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剣と少年  作者: 敦
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第27話 ディノシス教団

 最近、あたしが住むスラムに怪しい連中がやって来た。

 それと同時に何人ものスラムの住人が行方不明になっている。

 その調査にあたしたちだけでは限界を感じて、父さんの幼馴染であり冒険者ギルドでギルドマスターをしているザガンおじさんに、この調査を手伝ってもらおうということになった。

 そこで、あたしがその頼みをするためにザガンおじさんのところに向かうことになった。

 というのが、つい先日のこと、でもあたしはその途中で黒ずくめの妙な連中につかまりこの牢屋に連れてこられた。

 それから数日、あたし以外につかまっていた人たちが定期的に連れ出されあたしたちの見える場所でどういうわけか殺されていった。

 そんな中でも、スラムの住人たちはあたしを守ろうとしてくれ、あたしの番が来るたびに誰かが代わりを名乗り出てくれ、あたしの代わりに殺されてしまった。

 そして、ついに今日、誰もいなくなりあたしの番となってしまった。

「出てください」

 あたしを呼びに来たのはこれまでもみんなを呼びに来ていた人で、声からしてたぶん男だと思うけど、見た目には全く分からない。

 だって、みんな同じ姿だから、わかるわけがない。

 と、そんなどうでもいいことを考えて現実逃避しようとしたが、やはり無理、今まさに牢から出され、あたしはみんながそうされたように両手を左右に開かれ、足も大きく開かれた状態(大の字)で磔にされた。

「今度こそうまくいくといいが……」

 あたしの目の前に立った悪魔族がそういってあたしに近づいてきた。

 やだ、来ないで、怖い。

 あたしが恐怖に身を縮めていると、目の前の悪魔族はおもむろにナイフを手にして、それをあたしに向かって振り下ろした。

 殺される。あたしはそう思って目を閉じた。

 しかし、まだ死んでいない。

 いったい何が?

 そう思って恐る恐る目を開けた。

 同時に何やらスース―するような気がしたので、ふと目線を下げた。

「!!」

 目に飛び込んできた光景に驚愕した。

 何せ、身に付けていた服がすべて、縦に切り裂かれていたからだ。

 そのため、上は辛うじて見えていないようだけど、下は完全に見えてしまっていた。

 しかし、幸い? なのかわからないけど、ここにいる人たちは、これから行われることに集中しているのか、あたしのこんな姿には興味がないようだった。

 それでも、恥ずかしさとこれから殺されるという恐怖で頭がどうにかなってしまいそうになっていた。

「それでは、実験を開始する」

 悪魔族がそういうと周囲にいた連中も黙ってうなずいている。

 ついにその時が来てしまった。

 父さん、サリム姉さん、ザガンおじさん、助けて。

 あたしは心の中でそう叫ぶしかなかった。

「これで2匹目だけど、お前らって地下が好きなのか」

 悪魔族があたしに何をしようとした瞬間、あたしの背後からそんな声が聞こえてきた。

「なっ、貴様、どこから入った」

「見張りは何をしていた」

 黒ずくめの連中も想定外の出来事のようで、一様に戸惑っているようだった。

「さぁな、そんなやついなかったぞ」

 声からして、たぶんすでに始末したんだと思う。

「なに……」

 黒づくめの連中がそういった。

「マルティナか?」



 ガイエルからの依頼を受け、マルティナがとらわれていると思わしき建物の前にやって来た。

「ここか」

『そうみたいね。それと、ガイエルが言っていたことはほんとみたいね。いるわよ』

「まじかよ。そういわれてみると、確かに、ミルダンジョンにいたやつと似た気配を感じるな。これが悪魔族か」

『そうよ』

 はぁ、仕方ない、さっさと行くか。

 俺はこれから戦わなければならない悪魔族に辟易しながらも中に入ることにした。

「それで、やつはどこにいるかわかるのか、レーヴェ」

『ええ、下にいるみたいね』

「下、地下ってことか」

 そういえばミルダンジョンも地下だったなぁ。俺はそんなどうでもいいことを考えながら建物内に入っていった。


 建物に入ると当然、見張りなどがいた。

『こいつらって、悪魔族と結託しているんだよな』

『そうね。というか、信じられないけど、むしろ崇拝しているように見えるわ』

 だよな。

『ということは、生かさないほうがいいってことか』

『それは、私に聞かれても困るわよ』

 そうだよな、神様が作った神剣たるレーヴェに同じく神が作った人間を殺していいとは言えないよな。

 でも、やはり生かしておいては後々面倒なことになりそうな気がするので、気は進まないが、俺はこいつらを殺すことにした。


 こうして、出会った黒ずくめの連中は1人残らず始末しながら、静かに進んでいった。

 ちなみに、レーヴェはいつもの大剣の姿ではなく小さめの片手剣の姿をしている。

 その理由は、室内だからだ。室内であんな大剣振り回すのは、いくら剣術スキル5の俺でも無理がある。とはいえ、ただの片手剣でも引っかかる可能性があったために、少し小さめの片手剣となってもらったわけだ。

『あとどのくらいだ』

『あと1つってところかしら』

 どうやら次の階に悪魔族がいるらしい。というかここまでも結構降りてきたような気がするんだけど、一体どんだけ地下にいるんだよ。

 そう思いながらも機械的に黒ずくめのやつを1人始末した。

『ほんと、多いな。いつになったら尽きるんだこいつら』

 俺は話せないので念話で独り言ちた。


 そうして、さらに1階降りたところで、これまでとは雰囲気が違うことが分かった。

 何せ、これまでの階層はダンジョンののように広がっていた。といっても、数十分でクリアはできたが、それでも建物内にしては広かった。

 しかし、この階層は、いきなり扉があり、その先からこれまで感じたことのないほど濃密な悪魔族の気配を感じた。

『いよいよか』

『そうね。気を引き締めていきましょう』

『ああ』

 いよいよ、悪魔族との対決である。

 その前にマルティナがまだ無事であることを祈りたい。

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