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~涙するにもほどがある!16~

 結人は身体を半分起こした状態でラプソディアやティス、ラビアの顔を順繰りに見渡しながら、一切の記憶がないことにやはり戸惑う。だが話を聞く限り、誰も傷つけることが無くてほんとによかった。これもラプソディアやストラティゴスのおかげだ。


「みんな、色々と迷惑かけちゃったみたいだけど、ありがとう! あと、リアの行方は何か分かった?」


 一同顔を見合わせてティスが明るいとは言い切れない表情で説明してくれた。


「今のところ確たる情報は得られていない。ここのエテルノ(オルクス大書庫)に奴ららしい記述は見当たらなかった。と言っても大書庫と呼ばれるだけあってかなりの情報量があり、私たちもすべて探せているわけではないのだが……。だが、悲報ばかりでもないぞ。魔族の中にある程度の距離なら念話を使える者がいるのだ。その者がいうには、ここから北へ向かった魔界大陸の海沿いにある洞窟に彼女らしき姿をしたものが連れていかれるのを見たものがいるようだ」


 結人は、ここに来れば何もかも明らかになるであろうと思っていたのだが、そう甘い話ではなかった。夢を抱いていたのかもしれない。だが、絶望するにはまだ早い。道はつながっていると信じて進まなければ! リア、待っていて。必ず君を助けてみせるから!






 その部屋は石造りで出来ていて窓が一切なく、湿った嫌な空気が漂っていた。牢屋ほどの広さしかないのだが牢屋とはまた違う。壁にかかる蝋燭の明かりに見えるのは木で出来た粗末な机が一つ。その上には拷問に使われるような器具が並べられているのが見て分かる。ここで何人の方が苦しみ召されていったのだろうかなどとリアは考えてひとつかぶりを振った。ここで気持ちまで負けてしまってはだめ。もう一度必ず結人に会うのだ。何度も何度も心が折れそうになるたびに声に出して耐えてきた。だが、両腕を吊るすような形で鎖で縛られている為、肩や手首に襲い来る痛みが現実を突きつけてくる。正直限界が近い。


 その時、ドアが開き何者かが入ってくるのが見えたが逆光のせいで誰なのか分からない。いや、ここに連れて来られてからずっと来るものは一人しかいない。彼はドアを閉めて石畳に革靴がなる音を響かせながら近づいてくる。


「クシロス卿! こんなことをして、いったいどういうつもりなのですか? 私や、女神様を信仰してくれている方たちはご無事なのですか!?」


 自慢のちょび髭を撫でながら、クシロス卿はリアに顔を近づけ縛られて動けないリアの身体を舐めまわすように見回しひとつため息をつく。


「まだそれほどまでの元気があるとは。あの方のお気に入りでなければ、私が今すぐにでもこの小娘で遊べるのだが、実に残念だ。おい、あのお方のお望み通り再度勇者召喚を行え。そうすればお前は自由になれるかもしれんぞ。私がお前を堪能した後でだがな」


 クックックとクシロス卿の嫌らしい笑いが漏れ響いた。リアはクシロス卿の憎らしい顔をキッと睨みつける。この部屋自体に魔法を阻害する魔法陣が施されている為いかなる魔法も使えないのだ。


「なぜこれ以上の勇者召喚が必要なのですか? 勇者は結人様ただおひとりです! それにあのお方とは誰のことを言っているのです? 答えなさい」


 最後の一言にクシロス卿はカチンときたらしく、ご自慢の髭を撫でていた手を止めリアが吊るされている鎖の延長線上にある巻き上げ車のところまで行き、歯車を回す。巻き上げられた鎖はリアの足が地面に着くかつかないかのところで止められ、リアは手首が千切れるのではないかと思うほどの痛みに耐えながら、必死に歯を食いしばりながら苦痛に顔をゆがめた。


「いいか、女! 今自分が置かれている立場というものをわきまえておけよ! あんまり生意気な口をきいているとどうなるか身体に教えてやる」


 そう言いながら鎖をさらに締め上げる。リアの身体が宙吊りになり、あまりの痛さに涙がこぼれる。


「クックック、いい顔だ。声を上げないのが残念だが」

「あなたみたいな下劣な人は、女神の裁きが下りますよ」

「おー、怖い怖い。ではなぜ女神さまはお前がそんな姿なのを黙って見ておられるのか」


 リアは言い返そうと口を開きかけたが、あまりの痛さに声にならない。クシロス卿はその光景を面白がるかのようににやにやとしていた。そこへ、扉が開かれ何者かが近づいてくる。今までクシロス卿以外入ってくるのを見たことがなかったリアにとっては驚きの出来事ではあったが、腕に巻き付いた鎖が食い込み血が流れあまりの痛みに目を開けることさえやっとだ。その何者かは堂々たる雰囲気で歩いてきて声を発した。


「クシロス卿、これはいったい何をされているのだ! あのお方はただ捕えておくようにとのご命令だったはず。それに、本日をもってリア様の身柄は責任をもって私が直接監視させていただくことになった。貴殿は邪魔だ。さっさと消えろ」


 クシロス卿は最初こそ何を言っているのかわからないといった顔をしていたが、そのうちに怒りの感情が勝ったのか顔を真っ赤にして何か言い返そうとして、だがしかし言うのをやめた雰囲気だった。その代わり、立ち去る間際に捨て台詞をはいていく。


「せいぜい、白馬の王子様ごっこでもしているがいい。その女は色々と使い道があるからな。あのお方のご命令とあらば、貴君でも従うほかあるまい?」


 リアには何の話かさっぱり分からなかった。クシロス卿はしてやったりといった顔で部屋から出ていったのだった。 

~おもちろトーク~

リア      「久しぶりの登場です!」

クシロス卿   「俺もだ!」

リア、クシロス卿「……なぜ黙る」


今作もお読みいただきありがとうございます。

久しぶりのリア登場ですね!あとクシロス卿も(笑)

クシロス卿や最後に入ってきた人物が言っている「あのお方」とはいったい誰のことなのか、気になりますね。


話が変わるのですが、皆さんどうやったら痩せられますかね(笑)? 私は最近お腹がやばいな~と感じ始めております(;´∀`)なにか健康的なダイエット法など誰ばぜひ感想覧かツイッターで教えてください(笑)


いつも評価やブックマーク、いいねやご感想などありがとうございます。

感想では、作品以外に関する質問なども受け付けておりますので、ぜひとも気軽にお書きください。

今後とも「いせたべ」をよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] リ、リアー!クシロス卿、、殴りたい。自分の娘位でしょうに!でも命があって良かった…。最後に出てきた人物…どうやら男性のようですね…ひとまず鎖から放してあげて!って感じです。 [気になる点]…
2022/04/11 05:21 退会済み
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