第08話 依頼確認
オーク討伐依頼を受けた俺たちは、依頼人がいるサエス村に向かい街道をひたすら歩いていた。
そして、出発から4日、特に代わり映えのない道中の中ついにサエス村にたどり着いた。
「やっと、ついたぁ」
ケイトが疲れ切った表情でそういった。
「ほんとに遠かった」
ゴラスもそれに続いている。
「あははっ、それで、グロウ、依頼人はこの村の村長でいいんだよな」
俺はそんな2人を同意しながらもグロウにさっそく仕事の話を聞いた。
「ああ、それで、詳しく聞いて、今日は宿で休んでから明日討伐に向かおう」
グロウが大まかな作戦を立てたが俺に異存はない。
「そうだな、それがいいだろう」
「うん、私もそう思う」
「それじゃ、さっそく村長の家に行こう」
こうして、俺たちはまず村長の家を訪ねることにした。
サエス村はカルム村よりも少し大きいぐらいの規模で、そんなに大きくない、そのために村長の家はすぐに見つかった。
コンコンコンッ
「はい、どなたかな」
グロウがノックすると中から1人のばあさんが出てきた。
「初めまして、俺たちは、冒険者のカプレス兄妹とノーランというものです。依頼に出されていたはぐれオーク討伐の件で詳しくお伺いしたいのですが」
「おやおや、そうですか。どうぞ、中へ」
そういってばあさんは俺たちを招き入れてくれた。
「おじいさん、冒険者の方が来てくださいましたよ」
「おお、来てくれたか、ああ、いやいや、わざわざ遠いところをお越しくださいまして、ありがとうございます」
ばあさんの声を聴き、すぐに爺さんが俺たちにあいさつしてくれた。多分この人が村長だろう。
「どうも、俺たちはカプレス兄妹とノーランという冒険者です。さっそくですが、オークについて話を伺わせてください」
グロウがさっそく話を切り出した。
「ええ、もちろんです。ささ、そこにおかけください」
村長が椅子をすすめてくれたので俺たちは遠慮なく椅子に座った。
「では、失礼します」
相手が依頼人で年上ということもあり丁寧に対応する。
「オークを見るようになったのは、今から10日ほど前です」
村長は、俺たちが椅子に座ったのを確認してからオークについて話を始めた。
それによると、10日ほど前、村の若い猟師がこの村より東に1~2時間ほどの場所の狩場に向かい、猟をしようとした。しかし、いつもならいるはずの動物が全くいない、不思議に思いながら、周囲を探索してみると、森の木々の合間に巨大な影を見つけた。
当然その猟師はその影を確認しに木陰から覗いてみた。
するとそこにいたのは、豚の顔をした巨大なオークだった。
それを見た猟師はすぐさま踵を返し村に逃げ帰ったということだった。
「それはよかった、その猟師も無事で何よりです」
「ええ、ありがとうございます。我々も彼が無事でほっとしておりました。しかし、オークとなれば、村の一大事、そこで村の有志を集め、その規模などを調査するために向かいました」
駐在する兵士がいるような村ならその兵士に頼むことだが、ここのように小さな村では兵士なんてものは駐在していない、そのため、そういった調査も自分たちですることになる。まぁ、一応調査しなくても冒険者ギルドが調査員を派遣して調査するという方法もとられるが、今回のようにオークがいつ襲ってくるかわからない、ギルドがある街まで遠いとなると、自分たちで調査するしかないのだ。ちなみに、俺の村では村の大人たちが勝手に討伐してしまうが……。
「その調査で判明したのが、オークは1体であるということでした」
「はぐれオークだったというわけですね」
「はい、周辺を調査した結果ですからまず間違いないかと」
「なるほど、了解しました。これより、実際に調査された方から話を聞き、明日にでも討伐に向かいます」
「おお、お願いします」
それから、俺たちは村長から調査した人物を聞きその人を尋ねることにした。
「あなたが、ウカイさんですか」
ウカイは最初にオークを発見した若い猟師だ。
「そうだけど、あんたらは」
ウカイは見慣れない俺たちに警戒してきた。
「俺たちは、冒険者です」
グロウが答えた。
「冒険者? ということはオークの討伐に」
「はい、そうです。詳しい話を伺っても」
「もちろん、いいぜ。あの時俺は、いつも通り森で狩りをしていたんだ。といっても、一向に獲物が見つからなくって、少し遠くまで行ったんだ。そうしたら、いたのさ、大きな体をした、豚の顔を持った化け物がな」
そういってウカイは少しブルっと震えた。
「よく、無事に逃げられましたね」
「ああ、ほんとにな、俺もこれで終わりかと思ったよ。でも、幸いなのか、オークのやつはとったばかりの獲物を食らうのに集中していて、俺に気が付かなったんだ」
「なるほど、そういうことですか。それで、確認ですが、ほかにオークは見なかったのですか」
「ああ、見なかったな、間違いない。それに、そのあとの調査にもついて言ったけど、その時にも1体しか見なかったぜ」
「そうですか、ありがとうございます」
「おう、いいってことよ。俺たちとしても早くオークの野郎を討伐してほしいからな」
そういって、ウカイは去っていた。
それから、数人調査に出た人たちに聞いて回ったが、やはり情報通りオークは1体しかいなかったようだ。
そんなわけで俺たちは宿屋に向かい、グロウたちの部屋で作戦会議を開くことにした。
「とりあえず、情報収集は出来たけど、事前の情報通りだったな」
「そうだな」
ギルドではこういった依頼を出す前に依頼人が持ち込んだ情報の裏付けを行う。
その情報によれば、1か月ほど前サエス村から東の方角に位置する、隣国ナンバル勇者王国西部で大規模なオーク討伐が行われた。今回のオークはその際のうち漏らしと思われるという。オークは、通常群れているが、たまに群れの中に生まれた新たなオークリーダーが数体の側近を連れて群れから離れ新たな群れを形成するが、それ以外の方法で群れから外れると、なぜか一切群れることがなく1体で行動するようになる。今回のオークがそのケースだろうと考えられる。
「ということは、明日、いよいよオーク討伐ね」
「そうだね。といってもたった1体だけど」
ケイトは少し緊張の面持ちで、ゴラスは、相手がたったの1体だということに、少し自嘲気味に言った。
「俺たちなら、問題なくやれるだろう」
こうして俺たちの初めてのオーク討伐、いよいよ明日である。




