第06話 遠出1
グロウたちと別れたあと、俺はというと、大体の荷物は異空間収納に入っているし特にやることはない。
まぁ、あるとすれば、食料の買い出しぐらいだろう。
そこで、とりあえず近場の商店に向かい、当面の食料をいくつか買い込んでいった。
あとは、野営をすることになるから、薪とかちょっとした替えの服ぐらいだろう。
そんなわけで1時間もかからず準備を終えた俺は適当に時間をつぶしてから、北門へと向かって行った。
「少し早かったかな」
俺が北門につくと、そこにはまだグロウたちはいなかった。
しかし、少し待っていると、通りの向こうからグロウたちがやってきた。
「来たみたいだ……」
俺はそこまで言って止まってしまった。
その理由は、ゴラスの姿だ。
グロウは普通の荷物、ケイトは、かなり軽装というか自身の装備以外持っていない。それに対して、ゴラスの荷物は、でかいリュックを背負っていた。ゴラスは、3人の中では一番年下の弟だが、一番でかい、それにしてもあの荷物はなんだ。
「お待たせ」
「待たせたか、ノーラン」
「ごめん、遅れた?」
「いや、まだ、1時間たってないし、問題ないけど、すごい荷物だな」
俺はゴラスに向かって言った。
「まぁね、これ、3人分の荷物だから」
どうやら3人分らしい、確かにそれならこの量も納得だ。
「なるほな、それでか」
「まぁ、ほとんどが姉さんだけど」
ゴラスが小声でそういうと、ケイトがゴラスに蹴りを入れながら言った。
「悪かったわね」
「いてっ」
ゴラスの声は俺にしか聞こえないような小さなものだったはずなのに、ケイトにはしっかり聞こえていたようだ。
「まったく、それより、ノーラン、あなたの荷物はどこに?」
ケイトは、今のやり取りを俺に見られたことをごまかすように話をそらしてきた。
「そういえば、ノーラン、何も持っていないじゃないか」
「どこに置いているんだ」
ゴラスは、どこかに置いていると思ったらしい。
「いや、どこにも置いてないぞ」
「えっ、じゃぁ、どういうこと?」
ケイトは頭に疑問符を浮かべている。
「もしかして、ポーチか……いや、違うか」
グロウは俺が異空間ポーチを持っているのかと言おうとしたが、俺を見て持っていないことに気が付いたようだ。
「ああ、ポーチは持っていない、あんなもの高くて買えないからな、そうじゃなくて、これだよ」
俺は答えとして異空間収納を起動させた。
「えっ!」
「それって!」
「異空間収納か!」
3人とも驚いているようだ。
「そういうこと、というわけで、ゴラス、荷物持つぞ」
「……あ、ありがたい、正直、これ重くって」
だろうな、ゴラスは明らかに重そうにしているからな。
「まさか、ノーランが異空間収納の使い手だったとは」
「そういうことならもっと早くいってよね、それならもっと一杯持ってくればよかったよ」
ケイトがなんか言っている。
「姉さん、そんなに買うお金、ないだろ」
ゴラスがもっともなことを言っている。そう、俺たちFランク冒険者は誰もが貧乏だ。
「わかっているわよ」
「あははっ」
俺はそんなやり取りを見ながらゴラスから受け取った荷物を異空間収納にしまった。
「それじゃ、行くか」
「そうだな」
グロウの合図に俺が答えて、俺たちはミルダルタを出発した。
街道を進む中俺たちの会話というと、俺たち自身についてだった。
俺が話したのは、出身地や俺が持っている槍についてなどだ。また、異空間収納についてなどを結構聞かれた。
やはり、便利な分うらやましいようだ。
「それじゃ、本当に異空間収納には制限なんてないんだ」
「そうみたいだ。俺も小さいころから相当ものを入れてきたけど、いまだに一杯になった気がしないからな」
「すごいな、それで、時間経過もないって聞いたことあるけど、ほんとか」
「ほんとだ。だから、食料なんかが腐ることはないからな、子供のころに入れたものでも、ほら、こんな感じ」
そういって、俺は異空間収納から、子供頃に入れた新鮮な肉を取り出して見せた。
「おお、ほんとにすごいな」
「ほんと、いいよね。それ」
それからもひとしきりうらやましがられてからようやく今度は、グロウたちの話となった。
グロウたちはカプレス村という村の出身だそうだが、この村はかつてオークの襲撃を受けた。グロウたち家族は何とかうまく逃げることができたことで、無事だったが、なじみのあった人や親しかった人たちがその被害を受けた。
「まぁ、その時のオークは、何とか雇った冒険者たちが倒してくれたけど、家とか壊れてて、しばらく再建に時間がかかったんだよな」
3人とも苦労をしているようだった。
「その時見た冒険者たちが格好良くてな。俺たちも冒険者になることにしたんだよ」
そんな思いで始めたことだそうだ。そして、冒険者になるときは3人一緒になろうと考え、一番下のゴラスが成長するのを待ってから3人で出てきたようだ。
ちなみに、グロウは俺より2つ上で17歳、ケイトが俺と同じ15歳、ゴラスは1つ年下で14歳だそうだ。
そんな道中を過ごしていると、不意に目の前に殺気を感じた。
「魔物か」
「ゴブリンかしら」
「みたいだな」
「数は、大体10ぐらいだね」
「それぐらいなら問題ないな」
「そうだな」
Fランクでもゴブリン10ぐらい余裕だ。
「それじゃ、さっさと片付けるか」
それから、俺たちは、ゴブリンに向かった。
「おりゃぁ」
「とうら」
「これで、終わり!」
「とどめ!」
俺が放った魔法に合わせて、グロウが剣で切りつけ、ケイトが素早く動いてダガーで刺し、ゴラスがとどめに殴り掛かった。




