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剣と少年  作者: 敦
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第43話 明かされた真実2

 レーヴェを台座に刺した途端俺とカイナは過去の映像を見せられた。そこに映っていたのは、まさにカイナの前世であり、レーヴェの姉たる剣の真なる所有者であるエレナの最期だった。

 俺たちはこれまで状況から勇者王がその犯人ではないかと思っていたが、本当にその通りだった。勇者王は、エレナを殺し、レーヴェの姉たる剣を手に入れた。そして、笑いながらその場を去ったのだった。

「許せないわね」

「ああ、勇者王、エレナをだましてレーヴェの姉である剣を奪った男だった」

 本当に最低最悪の男だったようだ。

「エレナも気づかなかったのかな」

 それは、俺も思った。エレナは年齢もさることながらかなりの凄腕冒険者に見えた。なら、勇者王の本性に気が付いていても不思議でない。

「何となくは気が付いていたんじゃないか。カイナだったらどうだ」

「私だったら、たぶん気が付いていたと思う。勇者王からはなんだか黒い何かが見えたから。でも、もしかしたらエレナも気が付いていてあえてそばに置いていたのかも」

「そうかもしれないな」

 そんな会話をしていると、映像がいったん消え新たなものが見えてきた。

 といっても場所は同じだ。

 ただ、先ほど倒れたエレナが骨となっていた。


 『どうした、カルム』

 なんと入ってきたのはカルム、つまり俺の先祖だった。

『うん、なんだか、誰かが呼んでいるような、そんな気がして』

 そういって入ってきたカルム、確かに、伝承通りとても美しい人だった。といっても男装しているから男に見える。

 顔は、カイナとは違い、どちらかというと俺の母さんか、幼馴染のキラナにどことなく似ているような気がする。まぁ、母さんもキラナもともにカルムの血が流れているから当然なんだが、そのためカルムを見ているとなんだか身内が男装しているようで落ち着かない。

「へぇ、綺麗な人だね」

 カイナが他人ごとのように言っているが、それ、カイナの前世なんだが……。

 そんなことを心の中で突っ込んでいると、カルムの後に続いて男が1人入ってきた。

 多分最初に聞こえてきた声の主だろう。

「なんか、あの人、ノーランに似てるわね」

『そうね。言われてみれば似ているわね。ということはもしかして』

「ああ、たぶん、俺の先祖でもある。ミルダルタ初代領主、バラック・ド・テルミントだろうな」

「そっか、あの人か」

 カイナはまじまじとバラックを見つめている。多分自身が前世で選んだ男だということでの興味だろう。

『だれかって、誰だい、ここには誰もいないじゃないか』

『お2人さんちょいと邪魔ですぜい。おっと、1人いるじゃないですかい』

 そういって入ってきたのは1人の獣人族の男、これまた珍しい熊人族みたいだ。

『1人って、もしかして、この骨のことか。まぁ、確かにいるといえばいるが……』

 それにバラックがおどけた感じに答えた。

 そんな男どもに少しあきれながらカルムはずっとエレナの遺体にくぎ付けだった。

 そして、おもむろにエレナのそばに転がっている槍に手を伸ばした。

 そう、その槍こそエレナが使い、それをカルムが受け継ぎ、そして今、カイナが使っている槍であった。

 そうして、カルムがその槍に触れた瞬間カイナがそれを手にしたときのように光った。

 これはまさにカルムがエレナから槍を受け継いだ瞬間だ。

『カルミナ!』

 その光を見たバラックが思わずカルムの本名を呼んでいる。

『大丈夫よ』

 カルミナもまた本名を呼ばれたことで思わず女言葉が出ていた。

『ちょいとお2人さん、いくら俺しかいないっていってもまずいぜ』

『おっと、そうだった、すまない』

『つ、つい』

 どうやら、カルムはパーティーメンバには真実を話していたようだ。

『それで、その槍どうしたんだ』

 熊人族の男が場を変えようとカルムにそう尋ねた。

『う、うん、たぶんだけど、いや、間違いなくこれは私が前世で使っていたもの』

『なっ!!』

『なんだって! どういうことだ』

『2人には私が前世の記憶があることは話したわよね』

『ああ聞いているな』

『お、おう』

『私の記憶では背後を刺されたことと、エレナって名前の女性冒険者だったってこと。なぜか、エレナの記録はなかったけど、見て、この遺体、背後から刺されている』

『確かに、そうだけどよ。でも、だからといってこれがそのエレナだっていうのか』

『そうだぞ。こういっちゃぁなんだけど、冒険者なんてものは、こういう最期を迎えるやつはざらにいるだろう』

 バラックの言う通り確かによくある話だった。

『そうね。でも、決め手はこの槍よ。この槍に触れた瞬間、まるで昔から使っているかのように手に馴染む。それに懐かしい感じがする。だから確信できる。この人こそエレナだとね』

「カルムも私と同じことを思たのね」

「この後書かれた手記にも書かれていたからな」

『まじかよ』

『ふむ。いささか、信じられないが、カルムがそういうのなら間違いないのだろう』

 そういってから、バラックはエレナの遺体に手を合わせ祈った。

『そうだな』

 熊人族の男もそれに倣って祈りをささげている。

『ありがとう、信じてくれて』

 そういってから、カルムもまた祈りをささげている。

「私たちも」

「そうだな」

 そうして、俺とカイナもエレナに祈りをささげた。


 それから少しして、カルムの指示により台座の近くにエレナの墓を作ることになり、熊人族の男、名前をドーラがその類まれなる剛力によって石をどけ穴を掘った。

 すごい力だ。

 そして、カルムが丁寧に骨を拾いそれを身に付けていた鎧とともに収めていった。

『エレナ、この槍これからは私が使わせてもらうわ』

 そういってカルムは槍を装備した。


 その光景を最後に俺たちの視点は再び変わったのだった。

「今度は、なんだ」

「まだ、何かあるのかしら」

「というか、ここどこだ」

 俺たちがいるのは、巨大な森の中の神殿のような建物の中だった。

『お疲れ様です。ノーランさん、カイナさん、初めまして、そして、お久しぶりね。レーヴェ』

 そんな優し気な声が響いてきた。

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