表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/90

32話 臨時虹会

 

 翌朝、俺達は天空都市スカイラインを立ち、鉱山都市サルマトラン王国へ向けて飛翔していた。

 臨時虹会の会場前でメルダと待ち合わせをしているのだ。


 会場となる城の前に到着し、メルダを待っているのだが、集合時間を過ぎてもメルダは一向に現れる気配がない。

 おそらく研究に没頭し、時間を忘れているのだろう。


「なぁみんな。メルダが来ないんだが、ちょっと迎えに行ってやろうか!」

「きっと今ごろ慌ててるんだわさ!」

「パンでも咥えて向かってるっす!」

「忘れているのかもしれないぞ……」

「急がなければ、始まるのである!」


 俺は全身炎イフリート化し、四人を体内に飲み込む。

 そして海上都市サッティンバーグへと光速で飛翔した。


 数秒後、メルダの家の前に着いた俺は扉を叩く。


「メルダ! まだ居るのか? 迎えに来たぞ!」

「えっ! もうこんな時間!? ちょっと! まずいじゃないの!……あっ!」


「ドーン!」

「いやぁぁぁー! ちょっと! それはまずいわよ!……」


 家の中からは爆発音が響き、メルダの叫び声が木霊する。

 そして窓からは黒煙が上がり、俺は苦笑した。


「おーいメルダ、大丈夫か?」

「だっ、大丈夫よ! 今行くわ!」


 暫くすると、中からパンを咥えたメルダが飛び出した。

 どうやらダルスの予想が正しかったようだ。


「まっ、待たせたわね。さぁ行くわよ!」

「?????……」


 額に汗を浮かべたメルダは、杖を横にし詠唱を始めるが、俺はそれを止める。


「まぁ待て。メルダも俺の中へ入れ!」


 メルダの返答も聞かず、メルダの足元に炎を纏わせ体内へ飲み込むと、鉱山都市サルマトランへ向けて飛翔した。


 ※ ※ ※


「ちょっと! いきなり飲み込むんじゃないわよ! 心の準備ってものがあるでしょ! 詠唱だって途中じゃないの! 変な呪文になっちゃったらどうすんのよ!」


 メルダは俺の体内へ放り込まれると、空間を飛び回り抗議した。

 そんなメルダを仲間達が窘める。


「よぉメルダ! やっぱりパンを咥えてるっす!」

「あはは! やっぱり慌ててたんだわさ!」

「もしかして、忘れてたのか?」

「う〜ん。研究熱心である!……」


「もーっ!! あたしだって忙しいのよ! わ、忘れてたわけじゃないのよっ!!」


 四人は、にやりとメルダを眺めると、メルダは顔を赤く染めて反論した。


「「本当にぃ〜?」」

「ほ、本当よっ!!」


 フォンとダルスがジト目でメルダを見つめると、恥ずかしそうに抗議する。

 その顔には微笑が混じり、どこか嬉しさが感じられる。

 そんな遣り取りが体内で響き、メルダは仲間達との再会を楽しんでいた。


 そして数秒後、鉱山都市サルマトランへ到着する。


「着いたぞ! 今出してやるからな!」


 ※ ※ ※


 臨時虹会の開催される建物の前で、五人を腹から吐き出した。


「うおっ!」

「うげっ!」

「うわっ!」

「うぎゃ!」

「いやっ!」


 五人が勢いよく地面に積み上がる。


「も、もう少し優しくして欲しいんだわさ!」

「毎回これじゃ辛いっす!……」

「そんな事言われてもなぁ。五人纏めて吐き出すのは大変なんだぞ〜」


 フォンとダルスから怒られてしまった。

 怒る気持ちもわかるが、『空間収納』から五人だけを選別するのは意外と難しい。

 齧ったスイカに含まれている種を、選んで吐き出すようなものなのだ。


「すまんな……」

「「「「「ぬ〜……」」」」」


 俺は平謝りすると、五人からジト目で見られてしまった。

 そんな遣り取りを経て、俺達は建物の中へと入っていく。


 ※ ※ ※


 俺達は受付で臨時虹会へ参加の旨を伝えると、会場となる部屋へ通された。

 すると、室内には各国を象徴した色の服を着た兵士達が、壁際に並んで立っている。

 そして、兵士達の前には各国の国王や魔王が着席し、談笑していた。

 談笑といっても飽くまで国益などの戦略的な会話だ。

 会話の内容まではわからないが、何やら難しい話をしている。

 しかし、魔王シェリーの周囲には人間国王の姿はなく、異様な空気が漂っていた。


 見知った国王や魔王の中に、見知らぬ人間が一人座っている。

 おそらく、タナトスの国王だろう。

 肌は白く小太りで、歳は45歳くらいだろうか。

 如何にも時代劇で“まろ”と言い出しそうな風貌をしている。


(こいつがあの、タナトスの国王……)


 国民を貧困に追いやり、悪行を野放しにする国。

 俺はタナトスに対して負の印象しか持っていない。

 そんな国の王の顔を、俺は静かに心へ焼き付けた。


「来たな……」


 そして、魔王シェリーが呟くと、各国の王達や兵士達が一斉に俺達へと視線を向ける。

 その態度は様々で、人間国側は怪訝に凝視し、魔王国側は歓迎の表情をしている。


 《俺達、凄い見られてるな……》

 《やっぱりあの報告書は本当だったんだわさ!》

 《人間国と魔王シェリーとの関係悪化というやつか》

 《あの様子だとオイラ達も疑われてるっす……》

 《まずは誤解を解くべきである!》


 どうやら、世界保守連盟で発見した報告書の内容は事実のようだ。

 今回の臨時虹会を招集したのは魔王シェリーであり、俺達は魔王シェリーに呼ばれた形になる。

 つまり、人間国側からすれば、俺達は魔王シェリーの手下だと思われていても不思議ではないのだ。

 人間国側では未だに強化スライムを差し向けた犯人が魔王シェリーだという事にされているのだろう。

 俺達はその誤解を解かなければならなかった。


「さて、今回の主賓が揃ったことじゃし、始めるかのぅ」


 魔王シェリーが口上を述べると、臨時虹会が開会する。


今回もお読み頂きありがとうございます。

よろしければ、ブックマークもお願いします。


こちらに裏話や設定を描かせて頂いております。

興味がありましたらご覧ください。

https://book1.adouzi.eu.org/n1248fm/


本当は虹会終了まで進めようと思ったのですが、とても2日では描ききれないと感じまして、今回は少し短めとなってしまいました。

執筆中に86件目のブックマークを頂きました!

ありがとうございます!

次回の更新は12日の予定です。


広告の下にあるリンク

【小説家になろう 勝手にランキング】

をクリック頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ