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16話 地球と異世界を繋ぐ能力

今回から新章です。

今後の更新は土日をメインにしようと考えております。

引き続き、よろしくお願い致します。

 

「休憩ありがとうございました〜」


 厨房へ帰る俺を上空から見届けると、異世界へ戻る為に飛翔した。


 途中で旅客機と接触しそうになったが、光の速さで飛ぶ俺に、相手が気付く事はないだろう。

 そして大気圏を超えて宇宙空間を抜ける。


 戦闘時には気が付かなかったが、全身炎イフリート化している時は、酸素が無くても活動できるようだ。

 俺に有効な攻撃は、精神攻撃くらいじゃなかろうか?

 人型の時は痛みを感じたから、毒攻撃も有効かもしれない……

 そんな事を考えていると、異世界の星が見えてきた。


 辺境の研究所へ戻ると、ドラムとメルダが目を覚ましていた。


「ドラム、体は大丈夫か?」

「体は…… 大丈夫である」


 体は、大丈夫か……

 ドラムは精神的ダメージが大きい。

 これは時間を掛けてゆっくりと治していくしかないだろう。


「メルダ、もう立てるのか?」

「うん。トールが左腕を繋げてくれたから、魔法で折れた所を治したのよ。無理をしなければ歩く事もできるわ」


「そうか、それは良かった!」


 メルダは魔法で体を治し、繋げた腕も問題無く動かせている。

 なんとも頼もしい奴だ。

 そしてメルダは複雑な表情で俺に問う。


「ところで、トール…… プルトニーを斃したって、本当なの?」

「ああ、本当だ。奴は俺の体内で蒸発した」


 俺の言葉にメルダは感極まり号泣する。


「ドール! ありがどう…… あだじ…… あだじ…… なにもでぎながっだ…… アンダがいなげれば…… あだじは……」


 プルトニーへ一矢報いることすら出来なかったことが余程悔しかったのだろう。

 俺の胸で泣き崩れるメルダを暫し宥めた。


 そしてフォンの亡骸へと歩み寄る……


「なぁ、死んでるなんて嘘みたいだろ? よく寝たんだわさ! なんて言いながら起きそうな、良い顔で眠ってさ……」

「……ああ」

「本当に、眠っているようである……」

「アンタが死ぬことないのに……」

「フォンは、最期まで…… オイラに、嫌がらせばっかりでっ…… また変な理由つけて、オイラの所為にするんだろう? でも、もうそれも……」


 俺達は涙を浮かべる。

 幾許かの時を沈黙が支配していた。


 ※ ※ ※


(ここはどこだわさ?……)


 ――何も無い闇の中で、フォンの前に人影が現れる。


(お姉ちゃん!)


(フィン! ……そう。アタシ、死んだのね)


(お姉ちゃん、あたしの為に戦ってくれてありがとう。嬉しかったわね!)


(フィン…… もう、あなたを一人にはしないわさ。これからは、ずっと一緒だわさ!)


(でもね、お姉ちゃんはまだ、こっちに来てはいけないわ…… お姉ちゃんはまだやることがあるの。だから、プレゼントをあげるわね!……)


(待って! フィン! どういう事だわさ?何処へ行くの! 待って!……)


 ――フィンの手から放たれた黄金の光は、フォンを包み込むと闇の中へ吸い込まれていった。


 ※ ※ ※


「そろそろ…… 送ってやるか……」


 俺の声でダルスがフォンを抱えると、俺達は辺境の研究所を後にしようと歩き出した。


 ――フォンの体がうっすらと、黄金色に輝く。


「待って!…… フィン!……」

「「「「「……!?」」」」」


 フォンの声に、俺達は立ち止まる。


「うっ…… ここは?……」

「フォン! お前…… トール様! フォンが! フォンが生き返ったっす!!」


 そしてダルスの声に俺達は振り返った。


「「「「「フォン!」」」」」


「おいフォン、俺達が分かるか?」

「トール様…… みんな……」


 俺達は一様に驚愕した。

 そしてフォンは思い出したように言葉を続ける。


「あっ! そうだアタシ、トール様が危ないと思って……」

「フォン、すまなかったな。あの時お前が庇ってくれなければ、俺は死んでいた。だが、もう大丈夫だ。プルトニーは俺が殺した」


「……そう、良かったわさ」


 フォンは微笑むと、俺の目を見つめて語り始める。


「……トール様。アタシ、死んだと思ったんだわさ…… フィンに会って、話をしたの。でも、まだ来ちゃいけないって……」

「フォン、お前は一度死んだんだよ…… プルトニーに体を半分吹き飛ばされて…… これからお前を弔おうと思っていたんだ。よく…… よく、戻ってきてくれたな!……」


 俺達は、フォンが起こした奇跡に涙し、誰一人として欠けることなく戦闘が終わった喜びを噛み締めた。


 暫しの間、感傷に浸ると、俺はフォンに問い掛けた。


「フォン、体に異常は無いか?」


 するとフォンはハッとした表情で顔を赤く染める。

 現在、フォンはダルスに抱き抱えられている。

 つまり、お姫様抱っこをされているのだ。


「だっ、ダルス! 自分で歩けるから、もう大丈夫だわさ!」

「いや、無理すんなよ。ここを出るまでオイラが抱えてやるからよ!」


「あっ、ありがとうだわさ……」


 現状を理解したフォンはダルスに目線をあわせようとしない。

 嫌な素振りも見せず、赤い顔のまま視線を遠くの空へと向けていた。


「そう言えば、トール様がオイラ達を治療する為に戻って来る少し前に、急に体が楽になったっす! それまではずっと血を吐いて、体が崩れるような感覚だったのに、腕の痛みだけになったっす!」


 ダルスが妙な事を言い出した。

 そして思い出したかのようにオルガが続く。


「そうだ。オレも破裂しそうな痛みから、擦り傷程度にまで楽になった」


 二人はほぼ同時に楽になったと話している。ふと、プルトニーが俺に効かなかった攻撃を思い出した。


【放射線は通じぬか】


 奴は確かにそう言っていた。

 メルダは手足を折られただけのようで、放射線の影響は無さそうだ。

 もしかすると、プルトニーを消化した事で、血呑みの儀式により魂の回廊で繋がっている四人は、放射線耐性を獲得したのかもしれない。

 俺はプルトニーを消化してから任意で放射線を放つ事ができるようになった。

 これは検証する必要がありそうだ。


 そして、辺境の研究所を出ようとする。

 張られている結界はメルダが破ってくれた。

 建物の瓦礫や研究資料などは全て俺の体内に保管してあるので、もうここへ戻って来ることは無いだろう。

 しかし念の為、結界はそのままにしておいた。


 結界を抜けると、俺は人型に戻った。

 すると、左目に違和感を感じる。

 物が二重に見えるような感覚がするのだ。

 気になって右目を閉じると、見覚えのある光景が……


「うお! 俺の部屋じゃねぇか!」


 左目に映るのは、なんと地球にある俺の部屋だった。

 テレビを見ながら寛ぎつつ、酒を前にタバコに火をつけようとしている……

 間違いなく、前世の俺の生活だった。

 まさか、隕石が直撃した時に俺の体を治したことでリンクしたのだろうか?

 そんな事を考えていると、メルダが首を傾げながら聞いてきた。


「ちょっとトール、どうしたのよ?」

「いや、プルトニーの奴が俺の居た星を滅ぼそうとしてたから、食い止めに行ってきたんだよ……」


 俺はメルダや仲間達に隕石によって地球で起きた危機を説明した。

 すると全員が驚愕の表情となり、メルダが重い口を開いた。


「信じられない…… この星から出るなんて事自体、未だ誰一人として成功した者が居ないのよ? それを、ちょっと行って帰って来たなんて言われたって……」


 メルダの言葉に続くように皆が頷いている。

 いや、俺自身も非常識な事だとは思っているが……


「それで、前世の俺は隕石が直撃して死んだんだが、その体を俺が修復したんだよ。そしたら、左目に前世の俺が見ている映像が流れ込んで来るようになったんだ……」


 全員、驚愕を通り越して呆れた顔になっていた。

 そりゃそうだ。二つの世界の映像を同時に見られますなんて言われたら、俺だって詐欺師かと疑って、何言ってんだこいつと言いたくなる。

 俺は自身に心の中で突っ込みつつも、新たな能力『重複世界』を獲得した。


お読み頂きありがとうございます。

「この話が面白かった」などの感想をお待ちしております。

一言でも結構ですので、お気軽に書き込みください。

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もしかしたらネタバレも含んでしまうかもしれませんが

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ポイントが50pを超え、13件のブックマークを頂きました。

ありがとうございます!

さて、今回は戦闘力です。


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オルガ32000

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