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剣と少年  作者: 敦
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第69話 小屋スキル

 犬人族の集落で保護した猫人族の少女ミリー、ミリーはなぜか、ディノシス教団に狙われているようだった。

 その理由を探ってみると、どうやらミリーは召喚スキルと従魔スキルという獣人族にしか現れず、その獣人族でもめったに出ないレアスキルの持ち主であることが分かった。

 しかも、レーヴェによると、そのレベルはいまだ3歳であるにもかかわらずすでに5だた。そのことから転生スキル保持者であることが分かった。

 しかし、ここで疑問が生じた。転生スキル保持、これは俺の剣術などのように技術系のスキルを5以上にまで高めた、その褒美として生まれ変わっても5からスタートできるというもので、能力系のスキルではそれはないはずだった。そして、召喚スキルも従魔スキルもともに能力系スキル。どういうことかと思っていると、レーヴェとレイラが説明してくれたわけだけど、どうやらある条件を満たせば能力系でも転生スキル保持となるようだ。

 つまり、ミリーは前世でこの条件を満たしたということらしい。

 ちなみにその条件はスキルによって違うようだが、共通してスキルの進化というものがあるらしい。

 とまぁ、そんなわけで、俺はミリーに召喚をしてもらうことにした。

 すると、ミリーが呼んだのはグレートガルムという狼の魔獣だった。

 俺はこのグレートガルムという魔獣を知らなかったので、知っていそうなギルドマスターに聞いてみた。

「えっと、どんな、魔獣なんだ」

「グレートガルム、まぁ、強いといってもお前らはDランクだったな。それじゃ知らなくても当然か」

 それから、ギルドマスターたちが説明してくれた。

 まず狼系の魔獣というのは俺たちも知っている、グレイウルフといった、何とかウルフというのが一般的で、その強さは冒険者のランクでいうと、大体EランクからDランクが妥当といわれている。といってもウルフの中でも、アークウルフという最上位の魔獣がいて、それとなると最低でもCランク冒険者が複数人は必要となる。

 そして、問題のガルムとなると、それとは比べ物にもならない強さとなる。そして、グレートガルムとなると、そのガルムの中でも最上位の一歩手前、その強さはAランクでも下手すれば負ける可能性があるらしい。実際、元Aランクでもあったギルドマスターは、過去このグレートガルムと戦い命からがら逃げてきたらしい。

 Aランク逃げるって一体どんだけ強いんだよ。

 しかし、その話はあくまで大人のグレートウルフであり、現在のヴォルフはいまだ1歳と赤ん坊みたいなものだそうだ。

 まぁ、それでも、その強さはCランクぐらいの冒険者じゃないと戦いにすらならないそうだが……。

 とんでもないものを呼んだなミリーは……。

 俺としては、今後のミリーとヴォルフが少し心配になった。

『なぁ、レーヴェ、そんなすげぇ、魔獣、スキルレベル5でも大丈夫なのか』

 俺は1つ心配をレーヴェに聞いた。

『私も、気になったんだけど、大丈夫なの』

 カイナも心配になっていたようで聞いてきた。

『大丈夫よ、大人なら、難しいけど、たぶんヴォルフは生まれてすぐ呼ばれたみたいだから』

『その頃に呼ばれたのなら、たとえ上位の魔獣でも5もあれば十分従魔にできるわ』

 レーヴェとレイラがそう説明してくれたので、これはまぁ、一安心ってところだろう。

「まぁ、とにかく、ディノシス教団が狙っているのが、この子であることに変わりはないわね」

「まぁ、そうだな」

「ああ、それは、間違いなだろうな」

 ということで無理やり結論付け、この話はここで終わりとした。

「ああ、そうそう、ノーラン、お願いがあるんだけど」

 とここで、急にカイナがそんなことを言い出した。

「なんだ」

「私の荷物預かってくれない」

「荷物? 小屋のか」

「そう、考えたんだけど、私の小屋なら、ミリーちゃんも安全だと思うのよね。それに、ミリーちゃん、まずは勇者王国までは連れて行くんでしょ」

 カイナがそういうが、それは俺としても決定事項だった。

「だな、ミリーのためにもそれがいいだろうな」

「そうなると、街には行けなくなるし、ミリーちゃんまだ3つだし、テントってわけにもいかないでしょ」

「まぁ、確かに、そうだな」

「というわけで、小屋を少し整理するわ」

 ということで、俺はそれを了承して、カイナの荷物を俺の幾巻収納で預かることになった。

「じゃぁ、街に買い物に行ってくるわね。ミリーちゃんのことお願い」

  カイナの荷物をすべて俺が預かったところで、カイナは新たに小屋に入れる家具などを購入するために街へと1人繰り出していった。

 俺も行こうかといったが、それよりミリーの面倒を見てくれと言われてしまった。

 確かに、ミリーは街に出るわけにもいかないし、ここの連中に任せるわけにもいかない、ということで俺が残ったというわけだ。


 そうして、小一時間ほどが経った。

 カイナが去った後、ミリーはお菓子を食べたことで眠くなったのか、ソファーで丸くなって寝息を立てていた。それを、俺たち残された男連中で見つめながら癒されていた。

「ただいま、あら、眠っちゃんだ」

 そこにカイナが帰ってきた。

「ああ、カイナが出た後少ししたぐらいでな」

「へぇ、こうしてみると、本当にかわいいわね。ヴォルフも、本当に子供なんだね」

 そう、ミリーのそばでヴォルフもまた寝息を立てていたわけだが、確かにこうしてみると子犬みたいだった。

「だな。で、小屋はどうなったんだ」

「ああ、そうそう、家具とか一杯買ってきたよ。あと、ミリーちゃんの服とかもね」

「あっ、そうか、そういえば忘れていたな。集落を出るときミリーの服とか何も持ってきてないからなぁ」

 これは完全に俺の失念だった。

「まぁ、私も忘れていたし、たとえ覚えていてもあの状態じゃねぇ。着られるものはなかったかも」

 確かに、カイナの言う通りあの荒れようじゃ期待はできないな。

「それで、どんな感じになったんだ」

「うん、ちょっと見てくれる」

 そういってカイナはその場で小屋スキルを発動させた。

 すると、目の前に扉1枚出現し、カイナがそこに入ったので俺も迷わず入った。

 ちなみに、ギルドマスターたちにはミリーを頼んだので彼らは入ってきていない。

 っで、その中なんだが、少し前に見た状態とは全く違っていた。何せ、前に見たときは荷物が雑然としていたからだ、まぁ、それを俺の異空間収納に収めたので空となっていたが、今は、完全に部屋となっていた。まず目を引くのは大きなベッド、大人が2人並んで寝ても余裕がありそうで、これならミリーがいくら寝相が悪くても落ちることはないだろう。

 そして、2つ並んだタンス、このうち1つは見覚えがあったのでカイナの物だろうな、ということはもう1つがミリーのタンスか。そのほかにも机があったり、ソファがあったりと、まさに部屋そのものだった。

「これならずいぶんと快適に過ごせそうだな」

「そりゃぁね、みんな結構高かったんだから」

 どうもカイナはこのためにだいぶ散財したようだ。

 そういえば、俺もこれまでの冒険などで、だいぶ使ったからな。といっても、俺は悪魔族3体分、カイナは1体分の稼ぎがあるのでもう少し大丈夫そうだ。

「というわけで、今日から、私たち3人で使うから」

 俺は一瞬カイナが何を言っているのかわからなかった。

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