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剣と少年  作者: 敦
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第72話 それぞれの戦い2 

「うぉおりゃぁぁ」

 俺は雄たけびとともに大上段に構えたレーヴェを振り下ろしていた。

 だが、その攻撃は、悪魔族にかわされてしまった。

「ちっ、そりゃぁ」

 そこで俺はすかさず無理やり軌道を修正して横に振りぬいた。

「ぐはぁ」

 これはさすがに受けたようだが、それほどのダメージには至っていない。

「くふふ、まさか、人間ごときがここまでやるとは、思いもしませんでしたよ。いえ、実に楽しいですねぇ」

 などと、行ってくるが、あいにくと俺はバトルジャンキーではないので、ちっとも楽しくはない。

「くそ、厄介だな」

『ええ、そうね。あまり長くやると、ノーランの体力が持たないわよ』

 そうだ、レーヴェの言う通りだろう、前にも言ったが、悪魔族はただそれだけで身体能力が俺たち人間とはけた違いだ。しかも、人間の中で、人族というのは特に非力な種族でもある。そう考えると、体力的に先にばてるのは明らかに俺の方だろう、だから、俺としてはさっさとけりをつけなければならない。

 となると、あれをやってみるか。

『あれって、あれのこと』

『ああ、試してみるその価値はありそうだ』

『そうね、やってみましょうか』

 あれというのは、俺の剣術スキルの中にあった謎の技のことだ。

 どういうことかというと、剣術スキルは、数多くある剣の名のつく武器をどれでも扱えるというスキルなわけで、そのためスキルにある技もレベルが1上がるたびに複数覚える。

 そんな技の中に唯一1つだけ、どうあがいても発動しない技が1つだけあったのだ。

 この技が一体どんな技で、どんな剣の技なのかが全く分からなかった。

 だが、このニンモートに来てようやくその謎が解けた。

 どうやら、この技“居合抜刀術”というのは、この国独自の刀と呼ばれる剣の武技だったようだ。

 この答えを知ったのは、少し前でたまたまこの国の剣士と巡り合い、話をしているうちにそんな話をしたところ、あっ、それ、刀剣スキルの技だ。

 と、あっけなく教えてくれた。

 その後、その剣士に詳しい話を聞いてようやくその技の正体がわかったというものだった。


 というわけで、俺はレーヴェにこの国の刀に変化してもらった。

「また、形状変化ですか、しかし、見たこともない形ですね。しかし、戦っている最中に剣を鞘に納めるとは、ようやく死ぬ覚悟ができましたか」

 どうやら、この悪魔族は刀を知らないようだ。

 その証拠に鞘付きで変化したレーヴェを不思議に思っている。

 なぜなら、この“居合抜刀術”はこの状態じゃないと発動しないからだった。

『それじゃ、行くぞ』

『ええ、いいわよ』

 俺はレーヴェを腰に構えてゆっくりと目を閉じた。

「どうしたいのか知りませんが、さぁ、死になさい」

 そういって、悪魔族は剣を構えて俺に斬りかかってきた。

 目を閉じても俺にはその動きがよくわかった。

 そして、技を発動。

「剣技、居合抜刀術」

 俺がそういった瞬間俺はさやからレーヴェを抜き放ち、そのまま悪魔族がとっさに防ごうと前に出した剣ごと両断した。

「そ、そんな、ま、まさかぁ」

 そんな言葉を残して悪魔族は塵と化した。

「ふぅ、終わった」

「ぎゃぁぁぁ」

 俺が終わったとほぼ同時、カイナの方でも叫び声が聞こえた。

「向こうも終わったみたいだな」

『そのようね。向こうも結構大変だったみたいだけど』

「みたいだな」



 ノーランが悪魔族と戦いを始める少し前までさかのぼる。

 その時、私は、自身のスキル小屋スキルの中にいた。

 「急がないと」

 私は今急いで着替えている。

 どうして着替えるかって、それは当然、私はこれまでこの街で買い物をしていたわけで、そうなると、冒険者の格好ではいられない、つまり旅人の格好だった。

 そんな恰好で悪魔族と戦うのはさすがにきつい。

「カイねーちゃ」

 そんな私をひしぎそうに見ているミリーちゃんがソファに座っている。

「ごめんね、ミリーちゃん、ちょっとの間、ここでいい子にしていてね」

「?」

「えっと、なんていうかな、今ね、お外は危ないの、だから、ここにいてね。すぐに戻るから、大丈夫よ」

 私がそういうととたんミリーちゃんが泣きそうな顔をした。

「おばちゃんも、そういった」

 おばちゃん、たぶん犬人族の人だろう。

 困った、どうしよう。

 どうやらミリーちゃんは今のやり取りで、思い出してしまったようだ。

「大丈夫、大丈夫よ、ほら、私とノーランは強いから、どんなことがあっても、どんな敵が来ても倒せるの、だから大丈夫だからね」

 私は目一杯の笑顔をミリーちゃんに向けながらそういった。

「つおい?」

「そうよ、強いんだから」

「うん、ミリー、いい子にしてる」

 どうやら、うまくいったみたい。

「ちょっと、行ってくるね」

「うん」

 私は、ミリーちゃんのほほを両手で包むように持った。

「えっと、ヴォルフ、ミリーちゃんといい子にしててね」

 ミリーちゃんのあとは一応ヴォルフにもそういった。

「バウ」

 ヴォルフもそういって返事をしつつ、まるでミリーちゃんを守るようにしてお座りをした。

「それじゃ、行ってくるわね。すぐに戻るからね」

 そういって私は、小屋スキルを出て行った。


 小屋スキルから出ると、そこはまさに乱戦モード一色だった。

 ギルドマスターたちが戦っているのは、見た目からしてハンターだろう。見たところ、ギルドマスターたちでも問題ないように見えたので、私は一直線にノーランがいると思われる訓練場に向かった。

 なにぜ、私もそうだけど、ノーランの得物は大剣、ここでは戦い辛くなる。

 だから、ノーランなら訓練場に向かうだろうと思ったからだった。

 そして、案の定訓練場にノーランと2体の悪魔族、1人は男型だけど、もう1体は女型だった。

 しかも、どうやら、女型は最初見ているだけだったけど、今まさに、ノーランとの戦いに参加しようとしていた。

「そうは、行かないわよ」

 私はそういってレイラを構えて女形の悪魔族に突き入れた。

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