第46話 怒りの報告
「ガイナル、世間では勇者王として知られている英雄。しかし、その実態は、まさかこんな最悪な奴だったとはな」
「ええ、あの戦いを見る限り、本当の英雄はあの死んでいった冒険者たち、それにノーラン、あなたの前世ね」
「そうね。ほんと悔しいわ。なんで私はあの場所にいなかったのかしら。いれば、アルバーも他の人たちも死なずに済んだかもしれないわ」
「ええ、そうかもしれません。ですが、相手は悪魔王、誰もというわけにはいかなかったでしょう」
レイフ様の言う通りだ。悪魔王の強さはそう簡単にできるとは思えない。
「私、小さいころから勇者王の物語を聞いていて、結構好きだったのよね」
カイナがそういった。
「俺もだよ。カルムの次ぐらいだったけどな」
本当にそうだった。俺にとって勇者王は先祖であるカルムの話の次ぐらいによく親に話をねだったものだ。それが、まさか、そのカルム、いや、カルミナの前世であり、カイナの前世でもあるエレナを殺害し、俺の前世でありアルバーを利用した。許せないやつだったなんてな。
「ええ、お2人の気持ちはわかりますよ。だからこそ、まずは、ノーランさん、あなたに感謝を」
急にレイフ様が感謝を述べてきた。
「えっ、なぜ、俺に……」
意味が分からなかった。
「そうですね。まずは、あなたには記憶はないかもしれませんがあなたの前世である、アルバーさんが悪魔王をあそこまで追い詰めて頂けたからこそ倒せましたし、そして、何よりこの子、レーヴェを目覚めさせていただけましたから」
レイフ様が微笑みながらそう言ってきた。
「い、いえ、俺は、何も」
俺としてはそうとしか言えなかった。
「そして、カイナさん、あなたにはお願いがあります」
そんな俺にさらに微笑みを浮かべた後カイナの方を見て言った。
「お願い、ですか、それは、レーヴェのお姉さんである私の剣ですね」
カイナはレイフ様の願いが分かったようだ。
「ええ、そうです。あの子は目覚める直前、奪われたことでいまだ目覚めていません。私やレーヴェがあの子の名を知らないのはあの子が目覚めていないからです。私は、自分が生み出した娘であるあの子の名を知らないのは嫌ですからね。お願いします、あの子を解放してあげてください」
「はい、それは、もちろん私の前世であるエレナが成し遂げなかったこと、必ず私が成し遂げて見せます」
「よろしくお願いしますね。さて、そろそろ時間です。レーヴェ、ノーランさんの言うことを聞いて力になりなさいね」
「ええ、お母さま」
「では、お2人ともお元気で……」
そういってレイフ様はその場から姿を消した。
そして、それと同時俺たちの周囲の状況も変わった。
「元に戻ったのか」
「そうみたい」
『ふぅ、疲れたわね』
気が付くと俺は台座にレーヴェを指した瞬間の態勢で、カイナもエレナの墓の前たたずんでいた。
つまり、あの瞬間から全く変化していなかったということだろう。
『どうやら、これまでの時間は全く時間が流れていなかったようね』
えっと、つまり、これまでのことはすべてほんの一瞬の出来事だったということだろう。
「さすがは最高神というわけか」
そのあと、俺たちはデリタルダンジョンを後にすることにした。
そうして、それから数日街道を野営をしながら歩き、次の街であり、ナンバル勇者王国王都の隣の町、メリクサについていた。
「とりあえずギルドに行くか」
「そうね、あっ、でも、その前にお腹すいたわ」
「そうだな。じゃぁ、まずは飯食ってからだな」
『ここでは、どんなお饅頭かしらね』
そう、それもあった。楽しみだ。
こうして、まずは食事を楽しんだのちギルドに向かったわけだが……。
「お前ら、遅いぞ」
受付で名前を告げるなりその後ろにいるおっさんにいきなり怒られた。
「えっと」
「えっ」
『何かしら』
なんでいきなり怒られなければいけないのか、俺たちには状況がつかめなかった。
「ギルドマスター、そう、いきなり怒鳴ったら訳が分かりませんよ。まずは説明しないと」
ここで受付嬢がそういったことでこのおっさんがギルドマスターであることが分かったが、なぜ俺たちが怒られるのかはまだわからない。
「実は、お2人がデリタルダンジョンに向かったと聞いていたので逆算して今日にはここに到着するだろうと予測していまして」
なるほど、さすがギルド、俺たちの実力などから正確な予測だ。
あれ、でも、今日なら問題ないんじゃ。
「お前ら、もっと早く街についていただろう」
「ああ、飯食ってたからな」
「ああ、くそ、そんな余計な時間を使いやがって、まぁ、いい、来い、王都のギルマスが待っている」
「はぁ、王都のギルドマスターって、なんでだ」
「お前が持ち込んだ情報を直接聞きたいからに決まっているだろ。ほら、来い」
有無を言わせぬ感じで俺とカイナは連行された。
俺たちが連れていかれた場所にはすでに、見ただけでわかる。高位冒険者が3名とおっさんが1人、このおっさんが王都のギルドマスターだろう。
「おう、お前さんがノーランか」
「へぇ、思っていたより若いな」
「そりゃぁ、そうでしょ、悪魔族を討伐できるDランクなんて、どう考えても転生スキル保持者なんだから」
この転生スキルというのは文字通り転生してもスキルを保持できるほど高レベルスキルを前世で持っていた人物のことだ。まぁ、ぶっちゃけ俺とカイナのことなんだけど。
「それもそうか。たしかに、5は持っていそうだな」
「確かに」
どうやら、冒険者たちは俺の実力を測っているようだ。
『レーヴェ、どう思う』
『そうね、この3人、強いわよ。それぞれ、スキルレベルが7に到達しているわね』
思っていたい通相当な力の持ち主らしい。
「それじゃ、さっそく、話してもらうぜ」
王都のギルドマスターのその言葉を受けて、俺は知るディノシス教団についての情報を話した。
もちろんカイナもあの過去を話した。




