第56話 いざ、ニンモートへ
アルバーの子孫にあった。しかし、その子孫たちにはアルバ―の話が捻じ曲げられて伝わっていた。
本当ならアルバ―は悪魔王討伐に最も貢献した。
しかし、子孫たちに伝えられたのはその栄誉を汚す嘘の情報だった。
それは、なんと悪魔王を討伐することを依頼断ったどころか斬りかかって、その場で処刑されたというのだ。
あまりにあんまりな話だった。そこで俺たちはこの子孫たちに真実を話すことにしたわけだが、最初はやはり信じてもらえなかったが、デリタルダンジョンで見たことなどを話しているうちに徐々に信じてきて、今ようやく信じてもらえたようだ。
「……ノーランさん、カイナさん、ありがとうございます。それと、ノーランさん、すみませんでした」
俺としてはなぜ謝られたのかはわからなかった。
「えっと」
「ノーランさんは記憶はないとおっしゃいましたが、アルバ―の生まれ変わりであることは変わりありません、僕たちは長い年月アルバーを恨んでいました。それについて謝らせてください」
そういうことらしい、俺としは別に要らないがここは素直に受け取っておくべきだろう。
「そうか、わかった、その謝罪はアルバ―として受け取っておくよ。でも、たぶんアルバ―も必要ないって思うだろうな。それより、子孫にそんな思いをさせていたことに頭を抱えるかもな」
これは俺としての本音だ。記憶はないがアルバ―とは同じ魂、だからたぶんアルバ―も同じだと思う。
「ふふっ、そうですか、あなたが言うとそのような気がします」
それから、もう少し俺たちが得たアルバーの真実を話しつつ俺がここに来た目的を話した。
「まぁ、俺としては、ちょっとでも情報が得られれば良かったんだけどな。まさか、捻じ曲げられているとは思わなかったけど」
「そうよね。こうなってくるとエレナの方も心配よね」
「だよな。エレナに至っては、情報がほぼないからな」
「ええ、それについては、ギルドでも情報が抹消されているとか聞いています」
そうなんだよな。これはやはり一度エレナの故郷に行ってみる必要があるかもしれない。といっても、どこかはわからないがな。
そんな感じで話を進めて、次に俺たちがニンモートに行くことを話した。
「ニンモートですか、だからあのような荷物だったのですね」
「まぁな、後は、ニンモートに行く船を見つけるだけだ」
ニンモートは島国、ここから行くにはどうしても船に乗らなければならない。
「船ですか、でしたら、我がアルベイラ商会の船を使ってください」
なんとここで願ってもない提案があった。
「いいのか」
「はい、なにせ、ノーランさんは僕たちの祖先の生まれ変わりですから、ぜひ使ってください。船の船長は僕の叔父ですから、紹介状を書いておきます」
「それはありがたい」
それから、俺たちはノイスの好意で夕飯をごちそうになった上に泊めてもらうことになった。
そして、次の日、俺たちはノイスの紹介状を持って、アルベイラの船を探して港を歩いていた。
「えっと、アルベイラの船はどれだ」
俺はあたりを見渡しながら探していた。
『あら、あれじゃないかしら』
するとレイラが先に見つけたようだ。
「どれ、あっ、ほんとだ」
「あれで、間違いないようね」
『そのようね。さすがお姉さまね』
『あら、あら、うふふっ、なんか照れるわねぇ』
そんな会話をしながら俺たちはその船に近づいて行った。
「すみません」
「おう、なんだ」
俺が声をかけたのは、近くで作業をしていた船員風の男だった。
「この船の船長に会いたいんだけど、いるかな」
「船長だぁ、お前ら、冒険者か」
「ええ、そうよ」
「なるほどな、船長ならあそこにいるぜ」
そういって船員が指さした先にいたのは、これまたいかつい感じのおっさんだった。
「ありがと」
俺たちはそうお礼を言ってから船長の場所に向かった。
「すみません、あの船の船長ですよね」
「ああ、そうだぜ、何か用か」
「ええ、実は、この船に乗せてもらいたくて、これはアルベイラのノイスからの紹介状です」
「ノイスからの、貸しな」
そういって俺が渡した紹介状を乱暴に手に取りその中身を読み始めた。
「……おいおいおい、これ、本当か」
その手紙には、アルバ―のことが書かれているとノイスから聞いていた。
「一応、本当ですよ。まぁ、あまり他言はしないようにしてもらいたいですが」
「……当然だろうな。しかし、まさかな、でも、ノイスとクインが信じたんなら本当のことなんだろうな」
この船長によるとノイスとクインは現実主義というか、こういったことはそう簡単に信じないそうだ。
「確かに、けっこう細かく説明してようやく信じてもらたよな」
「うん、確かに」
「そうか、そうか、まぁ、ノイスからもお前らには便宜を図るようにと書いてあるからな、乗りな、出発は、1時間後だぜ。あと、ほかにも冒険者が数名乗っているから顔を合わせておきな、おーい、こいつらを船に案内してやれ」
「へーい」
こうして俺たちはニンモート行きの船に乗せてもらえることになった。
それから船員から部屋に案内されたわけだが、あいにくと部屋数に限りがあり、同じパーティーである俺たちは同室にしてほしいといわれた。
「別にいいわよ」
「まぁ、カイナがいいなら、俺もかまわないぞ」
「そうですか、すいやせんね。じゃぁ、次は、ほかの冒険者の方々がいるところに案内しやす」
そうして、案内された場所は俺たちの部屋から1つ階段を上がった場所ある会議室だった。
「今、この部屋で出発前の打ち合わせをしているようです」
俺たちは急遽追加された身のために冒険者たちは俺たちの存在を知らない。だからすでに打ち合わせが始まっているというわけだ。
「そうか」
「冒険者の方々、失礼しますよ」
案内してくれた船員がドアをノックして開けるとそこには数人の冒険者がいた。
「なんだい、追加かい」
「おいおい、急だな」
「こういうこともあるだろう」
「そうそう、って、あれ、君は?」




