第04話 初仕事
冒険者ギルドを後にした俺は、冒険者受付嬢をしていたヒナリが紹介してくれた銀狼亭に向かって歩いていた。
「確か、ギルドを出て右だったよな。えっと、どこだ」
多くの看板が出ているがなかなか銀狼亭の看板が見えない。
誰かに聞いてみようかと考えていると、建物と建物の間尾路地の奥に銀狼亭の文字が見えた。
「おっ、あれか、思っていたより、遠かったな、それに、こんな路地の奥かよ」
これじゃ、なかなか見つからないのは当たり前だ。
俺はそう思いながら扉を開けた。
俺が開けるとそこは宿というより食堂だった。察するに食堂兼宿ということだろう。
あまり客がいないけど大丈夫なのかな。
「いらっしゃいませー、食事なら、お好きな席にどうぞ」
俺が中を見渡してながら考えていると元気な声がかけられた。
「えっと、泊まりたいんだけど、部屋開いてるかな」
「泊まりですか、えっと、空いてますよ。あっ、もしかして、お客さん新人冒険者さん?」
なんでわかったんだろうか。
「えっと、どうして」
「あはは、やっぱり、お客さんヒナリに聞いてきたんじゃない」
ヒナリ、冒険者ギルドの冒険者受付の受付嬢の名前だ。
「そうだけど」
「へぇ、やっぱり、お客さん、あの子に気に入られたんだねぇ」
「気に入られた。どういうことだ」
「あのこ、新人冒険者に宿を紹介するとき、ガラが悪そうだったり態度が悪い人には、少し高めで質も最悪な宿を紹介するのよ。それで、特にそれほど、気にならない普通のひとだと、値段は安いんだけど、質が普通ぐらいの宿を紹介するのよね。それで、気に入った人なら、うちを紹介するってわけ」
今の話を聞くと、ここはいい宿ということだろうか。
「それで、うちはっていうと、宿代は、通常よりほんの少し高いけど、質とサービスは最高の物を出すわよ。ということで、宿代は食事込みで1泊、450バルトね。基本は前払いだけど、ヒナリのお気に入りってことで、後払いでもいいわよ」
俺にはそれが安いのか高いのかよくはわからないが、俺としては特に問題なく払えるので、払うことにする。
「いや、先に払うよ、えっと、それじゃ、これで」
俺は、異空間収納から、先ほどもらったお金から450バルトを取り出し渡した。
「はい、ありがとう、それじゃ、お部屋に案内するわね。そうそう、私は、銀狼亭の看板娘でハナよ、よろしくね」
「おれは、今日から冒険者になった、ノーラン、こちらこそよろしく頼むよ」
それから、俺は、ハナに案内された部屋に通されたわけだが、確かに質はいい、ベッドはきれいで部屋もごみ1つないし、何より、大浴場があり、いつでも入れるとのことだった。
それから俺は、食事を楽しみ、風呂に入り眠りについた。
ちなみに食事をしている間にハナにほかの宿の相場を聞いたところ、ヒナリが紹介する3つの宿、最初の宿は、一泊食事なしで550バルトもし、部屋も最悪だそうだ。そして2つ目の宿は、一泊食事なしで420バルトと少し安いが、部屋は簡単にしか掃除されていないし、ベッドも、少し湿気で湿っているとのことだった。そして、両宿には大浴場はないそうだ。
確かにそれを聞くと、俺はヒナリにここを紹介されてよかったらしい。
こうして、俺の冒険者登録した日は終わった。明日から、本格的に冒険者生活となるわけだ、楽しみだな。
次の日、俺は朝から、ギルドにやってきていた。
「ああ、いたいた、ヒナリ」
「あら、ノーランさん、どうされました」
「昨日はいい宿を紹介してくれてありがとう。すごくよかったよ」
「そうですか、それは、よかったです。今後もごひいきにしてあげてください」
「それは、もちろん、そうさせてもらうよ」
それから、俺はヒナリに一旦の別れをつけて、ギルドの左側に設置されている冒険者掲示板の前までやってきていた。
「えっと、何がいいかな」
俺は記念すべく最初の依頼を探していた。
「といっても、Fランクだけあって、ほとんどが採取系か、まぁ、仕方ない、これにするか」
俺は目についた、薬草採取の依頼を手に取って、再びヒナリのもとへと赴いた。
「これを、受けたいんだけど」
「はい、こちらですね。えっと、ピリク草の採取ですか。問題ありませんね。では、冒険者カードをお願いします」
「ああ、はい」
依頼を受ける際に冒険者カードを提示することはもらっていた察しに書かれていた。それによると、冒険者カードには現在受けている依頼を登録して、進行状況が分かるようになっているとのことだ。これは複数の依頼を受けたときに、うっかり、自分がどの依頼を受けているのかが分からなくなった時に確認するという非常に便利な機能だ。
また、別の機能として、カードの所持者がとどめを刺したものの情報が記載されて行く、これにより討伐依頼の確認ができるし、今後、同じ魔物に遭遇してもその情報を閲覧できるというものだ。
「では、登録しますね」
そういって、ヒナリは何やら魔道具の中にカードを刺し、俺が今持ってきた依頼表を見ながら何やらボタンを押していった。
すると、その後何を確認してからカードを取り出し、俺に返してきた。
「これで、登録は完了です。どうぞ」
「ありがとう」
俺はお礼を言ってからカードを受け取った。
「ピリク草がどんなものかわかりますか? もしわからなければ、図鑑がありますが、どうします?」
俺が受け取ると同時にヒナリからそう言われたが、俺は村でよくピリク草をとっていたので知っていた。
「いや、ピリク草なら知っているから、大丈夫」
「そうですか、では、いってらっしゃいませ」
「行ってくる」
こうして、俺の初仕事が始まった。
「えっと、ピリク草、ピリク草っと、ああ、あった、これだこれだ」
街を出て、街道から外れた森の中、俺はピリク草を探して歩いていた。
ピリク草は、ちょっとした治療薬の材料となる草で、森の中なら結構いたるところに生えていることが多い、今もこうしてすぐに発見できたほどだ。
それではなぜ、俺たち冒険者に依頼が来るのかというと、これはある意味入門依頼だ。これで、採取依頼というものがどういうものかを学ぶためでもある。
だから、依頼主は基本ギルドとなる。
といっても、俺が受けた依頼は、この草を100とかなり多い、これほどの数を集めるには、結構時間がかかる。
数が多かったということもあるが結局終わったのは夕方近くだった。
「思ったよりかかったな、やっぱり、この辺りはすでに狩りつくされていたのかな」
そう、本来なら半日もあれば終わるような依頼だ。でも、その倍近くかかった、たぶんこれは俺のように新人冒険者がちょくちょく行為やってこの依頼をこの足ているので、この辺りの者は全部先に取られていたんだろう。
まぁ、最初の依頼だし、こういうノンビリもいいだろうと思う。
「さてと、街に戻るか」
こうして、俺は初仕事を終え街に戻っていった。




