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0話 休憩いただきま~す

初投稿です。建国はかなり先になりますが、よろしくお願いします。


【2019.07.01 シンG様からバナーを戴きました!】




 ――地球から40万km離れた地点。時速約6万8千kmの速度で小さな隕石が地球に降り注ごうとしていた……




挿絵(By みてみん)




 俺は樋口ひぐち とおる24歳。とある中華料理店でコックをやっている。

 彼女?そんなものは居ない。

 いつもの様に昼前の仕込みも終わり、休憩を取ろうと


「休憩いただきまーす」


 と言いタバコを吸いに外に出た。

 すると、頭上から飛行機の様な音がする。

 何だろうかと見上げてみると、何かが左目に刺さり意識がなくなる……




 ――不思議なことに、高速で落下した隕石は音もなく樋口透に突き刺さるのだった……





     ※     ※     ※


 とある森の中、一匹のガーゴイルが不気味に嗤う。


「ケッケッケ。この村を滅ぼせば、オイラの株は上がるッピ! さっさと済ませて報告だッピ!」


 ガーゴイルの周囲には、数匹のスライムが跳ね回っている。


「おいお前! そこで何をしている!?」


「バレたッピ! オマエ達、そいつを殺せッピ!」


     ※     ※     ※


「ちょっと! アンタ大丈夫?」


 何か声が聞こえる。


「まさか死んでないでしょうね?」


 目を開けると、俺を覗き込む様に18歳くらいの女の子が座っていた。


「あっ、気がついた! アタシは狐の獣人のフォン。あなた、名前は?」


 フォンと名乗る女の子が名前を聞いてきたので


「とおる。ひぐちとおる……」


 と答えた。

 すると、フォンは目を丸くして


「トール! あなたトールっていうのね!」


 と、元気な声で応えた。

 アクセントが若干違うが気にしない。


 意識が戻ったところで思い出したが、休憩のために外に出て、飛行機の様な音が聞こえてから先の記憶がない。

 辺りを見渡すと、樹々が生い茂りどう考えても休憩の場所ではない。

 そして池に顔を反射させると、髪が赤くなっていた。


「ん? ここは……」


「ここはアタシ達、狐の獣人の村の近くの森だわさ! 木の実を探しにきたら、あなたが倒れてたんだわさ!」


 フォンは不思議そうな顔をすると、笑顔で言葉を続ける。


「何か事情がありそうだし、アタシ達の村に寄ると良いわさ!」


 その時、俺の顔に虫が張り付いてきた。


「うわっ! 虫が……」


 虫を追い払おうと顔の前で手を振ると……


「プシュ……」


 顔に止まっていた虫は燃えながら落ちていく。


「うおっ! 燃えた!」


 俺の慌てた様子をフォンは嬉しそうに眺める。


「あなた、火が使えるのね!」


 どうやら俺は火を点けて虫を焼いたようだ。

何故火が点いたのか疑問に思いながらも、フォンに連れられて村の入り口にやってきた。


「ここがアタシ達の村だわさ! ゆっくり休んでいくといいさ!」


 村の中に入ろうとすると……


「やめろ! こっちに来るな!」

「いやーー 助けてーー」

「うわぁ! 何だこいつらは! ただのスライムじゃないぞ!」


 村の中から悲鳴が聞こえる。

 スライムという単語が気になりつつも、急いで村の中へ駆け込むと、狐の獣人とスライムの群れが戦闘をしている。

 そして、スライムの群れが俺に気づき、一斉に襲いかかって来た。


「うおお!」


 俺は咄嗟に手を前に出し叫ぶと、眼前に燃えながら動かなくなったスライムがいくつも落ちていた。ここでやっと、俺は転生したのだと実感する。


 戦闘が終わり村の中を進むと、三人の獣人が横に寝かされている。

 どうやら先程の戦闘で3人の狐の獣人が犠牲になったらしい。

 フォンは三人に気がつくと数秒ほど動かなくなり、叫び出す……

 

「フィン…… いっ…… 嫌ぁ!…… なんで…… なんでそんな……」


 寝かされている女の子へ、震えながらゆっくりと歩いていく。

 歳は15歳くらいだろうか? フォンは女の子に抱きつくと、静かに泣いていた……


「すまない、本当にすまない……」


 狐の獣人の男が神妙な面持ちで歩いてくる。


「不審なガーゴイルに声を掛けたら、スライムの群れが襲ってきたんだ」


 さらにもう一人の男が現れる


「旅の方よ、よくぞスライムを退治してくださった! わたしはこの村で長をしているフォルという者だ。此度は村の窮地を救ってくれたことを感謝する!」


 フォルと名乗る村長の男は、俺に感謝の言葉を並べる。

 どうやら俺は知らぬ間に、この村の危機を救ったようだ。


「紹介しよう。この子は娘のフォン。そして横になっているのが、フォンの妹のフィンだ……」


 なんと、フォンが抱きついている子は妹だという。俺も涙が流れ、言葉が出ない……


     ※     ※     ※


 その日の夜、俺は村を救った英雄として食事に招待された。

 テーブルに着くと、横にはフォンも座っているが、ただ一点を見つめて動かない。

 暫くして、村長のフォルが口を開く。


「トール殿、今回のスライムの件、改めて感謝する。普段スライムといえば苦戦することもなく倒せる魔物なのだが、今回のスライムは異常な程に強かった。トール殿が居なければ、今頃この村は滅ぼされていただろう……」


 確かに狐の獣人達は何とかスライムと戦えてはいたが、倒されるのは時間の問題に思えた。

 そこに、偶然だが俺がスライムを全滅させたから、今もこの村があるのだろう……


「フォンはこんな状態だが、普段はもっと明るい子でな。フィンとはいつも一緒に居るのだが、今日に限って一人で森に出て行ってな……」


 フォンとフィンは仲がとても良かったそうだ。

 これは心の傷が深いだろう。

 心配だが、俺がしてあげられることはない……


 出された食事は野菜スープとパンだった。

 それを食べ終わると、フォンが重い口を開く。


「許せない、あんなこと…… 許せない……」


 昼間の笑顔からは想像もつかない程に狂気を含んだ顔で、彼女は呟く……


     ※     ※     ※


 一晩明け、犠牲者の埋葬をする。

 フォンは黙々と流れに身を任せると、滞りなく葬儀が終了した。


 暫くして、俺はフォルに声を掛けられる。


「トール殿、此度の件をアスラン王国にある世界保守連盟に報告してくださらぬか。本来なら我々が行くべきだが、ご覧の通り今は戦えるものが殆ど居らぬ」


 重々しい空気の中、フォルは視線を落とす。


「報告の者が襲われたら、村は孤立して今度こそ滅ぼされてしまうだろう。無理を承知でお願いしたい。どうか受けてくれぬだろうか」


 俺は転生してしまったようで帰る場所もない。

 今ではコツを掴んで火を自由に出せるようになったし、襲われても大丈夫だろう。

 知らない地名が出てきたが、この依頼を受けることにした。


「わかりました。しかし、俺はアスラン王国までの道がわかりません。どのように行けば良いのか……」


「では、案内にフォンを付けましょう。フォン、大丈夫だな?」


 案内を付けてくれるなら多分大丈夫だろう。

 しかしフォンはあんな状態だが……


「わかりました。トール…… いや、トール様! 案内は任せてください!」


 初めて会った時ほどではないが、フォンは少し明るさを取り戻したようだ。

 こうして俺は、アスラン王国を目指して村を出ることになった。


     ※     ※     ※


「もっ、申し訳ありません! プルトニー様! 狐の獣人の村を滅ぼす作戦を失敗してしまいましたっ! 何やら火を使う旅の者に邪魔をされてっ! もう少しのところで……」


とある辺境の屋敷の中で、不釣り合いな程に“無駄に広い”部屋の隅へ座る男にガーゴイルが謝罪する。


「ガイルよ。次は、わかっているな?」


 男はガイルと呼ばれるガーゴイルへ静かに告げる。


「はっ、ははっ! 次は、次こそは、失敗などないッピ!」


 ガイルは血相を変えて部屋から飛び出した……

ここまでお読みいただきありがとうございます。

お楽しみ頂けましたでしょうか?

さて、ここからは現在の戦闘力です。

必ずこの数字に基づいて勝敗が決まるわけではありませんが、どのくらい成長したのかの指標にしていただければと思います。



戦闘力


トール 1000

フォン 800

今回のスライム500

普通のスライム100

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