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27話 龍人の村

龍人の村は地図の2と3の間の辺りになります。

 

 俺達は宿屋を出ると、天空都市スカイラインを立とうとしていた。


 俺は全身炎イフリート化すると、ダルスとフォンをぶら下げようと二人が掴まるのを待つ。

 しかし、フォンが俺の前に手を出した。


「トール様! アタシの修行の成果、見せてあげるんだわさ!」

「おっ! 遂に力を使い熟せるようになったか!」


「ふふん! もう、途中で落ちたりなんかしないんだわさ!」


 フォンは腰に手を当てドヤ顔をしている。

 その顔に若干イラっとしたが、まぁフォンも頑張ったのだろう。

 今回は見なかったことにした。

 そして、フォンはドヤ顔のまま九尾キュウビ化すると、瞳が金色に光り浮上する。


「さぁ! 行くんだわさ!!」


 フォンは自信満々に俺に向けて手を振るが……


「あっ……」


 瞳は光を失い、フォンは地面に落下した。


「ふぎゃっ!」


「フォン、お前やっぱり使い熟せてないじゃないか……」

「いや、使い方はわかったんだわさ! でも……」


 フォンが俺へ能力について説明した。


「なるほどなぁ。感情の変化によって使えなくなるのか…… まぁ、お前は無理して飛ぶ必要は無いんだ。これまで通りでいいだろ?」

「うっ、仕方ないんだわさ……」


 フォンは渋々納得していた。

 不安や心配といった負の感情を持った時に発揮される能力なら、平時に無理して使う必要はない。

 ここぞという時に発動するなら、有用な能力だと言えるだろう。

 しかし、能力が発動する時は、きっと俺達にとって不幸な時になる。

 俺はフォンの能力に期待しつつも、発動することが無いようにと密かに願った。


 そんなわけで、俺は二人をぶら下げると、龍人の村に向けて飛翔する。

 フォンは能力が使えなかった事が余程悔しかったのだろう。

 俺の足を強く掴み、俯いている。

 人間一人くらいなら大気圏まで蹴り飛ばせる俺の足が、ミシミシと悲鳴を上げている……

 俺が苦笑していると、それを見兼ねたダルスが揶揄からかった。


「へっ! 能力が使えなくて良かったじゃねぇか! やっぱりフォンはフォンだな!」

「なんですって!?」


 その直後、フォンの目が強烈に光ると、ダルスは俺の足から引き剥がされ上空へと打ち上げられた。


「おわぁぁぁ!!」


 ダルスは涙目になり、叫びながら落下していく。


「うおぉぉぉ! 危ないっす! 死ぬっす!」


 そして、地面に衝突する僅か数十センチに迫った時、ピタリと落下が止まる。


 《ま、また死ぬかと思ったっす……》

「ふん! アタシを怒らせるからこうなるんだわさ!」


 フォンは顔を膨らませ、横に背ける。

 するとダルスは数十センチの高さから再び落下した。


 《うげっ……》


 ダルスは苦笑し、額から大量の汗を流していた。


(また? またって何だろうか? まぁ、いいや。しかし、フォンの能力は恐ろしいな……)


 俺はフォンの能力の瞬発力に驚愕し、こいつは怒らせちゃダメだと心に誓った。


 俺達はダルスを迎えに地上へと降り立つ。

 そして俺は人型に戻り、辺りを調べた。

 幸い、ダルスが龍人の村の付近に落下した為、ここからは徒歩となる。


 ※ ※ ※


 森を少し歩くと、開けた場所に出る。

 そして辺りを見渡すと、そこには衝撃の光景が広がっていた……


「なんだよ…… これ……」

「真っ黒だわさ……」

「こりゃあ、酷いっす……」

「なんということだ……」

「うっ……」


 なんと、龍人の村は大半が焼け落ち、炭の塊と化していた。


 あまりの悲惨さに、ドラムは絶句する。

 そして炎を逃れた建物を発見すると、駆け寄り扉を開けた。

 すると、ドラムは口を抑える。


「うっ…… ううっ……」


 俺達も建物を覗き込むと、中には龍人の子供が居た。

 目を見開き、壁にもたれ掛かりながら、一点を見つめている。

 しかし、龍人の子供は既に息絶えていた。

 体は腐敗が始まっており、かなりの日数が経過したことが伺える。


「ドシャッ……」


 あまりの悲惨な光景に、ドラムは嘔吐した。


「ドラム……」

「トール様…… この子を…… この子を助けて欲しいのである……」


 ドラムは俺の腕を掴み、涙を流す。

 俺は静かに頷くと、全身炎イフリート化し、龍人の子供を『空間収納』へ飲み込むと治療を開始する。

 炎のメスを作成し開腹すると『視点変更』で内臓を覗き込んだ。

 意識を集中させ、細胞レベルまで詳細に情報を把握する。

 パソコンのフォルダの階層を掘り進める様に、プルトニーの知識を手繰り寄せ、治療方法を模索する。

 そして、一つの回答に辿り着いた。


「だめだ…… 腐敗が酷過ぎて治せない……」


 死亡直後なら或いは治療出来たかもしれないが、腐敗が進んだ肉体を再度蘇生させることは出来なかった……

 俺は静かに炎で傷口を焼き、閉腹した。


 蘇生不可能。

 その事実に、ドラムは泣き崩れる。


「何故っ! 何故、まだこんなに小さな子がっ! この様な目に遭わねばならぬのかっ! なんと…… なんと残酷なっ!……」

「ドラム…… せめて、俺達が供養してやろう……」


 ドラムは俺の言葉に頷いた。

 俺達は森に向かうと、左手から炎の竜巻を放ち、地面に深さ3メートル程の穴を開ける。

 龍人の子供の瞼を体内でそっと閉じると、穴に向けて腹から吐き出す。

 そして最期に周囲に散った土を、炎を纏わせて掻き集め、穴に被せた。


「安らかに眠れよ……」


 俺は人型に戻り、手を合わせて呟くと、四人も俺に倣い手を合わせる。

 暫しの黙祷の後、俺達は再び龍人の村へと戻った。


 悄然とした空気の中、一通り瓦礫を調べたが、他の龍人の亡骸は発見出来なかった。

 ドラムの夢から推察するならば、龍人達は連れ去られた可能性が高い。

 そして、連れ去られた先はおそらく、辺境の研究所だろう。

 辺境の研究所では、魔物や獣人を強化スライムへ変える研究を行っていた。

 だとすれば、龍人達は……


「連れ去られたのであるか…… あの研究所に……」


 ドラムもその事実に気付いたのだろう。

 肩を落とし、生気を失っている……

 嘗てない程に憔悴したドラムの顔を見て、俺達は掛ける言葉が無かった……

いつもお読み頂きありがとうございます。

よろしければ、ブックマークもお願いします。


こちらに裏話や設定を描かせて頂いております。

興味がありましたらご覧ください。

https://book1.adouzi.eu.org/n1248fm/


執筆中に64件目のブックマークを頂きました!

ありがとうございます!


※申し訳ございませんが

次章に向けてのプロットの練り直しと

3話程のストックを作りたいので

7月から暫くの間、4日毎の更新を検討しております。


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