう。彼をわざわざ気危険なところへ来させるわけにはいきません」


 ルシウスは御身のままにと再度頭を下げ部屋から出ていったのだった。





 この部屋に移されてから、一つだけ誰にも、今一番信用しているルシウスにさえも話していない秘密がリアにはあった。それは、いつも城下に設置されている大時計の鐘が三回打つ時刻になると現れる存在だ。おかしなことに夜中ではなく、今まさに鐘の音が聞こえ始めたその時を狙ったかのように、今日は()()()()()()姿()()()()()


 彼女の名前はシリカ。もっと長い家名があるようだったが、どうも話したくないようだったのでシリカと呼ぶようにしている。彼女は、見るだけでもわかるほど、さらさらの金色の髪をポニーテールのようにくくり、その顔はとてもかわいらしい少女のもので、フリフリのいっぱいついた若草色の服を着ていた。リアはここ数日、この部屋でシリカと毎日のように会っていた。


 もっとも、彼女の身体は半分透けていて見える人にしか見えない存在であるのだが、リアは幼少の頃よりいわゆる()()という存在が見えていたし、物心つく頃には会話することなどもできるようになっていたので、今回も彼女の存在をさらっと受け入れてしまったのだ。


 シリカもシリカで最初こそ自分が見えるだけでなく声を掛けてくる人間がいるだなんてと驚いていたが、二人はすぐに意気投合し仲良くなった。それからというもの、鐘が三回なるティータイムのタイミングで毎日やってきては他愛ないお話をしていた。


「シリカいらっしゃい。今日は何か見せたいものがあるって話だったわよね?」


 昨日来た際、帰り際に小さい子が言いたいことがあるが、言うのが恥ずかしいというような雰囲気を出しつつ消えていったのでリアはものすごく気になっていた。


「そうなの。リアお姉ちゃんに見せたいものがあって」


 シリカの見た目はリアと同い年くらいだろうと思われるのだが、シリカはリアのことをお姉ちゃんと呼んでいたし、リアも別に嫌というわけではなく、むしろお姉ちゃんと呼ばれることに親しみさえ覚えていたので特に何も言わないでいた。


「それで、見せたいものって?」


 シリカは見ててねといいつつ、壁に向かって手を伸ばし呪文を唱えた。


「フラム」

 

 すると彼女の掌から拳サイズの小さな炎の玉が勢いよく発射され、石壁に黒いすす痕を残して消えた。まさか幽霊である彼女が魔法を使えるなんてとリアは驚いた。魔法というものが、魔力やオルクスを力として形を成しているということは現段階の研究で分かっているものの、その魔力やオルクスが一体「何なのか」までは解明されていないのである。幽霊である者が魔法を使えるということは、そういった研究をしている者にとっては喉から手が出るほど欲しいのではないだろうかなどと、無粋な考えが一瞬脳裏をよぎった自分が少し嫌になった。


「シリカすごいわ! まさか幽霊であるあなたが魔法を使えるなんて。もし良かったら私にも魔法を教えてもらえないかしら?」

~おもちろトーク~

シリカ「リアお姉ちゃん、遊びに来たよ」

リア 「シリカ、いらっしゃい。今クッキーを焼いてきたところよ」

シリカ「いただきます!」

シリカ「……zzzZZZ……むにゃむにゃ、美味しそう」




いつもお読みいただきありがとうございます。

今回、久しぶりにリア登場の回でございました(笑)リアが好きだと教えてくれる方がたまにいるので、話が進展していくにつれれてリアの活躍の場も増やしていきたいと考えております(^^♪


最近仕事が忙しすぎて小説を書く時間がないのがネックなんですよね(;´Д`)

皆さんはそういった時、どのように時間を作っていますか? 良ければ感想覧などから教えていただければと思います('◇')ゞ


いつもいいねや評価、ブックマークやご感想などありがとうございます。

執筆していく上での励みとなっており、心強い限りです。また、小説以外での質問や、こういった話が読んでみたいなどございましたら受け付けておりますので、気軽に感想覧へご記入いただければ、お応えできる範囲でお応えいたします。


今後とも「いせたべ」をよろしくお願いいたします。

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