第64話 襲撃された集落
ナイヘルの地下に隠された冒険者ギルド、ここは130年前領主によりつぶされたギルドが、ひそかに続けいた活動拠点だ。といってもここで行うのは主に情報収集で通常のギルドとはだいぶ違う様相だった。
俺たちはそこに、ナンバル勇者王国王都冒険者ギルドギルドマスター、ハッサンから預かっていた書類と物資を持ってきた。
その物資を下ろしていると、突如ハンターと呼ばれる連中がシュエクの森という場所に入ったという情報が入ってきた。
聞けばそこには獣人族である犬人族が集落を作り隠れ住んでいるという。
ハンターはその情報を得ている可能性があり、彼らが危ないということでかなり焦っている。
「何があった」
「おう、そうだ、ノーラン、カイナ、さっそくで悪いが、お前さんたちシュエクの森に向かってくれないか」
俺が部屋から出るとギルドマスターがそう言ってきた。
「ああ、構わないけど、俺たち場所、知らないぞ」
「そうだったな、ドーラ、案内してやってくれ」
「こいつらをか、大丈夫なのか」
ドーラと呼ばれた男は俺たちを見てそう思ったようだ。
「ああ、問題ない、こいつらは、悪魔族を討伐している2人だ、そこらのハンターじゃ相手にもならねぇよ」
「悪魔族を! そいつはすげぇ、頼もしいじゃねぇか。わかったぜ。こっちだ」
「おう、わかった、ああ、そうだ、ギルドマスター、物資は全部隣に出しておいた。確認しておいてくれ」
「わかった、頼むぞ」
こうして俺とカイナはとにかく急いで街を出ることにした。
街を出た俺たちは、北に向かって走った。すると遠くに森が見えてきた。
「あれがそうか」
「そうだ、あれがシュエクの森だ」
「ハンターはいつ頃森に入ったの」
「2時間ぐらい前だ。だから、最悪の可能性が高い」
ドーラがそういうが、確かにそれはそうだろう2時間じゃ、遅すぎるといってもいいぐらいだ。
「だったら、急ぐぞ」
「そうね。急がないと」
俺もカイナも速度を上げた。
「ここが森の入り口だ、集落は、ここからまっすぐ北北西に向かった場所にある」
森の入り口まで来たところでドーラがそういいながら止まった。
どうやら、ドーラによる案内はここまでのようだ。
「悪いが俺は戦闘要員じゃないからな、後を頼む」
ドーラが申し訳なさそうにそういってきた。
「任せろ、ここからは俺たちの仕事だ」
それを聞いたドーラが再び街に戻ったのを見てから俺たちは、それぞれ着替えることにした。なにせ、今の格好は旅人、このままでも戦えるとは思うがやはりいざという時に困るからな。
「よし、行くか」
「ええ、いいわよ」
『早く行きましょう』
『そうね、早く獣人族の人たちを助けないといけないわ』
ということで俺たちは再び森の中を走り始めたわけだけど、その途中俺は魔法を唱えた。
それは、ブーストという魔法で回復魔法と同じ系統の光魔法のレベル2で覚える魔法だ。
これを使うことで、身体能力を飛躍的に上げることができる。
そのため、俺たちの移動速度は数倍に跳ね上がっていた。
「これ、早いわね」
カイナもこの強化に驚いていた。
「だろ、でも、これあまり長く使うと、後が大変なことになるからな、気をつけろよ」
「わかったわ」
そう、このブースト、使うのはいいけど使った後がたいへんなことになる、どういうことかというと、身体強化で無理やり力を引き出しているから筋肉が悲鳴を上げて、しばらく動けなくなってしまうという欠点があるのだ。
まぁ、最悪の場合、ヒールで治すことはできるが、肉体は治っても精神は治らないので結局は大変なことになるということだ。
そうまでしてでも、急がないと間に合わない可能性があった。
こうして、2時間ぐらい俺たちは走り続けた。
「はぁ、はぁ、はぁ、さすがに、疲れるわね」
「あ、ああ、はぁ、そうだな、はぁ」
そうして、走っていると煙が見えてきた。
「おい、あそこ、煙が見えるぞ」
「ああ、ほんとだ、お願い間に合って」
カイナも懇願していた。
そして、ついに集落が見えてきて、俺たちは絶望した。
なぜなら、そこは、完全な廃墟、すでに襲撃後だったからだ。
「くそっ、間に合わなかったのか」
「そんな。こんなに急いだのに」
俺たちは、その場でうなだれた。
「畜生、なんで、なんでだよ、くそがっ」
俺も思わずそう叫ばずにはいられなかった。
『!待って、お姉さま、あそこ』
とその時レーヴェがそんなことを言い出した。
『あら、あらあらあら、これは、もしかして』
レイラも何やら見つけたようだ。
「どうしたの、レイラ」
カイナも、レイラのこんな反応初めてで思わず聞いていた。
「どうしたんだレーヴェ、何を見つけたんだ」
『ノーラン、あそこの、家よ』
俺はレーヴェが指示した家に向かった。
「この家か、何もないぞ」
その家は家具がいくつか散乱していたが、他には何もなかった。
『そこの棚の下よ』
「棚の下?」
そういわれて、俺は倒れた棚を持ち上げた。
「どうだ、カイナ、何かあったか」
俺が持ちあげている間にカイナに下を見てもらっていた。
「えっと、あっ、待って、何かある」
カイナがそういうので、さらに棚を持ち上げてどかしてから俺もそこを見た。
すると、そこにあったのは、少しだけ色が違う床、しかもよく見ると指を入れるような穴があった。
「なんだこれ」
俺はそう思って指を入れて持ち上げてみた。
「えっ」
「あっ」
そこは食糧庫か何かだっただろう、その場所にピッタリ収まるようにして、1人の少女、いや幼女がいた。




