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剣と少年  作者: 敦
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第18話 次の街へ

 レーヴェの正体が神剣だったという驚愕の事実、そして何より俺がその所有者であり使い手であるという、うそみたいな事実を聞いた翌日。

 俺はさっそくミルダルタを出ることをギルドに伝えるために向かった。

「そうですか、ノーランさんもこの街を離れられるのですね」

 ヒナリが少し寂しそうにそういった。

「ああ、世話になったよ」

 本当にヒナリには世話になっていた。

「いいえ、私は何も、それで、どちらに行かれるんですか」

「一応、まずはカルガンで鞘とかほかの装備を手に入れてから、グルベイスに行こうかと思っている」

「そうですか。わかりました、お気を付けて」

 こうしてヒナリ達冒険者ギルドの面々に見送られながら俺はミルダルタを後にした。


『この街道を通ればカルガンって街に行けるの』

 ミルダルタを出て街道をのんびりと歩いていると背中でレーヴェがそう尋ねてきた。

「ああ、途中でいくつか村を通ってだけどな」

『あら、すぐ近くってわけじゃないのね。それで、そのカルガンに行って私の鞘を買うのよね』

「そのつもりだよ」

『ミルダルタだっけ、あの街じゃダメなの』

 レーヴェの言う通りミルダルタにも当然、鍛冶屋や武防具屋はある。しかし、レーヴェの形も大きさも結構特殊だし、今後のことを考えてちゃんとしたものが欲しい。そこでカルガンが鍛冶師の街であることを聞いたのだ。

 なんでも、この街の鍛冶職人もカルガンで修業をしてきたといっていた。

『なるほどね。その街の方が、腕がいいってことね』

「そういうこと」

『それで、そのあとナンバル勇者王国だっけ、そこに入るの?』

「いや、今の俺じゃまだこの国を出られないんだ」

『どういうこと』

 ここで俺はレーヴェに冒険者のランクについて説明した。

 冒険者のランクというのは、Fから始まり特Sまである。

 Fランクというのは、冒険者としては見習いとされており、基本登録したギルドから離れることはできない。もちろん行こうと思えば行けるが、その際ギルドカードが身分証として使えないために、通行料などを払わなければいけない。

 Eランクで初めて一人前の冒険者として認められるので、ほかの街に行っても身分証として使え、冒険者としての仕事を請け負うことができる。しかし、Eランクで移動できるのは国内のみで外国に行くことができず、Dランクでようやく外国にも自由に行けるようになる。つまり、俺たちの現在の目的地であるナンバル勇者王国に入るにはどうしてもDランクとなっておく必要があるというわけだ。

『なるほど、面倒ね。それで、そのDランクにはいつなれるの』

 これは多くの冒険者が知りたいことだろうが、俺の場合はすぐになれるだろうといわれている。

「さぁ、それはわからないけど、ミルダルタのギルドマスターが言っていたけど、俺は悪魔族を討伐しただろ。そのことは国内のギルドに報告が上がっているらしいからな。あとは、いくつかの依頼をこなして、それをもとに国内中のギルドマスターが認めればすぐにでもDランクに上がれるらしい」

 ちなみに、ミルダルタのギルドマスターはすでに推薦しているようだ。

『ふーん、そういうことなら、さっさと、依頼をこなしていきましょう』

「だな」

 そんな話をしながら街道を進んでいた。


「へへへっ、こんなところを1人で歩くなんて不用心だぜ」

「ここは、俺たちの縄張りだ。有り金と、その背中の剣を置いていきな」

「俺たちは優しいからなぁ、身ぐるみだけは許してやるぜ」

 しばらく街道を歩いていると、そんなことを言ってくる盗賊が現れた。

 これまでも、結構盗賊を討伐してきたけど、どれも、まとまりのないような盗賊だったが、ここにきて初めてまとまりのありそうな盗賊だった。

「へぇ、初めてだな」

 俺は思わずそんな感想を言った。

 以前の俺だったら、ここで先手必勝のごとく魔法をぶっ放すが、レーヴェを手に入れた今の俺としては、余裕を持っての対処ができそうだ。

「んだてめぇ、なめてんのか、ああん」

「死にてぇのか」

 そんな俺の感想を聞いた盗賊たちはなんだか怒り心頭って感じだ。

 ちなみに冒険者ギルドでは盗賊などを見つけた場合、即座に討伐するようにと決まっている。

 ということで俺は背中のレーヴェを素早く抜き放った。

「おいおい、俺たちとやろうっていうのかよ」

「無駄な抵抗だぜ」

 行くぞ、レーヴェ。

『いいわよ』

 それからは、一方的だった。

 何せ、悪魔族を討伐する力のある剣と、封印が解けたことで、レベルが5の剣術スキルを持つ俺の敵ではない。

「ぐぁぁ」

「たす……」

「ま……」

 とまぁ、そんな感じであっという間に盗賊を片付けてしまった。

「改めて、すげぇな、ちょっと前までの俺ならここまで行けなかっただろうな」

 といっても、こいつらに負けるとは思えない。

 それでも、魔法を放つのと剣で斬るのでは圧倒的にスピードが違う。


 それから、数度魔物などにも遭遇したが、同じようにあっさりと倒しながら街道を進んでいった。

 ほんとに、これまでの俺の苦労が何だったんだろうと思えるほど簡単なお仕事となった。

『張り合いのない相手ばかりね』

 レーヴェが何やら言っているが、それは当然だろう、レーヴェにとって張り合いがある相手となればどうしても悪魔族レベルの敵となる。

 そんなもの、そうたやすく出てたまるかというものだ。

 それから、特に問題もなくカルガンまでの途中にある宿場町にやってきた。

 そこでは、盗賊や魔物と違った大変さがあった。

 何せ、レーヴェが背中から、あれはなんだとか、これは何とか、とにかく質問攻めにしてくる。もちろん俺に応えられるものならいくらでも答えるが、いかんせん俺はレーヴェを手に入れてから入手した念話スキルには慣れていない。

 おかげで、たまに独り言状態、周囲から変な目で見られた。


そんな感じで、歩くこと数日、ようやく目の前に街の城壁らしきものが見えてきた。

『あれが、カルガン? ミルダルタより大きそうな街ね』

「そうだな、確か、ミルダルタは領都だけど辺境だからなぁ。ここは領都ではないけど昔からある古い街だけど、ほど近い場所に鉱山があってな、それを求めて鍛冶師が集まったんだけど、そこに冒険者などが質のいい武器を求めてやってきて、そうして、発展した街だそうだ」

『へぇ』

 それから、ギルドカードを身分証としたことであっさりと通過した門をくぐり、街の中に入った。

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