第73話 それぞれの戦い3
小屋スキルを出た私は、急いでノーランがいる訓練場に向かった。
そこには2体の悪魔族、1体は今ノーランが戦っている男型の悪魔族、でも、もう1体は女型だった。私としても因縁がある女型、まさか、ここでまた会えるなんて思わなかった。
そんなことを考えていると、それまで黙ってノーランと男型の悪魔族が戦っているのを見ていた女型の悪魔族が動き出した。
「私も、やるわ」
そういって何もないところから剣を取り出した。
だから、私も急いで飛び出した。
「そうは、行かないわよ」
女型の悪魔族に向かって突きを出した。
「待ってたぜ、カイナ」
「ごめん、待たせた」
ノーランが少しホッとした顔をしていた。
間に合ってよかった。
「さて、俺が男の方をやる、カイナは女を頼む」
「了解、前回は、ノーランに助けてもらったけど、今度の私は、違うからね」
あの時は、レイラがいなかった。
『ええ、そうね、今は私がいるわ』
だから、負けない。
「あら、2人になったわね。それに、その子の槍も不愉快ね」
「それはどうも、悪魔族に不愉快といわれるのなら、レイラも喜んでいるわね」
「レーヴェもだよ」
『ええ、そうね』
『あらあら、うふふっ』
ノーランとレーヴェは本当に嬉しそうだ。
「よし、行くぞ」
「ええ」
『任せて』
『これが、私とカイナの初めての戦いとなるわね』
そう、レイラにとって、私にとって、これが初めての悪魔族討伐となる。
それから、私たちは距離をとって戦いを始めた。
ノーランは相変わらず大剣にしたレーヴェを振り回している。
この時ばかりは、いつもはノーランを振り回しているレーヴェも素直に振り回されているみたい。
というわけで、私もレイラを構えた。
「こっちも、行くわ」
「ふふっ、どこからでもどうぞ」
悪魔族は余裕でいるようだ。でも、その余裕はすぐにでも引きつらせてあげるわ。
私は、そんな決意を胸に槍にしたレイラを下段に構え、一回目を閉じてから一気に悪魔族との距離を詰めて、横なぎにした。
「はっ、へぇ、鋭いわね。でも、そんな攻撃、当たらないわ」
「まだまだー」
私はそう言いつつ、素早く振りぬいたレイラを少し小さめの片手剣に変えて斬りかかった。
「なっ、うそでしょ、まさか、これも!」
悪魔族は驚いているようだ。多分すでにレーヴェの形状変化を見ているようで、レイラまで、変化するとは思わなかったんだろう。
「言っておくけど、私とノーランの剣は、一味違うわ」
そうして、今度は、双剣に変えての攻撃。
そう、私の攻撃手段はこれ、多彩な武技スキルを持つ私は、戦闘中にレイラを様々な武器に変えるという、普通ならありえないものだ。
これをノーランに初めて見せたとき、ノーランでも対処できなかったほどだ。
というわけで、私は、それからも様々な武器にレイラを変化させて攻撃を入れていった。
「くっ、何なの、一体、次々に、くわぁ」
さすがの悪魔族もこれには対処が遅れていく。
「今度は、こっちよ」
私は体を回転させて、悪魔族に見えないようにレイラを変化させて、攻撃。
「きゃあ」
悪魔族は、たまらずそれを受けて傷を増やしている。
「な、なんて、厄介な」
私の攻撃を受けて悪魔族はだいぶダメージを受けている。
そろそろ、終わりにしようか。
『そうね、一思いにやりましょう』
私は、レイラを一番得意な槍の形状に変え、構えた。
「これで、終わりよ」
「槍術、乱散華」
槍術スキル5でできるようになる技、いくつかの攻撃を一回の攻撃で繰り出すもので、はたから見ると、最後の突きしか見えないものでもある。
「ぎゃぁぁぁ」
私の攻撃をまともに受けた女形の悪魔族は壁にたたきつけられたと同時お腹に大きな穴をあけたまま絶命し、チリとなって消えた。
それと同時、不意にノーランから話しかけられた。
「そっちも、終わったみたいだな」
「ええ、まぁね、何とか、そっちはどうだった」
「俺もなんとかだよ。ほんとに、悪魔族は強いよな。俺たちもまだまだってことだな」
「そうね」
『あらあら、そうね。でも、ノーラン、あなた、剣術スキル、レベルがあがっているようね』
「え、そうなの」
私は、驚いた。
「ああ、さっきの戦いでな、レベル6になったよ」
そう、カイナに言った通り、俺はこの戦いで剣術スキルレベルが6に上がった。
「そっか、おめでとう」
『これで、ノーランは一段と強くなったわね』
カイナは祝福してくれて、レーヴェは嬉しそうに喜んでいる。
「そうだな。でも、この調子だと、もっと強くならないとな」
俺は気を引き締めることにした。
「うん、そうだね。私は、まだ5だから、ますますだけどね」
「カイナだって、すぐに上がるんじゃないか」
「そうだといいけど」
俺としては、本当にそうなると思う。俺がなんでこんな短期間でレベルが上がったのか、それはたぶん悪魔族と戦っているからだろう。本来なら自分より圧倒的に強い敵と戦っているから俺自身のレベルが上がったんだろう。
「おいおい、もう、終わったのかよ」
「これじゃ、何のために駆け付けたんだよ」
「ていうか、お前ら強すぎだろう」
とここで、ギルドマスターたちが訓練場に入ってきた。
「まぁ、ね、そっちは、片付いたのか」
「ああ、なにせ、こっちは人数が多いっていっても人間だからな。俺たちの敵じゃねぇさ」
確かに、言われてみれば、ギルドマスターは言うまでもないが、ここにいるのは誰もが高位ランクだったな。
まぁ、こうして、突如やって来たギルド襲撃は俺たちの完全勝利で幕を閉じたのだった。




