表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/90

33話 褒賞を授ける

「女帝」を「女王」に変更致しました。

ご指摘ありがとうございます。


今回は長らく登場していなかったキャラクターが数多く登場しますので、説明を詳細にしております。

話の展開が通常より遅いですがご容赦ください。

 

 魔王シェリーが口上を述べると、臨時虹会が開会した。


「今回の議題じゃが、強化スライムの殲滅と、その指導者プルトニーの討伐完了についてじゃ」


 魔王シェリーの言葉に会場が騒めく。

 そして再度俺達に視線が集まる。

 依然として人間国側は怪訝な表情をしている。


「あの強化スライムを殲滅したというのは、彼等を見れば納得できる。だけど、その指導者まで討伐したというのは、ぼくはどうも信じられないね……」


 色白で小太りの男が口を開いた。

 工業都市カシミア王国の国王カシミア・スコットンだ。

 この王には強化スライムの討伐を依頼されている。

 その点については信用を得ているのだろう。

 しかし、強化スライムを指揮しているのは魔王シェリーというのが人間国側の認識だ。

 まずはこの誤解を解消しなければ、話が進まない。

 その釈明の為に魔王シェリーは口を開く。


「プルトニーついては、妾も最初は唯の研究者だと思っておった。しかし、妾はまんまと奴の罠に嵌められておったのじゃ。部下が奴の思考誘導を受けておってのぅ。情報が筒抜けとなっておったのじゃ……」


 俺達が天空都市スカイラインに辿り着いた時、不敬罪で捕まり死刑宣告を受けた。

 その工作を行ったのは、プルトニーに思考誘導された兵士だった。

 どうやらその兵士が、魔王シェリーを黒幕に仕立て上げる為に、裏で動かされていたようだ。


「ふん! 脇が甘いな。一つ誤まれば国家が崩壊するような事態に気付けぬとはな!」


 茶褐色の肌をしたヴァンパイア、地下都市アルキメデスの魔王グラハム・アルキメデスが窘める。

 しかし、魔王シェリーは顔をしかめる。


 以前、地下都市アルキメデスへ訪れた時、俺達はいきなり溶岩池へ落とされ、殺されかけた。

 魔王シェリーは、こんな考えの浅い魔王には言われたくないと思っていることだろう。


「何だと、この蝙蝠が! お主こそ、そこのトール達を溶岩池へ突き落としたそうじゃな。もしもこの者が魔王ならば、アルキメデスは滅んでおったかもしれぬのじゃぞ?」

「何? 我は此奴らの実力を測ろうとしたまでだ。貴様のようなトリと一緒にするでないわ!」


「なんじゃと?」

「なんだ?」


 二柱ふたりは立ち上がり、どういうわけか一触触発の事態に話が進んでしまった。

 各国の王へ目を向けると、各々が深く溜息を吐いている。

 どうやらこの二人の言い争いはいつもの事のようだ。


 《ふぅ……あの二柱ふたりはこんなところで何をやってるんだわさ?》

 《はぁ……もう少し場を弁えるっす……》

 《《《……》》》


 フォンとダルスが溜息を吐いて『思念通話』で語り掛けてくる。

 やれやれと肩を竦める二人を、俺とオルガとドラムはジト目で眺める。


「ふぅ……」


 すると、メルダも俺達の遣り取りがわかったのか、顔を痙攣らせ、ため息交じりの苦笑をしていた。

 暫しの間、冷めた空気が辺りを漂うと、程良く日焼けしたこの国の国王サルマトラン・マインが口を開く。


「やめぬか、こんな時に! 儂らだけでなく、客人もおるというのに……」


 その言葉に二柱ふたりは目を閉じ、渋々と着席した。

 そしてサルマトラン・マインは言葉を続ける。


「トールよ、話してくれるな?」


 俺は静かに頷くと、事の経緯を説明した。

 強化スライムを操るのはガイルというガーゴイルであり、ガイルを操っていたのは辺境の研究所の研究者であるプルトニーであること。

 強化スライムを操るのは魔王シェリーだという情報を、プルトニーが流布させたこと。

 強化スライムの材料は魔物や獣人であること。

 プルトニーの研究の目的は、世界を混乱に貶める為だということ。

 そして、プルトニーは俺が消化し、殺したことを。


 俺が説明を終えると、各国の王達は瞑目する。

 幾許かの時が過ぎ、観光都市アスラン王国の色白な女王アスラン・ディープシーベットの眼が開く。


「どうやら妾達は、まんまとあの男の策に嵌められておったようじゃな。国を謀るとは、侮れん……」


 “五人”の王は静かに頷く。

 そして、褐色のリヴァイアサン、海上都市サッティンバーグの魔王フェスタ・サッティンバーグが呑気に語る。


「でもぉ、解決して良かったべぇ。奴らからの被害額は無視出来なかったからなぁ〜」


 そして、魔王シェリーが立ち上がる。


「強化スライム撲滅及び、首謀者プルトニー討伐の功労者はトール達じゃ。そこで、お主達に褒賞金を授ける」

「!!」


 魔王シェリーが青い服の兵士に目配せすると、兵士は部屋の外へと向かう。

 フォンに目を向けると、背筋を伸ばし、目を見開いていた。

 暫くすると、兵士が台車を押して入室する。


「こちらになります」

「!!!!」


 台車には、7つの山に別れた大量の金貨が積まれている。

 そして、フォンは目を回しながら小刻みに震えていた。

 その様子に俺達が苦笑していると、魔王シェリーが口を開く。


「今回の褒賞金は、強化スライムの被害額と、各国の人口から算出したのじゃ」


 そして、魔王シェリーが金貨の内訳について説明する。


 天空都市スカイライン:150枚

 地下都市アルキメデス:250枚

 海上都市サッティンバーグ:1000枚

 観光都市アスラン王国:600枚

 工業都市カシミア王国:750枚

 鉱山都市サルマトラン王国:500枚

 漁業都市タナトス王国:250枚


 合計:3500枚


「っぱーん!」


 合計枚数が告げられた瞬間、何かが倒れる音が響く。

 しかし、この音の原因は目を瞑っていても判る。


 《やっぱり倒れたっす!》

 《こ、こいつ……またかよ!》

 《はぁ……》

 《やれやれである……》


 音の原因はフォンだった。

 フォンへ視線を向けると、ニヤニヤと嬉しそうに震えながら、白目で倒れていた。


「あひゃ……あへへ……」

「「「「「はぁ〜……」」」」」


 俺達はそんなフォンを横目に、頭を抱え、深く溜息を吐くのだった……

今回もお読み頂きありがとうございます。

よろしければ、ブックマークもお願いします。


こちらに裏話や設定を描かせて頂いております。

興味がありましたらご覧ください。

https://book1.adouzi.eu.org/n1248fm/


執筆中に89件目のブックマークを頂きました!

ありがとうございます!

次回の更新は16日です。


広告の下にあるリンク

【小説家になろう 勝手にランキング】

をクリック頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ