第40話 情報収集
“ボルグ“それは、レーヴェの名にも含まれている言葉だが、これは”討つ者“という意味が含まれている。
また、レーヴェによると、いまだ名前もわからないが、レーヴェの姉たる剣にもついているそうだ。そんなレーヴェを持つ俺と、その姉たる剣の所有者であるカイナがパーティーを組むわけだから、この名前を付けた。
「ボルグですね。はい、登録は完了しました。えっと、わぁ」
カードを俺とカイナに返そうとした受付嬢がそこで驚愕に目を見開いた。
「どうした」
「す、すごいです、お2人とも、悪魔族を討伐されているじゃないですか」
そういえば、まだ報奨金を受け取っていなかったな。
「それに、ノーランさん、これで3体目ですか。すごいです」
受付嬢は素直にほめたたえてくれるんだが、俺としては少し照れてしまう。
「まぁ、たまたまだよ」
俺は照れながらそれをごまかすようにギルドカードを受け取った。
「そうね。たまたまかしらね」
カイナも合わせて、そういってカードを受け取った。
「そうは思えませんけど、まぁ、いいです。えっと、少し待っていてくださいね。ただいま報奨金の方をお持ちします」
そういって、受付嬢は後ろに引っ込んでいった。
本来依頼達成などの依頼料や少額の報奨金なら受付ですぐに出せる。
しかし、悪魔族の報奨金は高額となるためそこにあった金では足りなかったのだろう。
そういえば、ミルダルタでもグルベイズでも悪魔族の報奨金をもらうときは、こうして後ろから持ってきていたよな。
そう思いつつ待っていると、周囲から人々が集まってきた。
「おい、聞いたぞ、お前ら、本当に悪魔族を討伐したのか」
聞いてきたのは、若い、たぶん俺たちと同じぐらいの男だった。
「まぁな」
そういって、証拠といわんばかりに冒険者カードを見せた。
「……まじかよ。すげぇ、ほんとだよ」
「おいおい、すげぇなんてもんじゃなぇえだろう」
「ちょっと待て、なんでこいつらDランクなんだ」
「なに、俺よりも下位かよ」
などと騒ぎとなった。
「はいはい、皆さん、落ち着いてください。ノーランさん、カイナさん、報奨金です。確認してください」
騒ぎが大きくなりかけたところで受付嬢が声をあげたことでみんな落ち着いたようだ。
それから俺とカイナは報奨金を受け取りつつ、尋ねた。
「そうそう、1つ聞きたいんだけど、デリタルダンジョンに入りたいんだけど、問題あるか」
デリタルダンジョン、そこはかつてエレナがレーヴェの姉たる剣を手に入れるはずだった場所にして、エレナが殺された場所。また、カイナに渡してある先祖カルムことカルミナが持っていた槍をカルミナが手に入れた場所でもある。
つまり、俺はもちろんカイナにとっては因縁深いダンジョンだ。
実は、ここデリバールから南に向かった場所にある、小さな町デリルに近い場所に存在しているダンジョンでもある。
そこで、王都に向かう前にその場所に向かおうという話になっていた。
「デリタルダンジョンですか。大丈夫ですよ。適正ランクはDランクですからお2人なら問題ランクも実力も問題ありません」
「そう、よかった。それで、そのあたりに何か依頼あったら教えて」
ここでカイナがこういったが、これは冒険者なら当然だ。といっても俺はもちろんカイナも現在、そんなに稼ぐ必要はないがこれはまぁ、習慣という奴だ。
「そうですね。たしか、今はこのぐらいでしょうか」
そういって、受付嬢が渡して来た依頼表を受け取った俺とカイナがそれらを受けることにした。
「じゃぁ、これを受けるわ」
「だな、ついでだし」
それから、俺たちはギルドの資料室に行きデリタルダンジョンについて調べ、念のためにエレナとカルムについても調べてみた。
「やっぱり、エレナについてはほとんどわからないわね。せいぜいグエルナーダスト王国出身ってことぐらいね」
「そうだな、まぁ、出身国が分かっただけでもよかったけどな。俺としては、一切合切消されたものと思っていたからな」
「うん、私もそう思ったわ。まぁ、考えてみたら、1人の冒険者の情報なんてそう簡単にすべてを消すなんて無理よね」
「だろうな」
といっても出身国しかわからないというのはやはり情報としてはおかしい。これは、いつかグエルナーダスト王国に行ってみる必要があるかもしれない。
出身国ならここよりも情報があるかもしれないからな。
『あまり、期待は出来なそうだけど』
「ん、何が」
俺の考えにレーヴェが答えたのでカイナにはわからなかったようだ。
「グエルナーダストに行けばここより、情報があるかもしれないって思ってな」
だから俺は補足した。
「そういうこと。でも、確かにレーヴェの言う通り期待はできないかもね」
「そうなんだよな。でもまぁ、故郷ぐらいはわかるだろ」
「そうね。それで、エレナはいいとして、カルムについてはどう?」
俺たちはカルムについても調べていた。
「そうだな、おおむね、世間的に知られていることばかりだな」
「そうよね」
カルム、いや、カルミナは特に情報が消されたとかそういったことはなく、世間的に知られている内容そのものが書かれていた。
そして、それは俺がカルミナの手記や村に伝わる伝承でも知っているようなことだ。
そうそう、忘れてはならない調べものがあった。
それは、俺の前世アルバーについてだった。
これまでドタバタしていたために調べていなかった。そこでついでにここで調べておくと思って調べてみた。
それによると、アルバーの出身国はここ、ナンバル勇者王国(ナンバル王国)で、故郷は、カサブラという港町らしい。
そこで漁師の息子として生まれ、剣が得意だったことから冒険者となったとある。
そして、そんなアルバーだが、これがまた結構すごかったらしい、いくつものダンジョンを踏破し特Sランクまで上り詰めていた。
そして、その記録はなぜかミルダンジョンに足を踏み入れようとしたところで止まっている。
そう、この先の情報が一切無くなっていたのだ。
「どうして、アルバーの情報がここで止まっているのかしら」
「さぁな、普通記録が止まるってことは死亡の場合が多いと思うけど」
「いくら当時のミルダンジョンが高位ランク者専用でも」
「特Sランクで剣術スキルレベル10、つまり最高レベルがやられるはずはないし」
『そもそも、アルバーはミルダンジョンには入っていないわよ。もし入っていたら、いくら目覚めていなかったとしてもわかるから』
とここで、レーヴェがそういった。
だとしたら、そこでアルバーに何かあったんだろうな。そして、情報がないということはもしかしたら、エレナと同じことが起きたのかもしれない。




