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~涙するにもほどがある!8~

 魔界へはノエルにまたがり空から行くこととなった。森があまりにも深くノエルが降り立つことが出来なかったので、降りたてるところまで移動しティスがノエルに騎竜する。その後ろに結人がまたがる。今回は鷲掴みではないことが少し嬉しかった。


ラプソディアはどうやって飛ぶのだろうかと見ていると、背中から思いっきり悪魔を連想させる黒き翼が生えてきて、一つ羽ばたいたかと思うとあっという間に空の上でホバリングしてノエルが浮上するのを待ってくれている。


「さすが魔族。まさか羽が生えてくるなんて。だけどその姿すらもかっこいいとか反則だろ」


 結人の嫉妬とかではなく、実際に絵になるほどかっこいいのだ。ティスが合図をしノエルが羽ばたきと共に浮上する。地面がどんどんと離れているのだろうが、そんなことを考える余裕は無かった。なぜなら、これ……だめだ、酔いそう。ノエルにいざ乗ってみると羽ばたきに合わせてグワングワンと上下に激しく揺れるものだから船酔いに似た感覚に襲われそうになる。


 ほんとにこのままじゃまずいかもというときに、上下の揺れが収まり慣性の法則により体が後ろへ流されそうになったので慌てて鞍をしっかり押さえる。どうやら上昇が終わり前へと進みだしたようだ。何とか吐かずに持ちこたえることが出来た自分をほめる結人だった。






 時計がないのではっきりとしたことが分からないが、魔界大陸へたどり着くまでにノエルでも三時間近くはかかったのではないだろうか。


さすがのノエルも三時間飛びっぱなしというのは疲れるようで、一度地上に降り立ち休憩する運びとなったのだった。


目指している城は魔界大陸の中央よりかは南西に位置するらしく、ノエルには、ここからさらにもう少し頑張ってもらわなければいけない。それにしても、魔界と言ってもさっきまでいた所とさして変わらないように思えた。空から見るに、森があり草原があり、すぐ手前には大きな川が流れている。空も綺麗で空気も澄んでいる。


 ノエルは旋回しながらゆっくりと河原に向かって降りていった。上昇の時とは違い、これはちょっとしたジェットコースターみたいだな、などと思えるくらいの余裕があった。


 空の旅もなかなか景色はよく風もさわやかだったので良かったが、三時間ぶりの地面に足を付けると少しだけ浮遊感に襲われ変な感じになる。それでも、やっぱり地面に足が付いているというのは落ち着くものだ。


「結人殿、これを。遅くなってすまない」


 そう言って差し出してくる麻袋を受け取り中を確認すると、トレンチコートとマントを合わせたような紺色の服が入っている。正直これはうれしかった。なにせこの世界に来た時の格好のままで、魔物化したこともあり服等ぼろぼろだったからだ。


「ありがとう。けどいつの間に手に入れたんだ?」

「ああ、例の村で何とかこの服だけ買うことが出来た。本来であればもっと早くに渡しておければよかったのだが結人殿のオルクスの暴走があったりと渡す暇がなくてな」


 なんとなく申し訳ない気持ちになりながらも、ありがとうと服を受け取る。服を着替えるためにティスには後ろを向いていてもらいたい旨を伝えると、ラプソディアがお手伝いしますと歩み寄ってくるものだから全力で遠慮した結人だった。



 


 ノエルは余程喉が渇いていたのか、川の水をごくごくと美味しそうに飲んでいる。ティスはそんなノエルを優しく撫でながら、半分心ここにあらずといった様子で少し心配だ。もちろん結人もリアが連れ去られたことはショックだし、無事にいてくれと心から願っているが、普段毅然(きぜん)としているティスがあんな顔をするのはやはり見るに堪えない。


「ラプソディア、あとどのくらいで城へ着く?」


 着替え終わった結人が着替えを断られたことに少し拗ねているラプソディアに声をかける。声をかけられたことが嬉しかったのか、一気に表情が明るくなった。


「おお、結人様。とてもお似合いです! そうですね。今のペースだとあと二時間ほどでしょうか。連れさられた方のことが気になりますか?」

「そりゃね。大切な仲間だし、この世界にきて俺にオルクスの力が有るとわかっても最後まで俺の味方でいようとしてくれてた。それに、ティスにもあんな顔はしてほしくはないから。だから何があってもリアを助け出す」


 そこへティスがノエルを連れて戻ってきたので、話が途切れる形となる。


「結人殿、似合っているじゃないか。リアがいたら頬を染めていたことだろう」


 冗談を言えるくらいにはショックから立ち直ってきてはいるのだろうが、自分からリアの話題をふることであえて強がっているのだろうことは目に見えて分かっていたので相槌を打つ程度に抑える。


「そうだね。何があっても必ず助け出してみんなでまた笑い合おう」

「城までは、あと少しなのだろう? ならばそろそろ出発しよう。ここにいても時間ばかりを無駄にするだけだからな」

 

~おもちろトーク~

結人    「ティス、服ありがとね」

ラプソディア「結人様、とてもよくお似合いです。ティス殿のお見立てもさすがです」

ティス   「ほ、ほめても何も出ないんだからね!」

結人    (まさかのツンデレ!?)



日頃、「異世界召喚されたはいいが、魔物に食べられました!」をお読みいただき、また、評価やブックマークなど本当にありがとうございます。執筆するうえでこの上ない力となっております!


私が住んでいる県でも蔓延防止が発令しました。

コロナ渦で疲弊して気が緩む気持ちも分かりますが、今一度気を引き締めなおし、マスクや手洗いうがいなどできる限りのことをやっていこうと思います。

すこしまじめな話題になってしまいましたが、やはり元気でいるための秘訣は美味しいものを食べる! これに限るのではないかと思います。あー、お寿司が食べたくなってきました。


今後とも「いせたべ」をよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 旅の道中。いいですね。ドラゴンに揺られ、悪魔に導かれ、空の旅。結人が具合悪くなりかけてたのを読んで「あぁ!そうかもしれない」と感じました。ファンタジーにはリアルさが大切と聞いた事があります…
2022/02/14 06:47 退会済み
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