41話 オリハルコン
5分後、鉱石を腹から取り出すと真っ赤に光っていた。
その姿にフォンは目を丸くする。
「きっ、綺麗だわさ……」
「こ、これならいけるかもしれないわ!」
俺達が固唾を飲んで見守る中、メルダは詠唱を始める。
「??????」
「ピカーッ!」
すると、鉱石の光が金色に変化し光量を増す。
「す、すげぇ……」
「綺麗だわさ!」
「眩しいっす……」
「美しいのである……」
「おおぅ……」
やがて光が弱まっていき、光の中から現れたのは、黄金に輝く塊だった。
「せ、成功だわ! ついに精製に成功したわ……」
メルダは目を輝かせて精製した鉱石を眺めている。
「これは何なんだ?」
「これはね……オリハルコン。理論上では精製出来るけど、未だ嘗て誰も精製に成功したことのない金属よ……」
そして、メルダがオリハルコンへと手を伸ばし掴もうとする。
「あっちゅ!」
が、残念ながらメルダには触れることすら出来なかった。
「もー、あんた達が平気で掴むものだから、うっかり触っちゃったじゃない! やっぱりあんた達、非常識よ……」
「「「「「そんな事を言われても……」」」」」
俺達は申し訳無さそうに顔を見合わせた。
そして、俺は精製したオリハルコンを握り、息を吸うように力を込めた。
すると、オリハルコンの放つ熱が手の中へ吸い込まれていき、常温となる。
「ほら、これで持てるだろう?」
「うん、ありがとう!」
メルダはオリハルコンを受け取ると、再び詠唱を始める。
「??????」
「ムニョムニョムニョムニョ……」
オリハルコンはまるで液体のように蠢き、やがて綺麗な球体となった。
まるで金属のボウルのように、表面を光が反射している。
「こりゃあすげぇ……」
「黄金の球だわさ……」
「ピッカピカっす!……」
「美しいのである……」
「おおぅ……」
俺達はその美しさに目を輝かせ、暫しの間オリハルコンに魅入っていた。
だが、メルダの声で我に帰ることになる。
「良かった……これで明日の学会で理論が証明出来るわ! 」
「明日!? お前、もし俺が断ったらどうするつもりだったんだ?」
「そ、その時はその時よ。次の学会で披露すれば良いのよ……」
「次って、一年先とかだろ?……」
「違うわよ。学会は凡そ、ひと月に一度開かれているの。好きなタイミングで参加すれば良いのよ」
「そっか。俺はてっきり、そそっかしいから忘れてたのかと思ったよ!……あっ」
まずい、口が滑った。
「ちょっとトール! あんた失礼なこと言うんじゃないわよ!」
「わ、悪い……」
「もう、知らないわ!……」
メルダは顔を膨らませ、ぷりぷりと怒ってしまった。
俺は思わぬ地雷を踏み抜き、たじたじになる。
そんな俺を横目に、メルダが顔を赤らめ口を開く。
「明日、観に来なさいよ。そしたら許してあげるわ」
「ああ、勿論だ。お前の晴れ舞台を楽しみにしてるよ」
こうして俺達は、メルダの学会発表を鑑賞することになった。
今回もお読みくださりありがとうございます。
ブックマークや評価を頂けると嬉しいです。
執筆中に107件目のブックマークを頂きました!
ありがとうございます!
次回の更新は2日の予定です。
広告の下にあるリンク
【小説家になろう 勝手にランキング】
をクリックお願いします。




