第71話 それぞれの戦い1
ドガァァン
カイナの小屋スキルでの衝撃から、まもなく、突如感じた最悪の気配。
それと同時に上の方で爆発音が響いた。
どうやら、扉を破壊したようだ。
「私、着替えてくる」
ここで、カイナはいつもの戦闘スタイルになるために小屋スキルを再び起動して中に入っていった。
もちろん、最悪の気配に対しての対策としてミリーも連れて行った。
「さて、ギルドマスターたちは、他を頼む」
そう、俺が感じたのは、悪魔族、それと同時に複数の人間の気配だった。
「おう、、ま、任せろ」
そうして、数秒、その時がやって来た。
「おやおや、まさか、このような地下に潜んでいるとは、まるで、モグラですね」
そういって現れたのは、一見人間に見えるが、青みがかった肌、頭に2本角、何より目が赤く、白目部分は黒い。
まぎれもない悪魔族だった。
「モグラなのは、お前らの方じゃないのか、いつだったか、討伐した悪魔族は地下で穴掘りしていたぞ」
俺は自分に注意を向けるために挑発した。
「ほぉ、まさか、我々を挑発してくる人間がいるとは、見たところ、腕に自信があると見えますね。その自信を打ち砕くのも楽しみですねぇ」
「相変わらず、趣味がわるいわねぇ、まぁ、でも、私たちを2人も相手にずいぶんと調子に乗っているみたいなのは、少しいら立つわね」
そういってきたのは、これまた女性型の悪魔族だった。
「あいにくと、俺はこれまで、お前らみたいなごみを数体掃除してきたからな」
「面白い、では、その実力とくと見せてもらいましょう」
そういいつつ男型の悪魔族は異空間収納のような魔法を起動してそこから剣を1振取り出した。
それはずいぶんとまがまがしい剣だった。
「それはこっちのセリフだ」
こうして俺と男型の悪魔族の戦いが始まった。
ちなみに女形の悪魔族は、そんな戦いを見ているだけだった。
これは正直ありがたい、さすがに俺も2体同時はきついからな。
カイナ、早く頼むぜ。
それにしても、ここは狭いな、移動するか。
俺はそう思って悪魔族の攻撃をレーヴェで受けながら、ギルドの訓練室へ向かった。
「これはまた、ずいぶんと広い空間に出ましたねぇ」
「ああ、ここの方が、お互い力が出せるだろう」
そういってから、俺は、レーヴェをこれまでの片手剣から、いつもの大剣へと変化してもらった。
「ほぉ、形状を変える剣ですか。どうやら、ただの剣ではないようですね」
「そのようね、それに何か不愉快な気配がするわ」
「確かに、そうですねぇ」
悪魔族2体は、さすがにレーヴェの気配に気が付いたようだ。
「今頃遅いぜ」
そういいつつ、俺は、レーヴェを振りかぶり、思いっきり振りぬいた。
「くっ、なんという、剣圧」
「やりますね」
「私もやるわ」
ここで、悪魔族が俺を脅威と感じたようで2体がかりで早々に片付けることにしたらしい。
「そうは、行かないわよ」
まさにその時、女型の悪魔族の後方からものすごい突きが出された。
「待ってたぜ、カイナ」
「ごめん、待たせた」
カイナが完全武装で間に合った。
「さて、俺が男の方をやる、カイナは女を頼む」
「了解、前回は、ノーランに助けてもらったけど、今度の私は、違うからね」
頼もしい相棒だ。
「あら、2人になったわね。それに、その子の槍も不愉快ね」
「それはどうも、悪魔族に不愉快といわれるのなら、レイラも喜んでいるわね」
「レーヴェもだよ」
『ええ、そうね』
『あらあら、うふふっ』
レーヴェとレイラも喜んでいる。
「よし、行くぞ」
「ええ」
『任せて』
『これが、私とカイナの初めての戦いとなるわね』
そう、レイラにとって、カイナにとって、これが初めての悪魔族討伐となる。
こうして、俺と、カイナ、それぞれ悪魔族とに戦いが始まった。
俺の方は、男型の悪魔族とあれから数合打ち合っている。
それでわかったことだが、この悪魔族、確かに強い、剣技を収めているというのは間違いないが、基礎の膂力も強い。多分、俺が今まで出会った悪魔族の中では一番強いといっても過言ではないだろう。俺もスキルレベル5に最近ではずいぶんとなれて、だいぶ扱えるようになってきたと思って来たが、結構きつい。まぁ、間違いなく、ミルダンジョンに現れたのがこいつなら、たとえレーヴェを手に入れていたとしても、意味なく殺されていたと思う。
だが……。
「うぉおりゃぁ」
俺は渾身の力を込めてレーヴェを振り回した。もちろん、風魔法ウィンドカッターを折りませてだ。
「くっ、やりますね」
そん攻撃を受けて、悪魔族は、さすがに傷を負っている。
「では、こちらの番です」
そういって、悪魔族もまた渾身の剣技を放ってきた。
それを、レーヴェで何とかかわしながら、受けたが、完全に防ぐことはできず俺自身も多少傷を負ってしまった。
「ちぃ、さすがにやるなぁ……ヒール」
俺は素早くヒールを唱えた。
「回復魔法ですか、ですが、そんなに使っては魔力が持ちませんよ」
悪魔族の言う通り、俺はこの悪魔族との戦いの中、結構魔法を使っている。
それほど、本気でやらなければならない相手だったからだが、俺の場合まったく問題ない。
「あいにくと、こちとら、魔力は、使いたい放題なんでね」
それからもいくつか魔法を織り交ぜつつ、攻撃を加えていった。
「くっ、一体どれだけの魔力を……そこです」
「うぉっと、あぶねぇ」
悪魔族の鼻った突きを思わず受けそうになってしまった。
本当にこの悪魔族、俺が今まで戦ってきたやつらより強いな。
俺はそんなことを思いながら、レーヴェを大上段に構えて思いっきり振り下ろしている。
「うぉおりゃぁぁ」




