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42話 学会の会場

 

 翌日、俺達はメルダに連れられて学会の会場へ向かっていた。

 メルダの家から会場までは、徒歩20分程度の距離だそうだ。


「なぁ、飛んだ方が早いんじゃないか?」

「あたし、学会の日はいつも徒歩で行くって決めてるの。

 気持ちを引き締める習慣みたいなものね」


 どうやら徒歩で行くのは験担ぎのようだ。

 そんなわけで、暫く歩くと小さな神殿のような建物が見えてきた。


「あそこよ。あんた達は客席だからここで別れるわよ。多分あたしは一番最後になるから、暫く待っててちょうだい」

「ああ、わかった。しっかりな!」

「頑張るんだわさ!」

「応援してるっす!」

「この目で確と見届けるのである!」

「頑張れよ!」


「うん。みんな、ありがとね!」


 俺達はメルダと別れ、客席へ移動した。

 観客席には200脚程の椅子が並べられている。

 

 俺達は中程の列に、左端からフォン、俺、ダルス、オルガ、ドラムの順に座った。

 暫くすると入口の扉が閉められる。

 室内を見回すと、100人程の客が座っていた。

 観客の約半数が人間、残りが様々な種族の獣人や魔女といったところだ。


 やがて、魔法で照らされている客席の照明が落とされ、代わりに舞台が照らされる。

 舞台にはメルダをはじめとした参加者が立っていた。

 そして、真っ白な髭を蓄えた老人が、ヨボヨボと壇上へ上がる。


「えー、ヘックション! 発表者諸君! 日頃の研究の成果を存分に披露し、今日の経験を己の命題の糧として更なる精進をするように!」


 老人は盛大に苦沙味くしゃみを放つと、開会の言葉を述べて壇上から降り、舞台の参加者もそれに続いて降りていった。


(命題か。そういえば、以前メルダが【魔女は研究し続ける事が命題とされている】とか言ってたな。命題ねぇ……)


 そんな事を考えていると、一人目の発表者が壇上へ上がる。

 猫系の獣人だろうか。

 何処かで見た事がある気がするが、思い出せない。

 獣人は巨大な紙を壁に貼り、研究成果の解説を始めた。


「研究テーマは反転世界とその影響についてだニ」


 うん、俺にはよくわからない。

 すまんメルダ、俺はお前の発表まで意識を保つことが出来そうにない。


「反転……もうひとつの……は……腐敗の……」


 ※ ※ ※


「トール様! 起きるんだわさ!」

「ふぇ?」


「そろそろメルダの番だわさ! 」

「おっおう。ふぁ〜ぁ。やっぱり寝ちまった……」


「もう! なんでみんな寝ちゃうんだわさ!」

「みんなって?……」


 右を向くと、フォン以外の三人が爆睡していた。

 俺は小声でダルスを起こそうと声を掛ける。


「おーい、起きろ!」

「くかー……」


 ……起きない。

 仕方ない、少し乱暴に起こすか。


今回もお読みくださりありがとうございます。

ブックマークや評価を頂けると嬉しいです。


執筆中に、なんと!

3件目のレビューを頂きました!!

手が震える程嬉しいです!

ありがとうございます!

次回の更新は3日の予定です。


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